何日か前に、朝の番組であるNHK「朝イチ」で統合失調症について特集していた。
統合失調症は100人にひとり罹る本来は珍しくない病気である。しかし所「陽性状態」のときには、幻聴や幻覚により特異な行動を取ったりするために「キチガイ」扱いをされ、また家族もその病気を隠したがる。「陰性状態」のときには何の気力もなく家で閉じこもることが多い。
「あさイチ」でも言っていたが未だはっきりとした原因は解明されておらず、抗精神病薬によって病状をコントロールする対処療法しかなく、根本治療は確立されていない。
ただ、双極性障害でもそうであるが、脳内でドーパミン等の脳内物質が異常増殖していることはある程度判ってきている。昔は「精神病」というと社会的にも家族的にも受け入れがたいことばであって、それ故に「こころの病」という言葉が使われるようになった。けれど僕も含む精神病患者は「こころ」が病んでいるわけではないのだ。
もちろん、適切な治療を受けられなかったり、病気に波があったりして、異常な興奮状態を起こすことはある。しかしそれは脳が異常な状態であるだけで、こころが異常であるわけではない。ボクが通うデイケアで出会う人たちはみな人の傷みを理解する心優しき人々である。
双極性障害研究者の加藤忠史氏が主張するように、精神病は「脳という臓器の病」なのだと思う。このことは脳研究が進んでいけば今以上にはっきりとした研究結果が発表されるはずである。
統合失調症は20才前後から30才にかけて発病する病である。そして薬の開発が進んでいる現在、発見が早ければ社会復帰も可能だ。100人にひとりの病なのだから、会社でひとりくらい統合失調症の人が働いていても本当はおかしくない。
ふつうに精神障害者が社会の中にいる、そんな時代がくればいいなと思う。