子供の頃の記憶

今日は市役所の「土地改良区」と言うところに実家の農地の賦課金というものを収めに行きました。
行くまではなんのことか？さっぱり解りませんでしたが・・
父がいうのに、「もう　田んぼは作れんから・・言うてくれぇ」というので　
そこで「父が介護施設にお世話になるような高齢になりましたので・・と言いました。

そうしたら「猶予」の手続きを取って下さいといわれて父の名義の田畑の原簿のコピーを出して下さいました。
私の記憶の中では８枚の田畑だけでしたが　実際にはまだ１２枚の田畑に賦課金が掛かっていました。
「すみません、地番と現地がわからないのですが。。一緒に住んでいませんでしたし、子供の頃の記憶しかありません」
そうしたら、現場の上司の方でしょう・・同年代の方が「娘さんですか？お父さんには色々とお手伝いをして頂いていたんですよ」と
言ってくださり　地番の入った地図をコピーして下さった上に　一緒に照らし合わせて下さいました。

家の周りはすぐ解りましたが、それでも地番がドンドン飛んでいます。時間もかかりそうなので
お礼を言って「法務局の切り図を少し持っていますので　合わせてみます」とお礼を言って帰りました。

家事を済ませ　改めて図面とにらめっこです。
固定資産税の課税通知書の地番も出してみました。価値の無い　筆番が沢山あります（苦笑）
やはり家の近くしか　解りません。　とうとう母に電話を入れました。
図面を見ながら　母と一緒に子供の頃の記憶を頼りに地番を拾って行きました。
さっすが・・跡取り娘の母。詳しい！！　まだしっかりしてるよこの辺りは。
「ほらっ！　割り木を背負って帰ってたあの辺りが９００番代じゃろ？　あの山林あたりが１０００番じゃと思うわ」と
次々に判明して行きます。
おかげで殆どが判明しました。もう何年も耕していない土地に賦課金が掛かってる事が判明。
あんな土地があったっけ？って処まで　判明しました。
これで　申請ができます。

母と話してると「アンタ！　色んな事を覚えて居ったんじゃなぁ　びっくりしたわ」と驚かれて嬉しかった。
小さい頃、はしかに掛かって熱がしてるのに　田植えの時期で　家で寝てる事が出来なくて　雨が降っても田植えをしてる家族について
山の近くの物置小屋で独りで休んで居たこと。　
田んぼの端っこにゴザを引いてもらって座っていて蟻にいっぱい噛まれて熱が出たこと。
田んぼの傍の小川の水を葉っぱでコップを作ってすくって飲んだ事。沢蟹やドジョウを捕まえて遊んだ事。
季節季節　農作業に忙しい祖父母や母に付いて行って　野山で暮した事で　自分の家の土地が　今ではもう・・原野に
還ってしまって居ても　場所が判る事。　今頃・・それが役に立った。

ｂ４の用紙　まるまるいっぱいにある筆番の殆どが資産価値がありません。
そしてそれを継ぐ　人も居ません。
こうやって・・現地を知る人も私が最後です。その私も他所に嫁いだ身です。
こういう日本の過疎地　沢山あるんだろうなぁ。。。

とても残念に思うけど・・今の稼ぎのない私では次の世代まで　継続できるすべは無い。
次の世代となるべき　子供たちは　近くに居ないのだから。
野山は原野となりつつある。何処もかしこも。。。　うちだけではない。

あの懐かしい　雄大な自然は　無くなるのだろうか？