恵方巻といえば、節分に食べると縁起が良いとされる太巻きのことだと、
誰もが知ってる。
だが、貧乏のドン底にいるものにとっては、そんな縁起物も時として、
不幸を招く代物にかわってしまうのだ。
スーパーで働いている知人が、節分の翌日に電話をかけてきた。
”今日限りで、廃棄になる恵方巻があるんだけど、猫山さん、いる?”
”なにーっ!廃棄だとー、そんなもの、食えるかいっ!”(心の声)
そんな風にいってやりたい、本当は。
だけど、極貧の私は、にこやかに
”それは、いいねえー ぜひ、いただきます!”心にも、ない受け答えをしてしまう。
節分が終わったら、捨てられる恵方巻たちは、こうして、私のもとへ
やってきたのだった。
実際、どっちの方角を向けばいいのかも、分からないし、
早く食べなければ、腐るのではないか、という不安もあったので、
勢いよく、かぶりつき、たいらげることにした。
縁起物だということで、糖尿のことも、なるべく、考えないようにした。
”どうか、血糖値がさがりますように、、、。”
だが、そんな私のささやかな願いは、恵方(吉方)の神様に届くことは、
なかった。
その日の、翌朝から、悪夢は、始まった。
ことも、あろうことに、家の裏にすんでる意地の悪い婆さんに、
ばったり会ってしまったのだ。
”あら、猫山さん、元気そうで、何よりね。
私、てっきり、また、電気が、とまってしまったのかと、心配してたのよ”
”けっ!心にも、ないことをいいやがって!”
まったく、なんて白々しいんだ。
家の裏にすんでいる、この婆さん、世間話をするのが、趣味らしく、
昼すぎになると、決まって 誰かしらの、悪口を言ってるのが
聞こえてくるのだ。
いつだったかは、あの婆さん、私のことを近所中に響き渡るでかい声で
話していた。
”ちょっとねー信じられないんだけどねえ、あの猫山さん、
夜逃げしたみたいなのよ、最近、家のほうから音もしないし、
前から怪しいとは、おもってたのよねえ。”
俺は、ここにいるぞおー。婆さんの声は、しっかり、
聞こえてるぞっ。(そんな風に叫んでやりたい!)
縁起物であるはずの恵方巻を賞味期限、ぎりぎりで食べたせいで
逆に不幸を呼び込んでしまったに違いない。
そう思った瞬間、悲しみが私の胸にこみ上げてきた。
だが、みてろー婆さんめっ!
絶対、貧乏から抜け出してやるからな。
廃棄の恵方巻を食べたことも、ありましたねーと、
いつか笑ってやるからな。
婆さんの思う壺にはさせないぞ。
婆さんの顔に、なぜか、貧乏神の薄ら笑いを感じた朝だった。
誰もが知ってる。
だが、貧乏のドン底にいるものにとっては、そんな縁起物も時として、
不幸を招く代物にかわってしまうのだ。
スーパーで働いている知人が、節分の翌日に電話をかけてきた。
”今日限りで、廃棄になる恵方巻があるんだけど、猫山さん、いる?”
”なにーっ!廃棄だとー、そんなもの、食えるかいっ!”(心の声)
そんな風にいってやりたい、本当は。
だけど、極貧の私は、にこやかに
”それは、いいねえー ぜひ、いただきます!”心にも、ない受け答えをしてしまう。
節分が終わったら、捨てられる恵方巻たちは、こうして、私のもとへ
やってきたのだった。
実際、どっちの方角を向けばいいのかも、分からないし、
早く食べなければ、腐るのではないか、という不安もあったので、
勢いよく、かぶりつき、たいらげることにした。
縁起物だということで、糖尿のことも、なるべく、考えないようにした。
”どうか、血糖値がさがりますように、、、。”
だが、そんな私のささやかな願いは、恵方(吉方)の神様に届くことは、
なかった。
その日の、翌朝から、悪夢は、始まった。
ことも、あろうことに、家の裏にすんでる意地の悪い婆さんに、
ばったり会ってしまったのだ。
”あら、猫山さん、元気そうで、何よりね。
私、てっきり、また、電気が、とまってしまったのかと、心配してたのよ”
”けっ!心にも、ないことをいいやがって!”
まったく、なんて白々しいんだ。
家の裏にすんでいる、この婆さん、世間話をするのが、趣味らしく、
昼すぎになると、決まって 誰かしらの、悪口を言ってるのが
聞こえてくるのだ。
いつだったかは、あの婆さん、私のことを近所中に響き渡るでかい声で
話していた。
”ちょっとねー信じられないんだけどねえ、あの猫山さん、
夜逃げしたみたいなのよ、最近、家のほうから音もしないし、
前から怪しいとは、おもってたのよねえ。”
俺は、ここにいるぞおー。婆さんの声は、しっかり、
聞こえてるぞっ。(そんな風に叫んでやりたい!)
縁起物であるはずの恵方巻を賞味期限、ぎりぎりで食べたせいで
逆に不幸を呼び込んでしまったに違いない。
そう思った瞬間、悲しみが私の胸にこみ上げてきた。
だが、みてろー婆さんめっ!
絶対、貧乏から抜け出してやるからな。
廃棄の恵方巻を食べたことも、ありましたねーと、
いつか笑ってやるからな。
婆さんの思う壺にはさせないぞ。
婆さんの顔に、なぜか、貧乏神の薄ら笑いを感じた朝だった。