「舞岡公園」吟行句会
9月7日(水)舞俳句会本部企画の吟行会を横浜市戸塚区内所在の「舞岡公園」を中心にして実施した。朝方から少し台風の影響による小雨模様であったが、吟行を始める前から薄日もさし、少々蒸し暑く成ったが、主宰以下総員17名が参加した。
舞岡公園と言っても、神奈川近郊に居住していない人間にとっては余り著名な場所とは言えないが、横浜を中心に多くの俳句結社の俳人達が毎日のように吟行に訪れている。舞岡公園は、横浜市内にあって田園風景を昔のまま残して公園化した市としても肝入りの公園である。公園内には、多くの谷戸や田畑が残り、江ノ島まで続く柏尾川に合流する舞岡川の源流地でもある。
また、歴史的には、徳川家康の旗本で、関が原の合戦でも生き残った三河出身の蜂屋七兵衛定頼の知行地として幕末まで220年間続いた土地柄でもあり、歴史的雰囲気と共に、横浜でも数少ない田園風景が残された公園として愛されている。年間を通して東京などの近郊から、鳥や植物の写真を撮りに来る写真家も多い。
句会は、午後1時から17名の3句投句3句選、内1句特選の形で実施。それぞれ、舞岡の特徴を上手く詠み込んだ投句がされた。
(高得点句)
道の辺を白一列に韮の花
露草の茎起ち上がる二の鳥居
残暑なお二の腕を刺す草の丈
社へと風の通へる稲田かな 呑舞
苦瓜や垣根に黄花ちりばめて
ぎんやんまついと止まりて白昼夢
英霊殿栗の実ひとつふたつ置き
蜩の返歌は畑の向ふより
蜻蛉の三度戻りし草の先
(本日の主宰特選句)
花落ちてのつぺらぼうのカンナの葉
蜻蛉の三度戻りし草の先
(上記1句の他、呑舞投句)
ご領主の墓碑覆ひたる秋思かな
ああでもないかうでもないと秋の風(主宰選)
最後の「ああでもないかうでもないと秋の風 呑舞」は、主宰の選には残ったが、今回の特選には至らなかった。2句目は、季語「秋思」の使い方がまずかったと思う。「秋思」は、主観的な感情表現であり、上五+中七(基底部)は、客観的情景である。その対比が上手く読み手に伝わらなかった。これは、残念ながら無得点。
平成28年9月10日記