どこ吹く風

旅のことを主に書く。

翠崋山 石林

2010年10月13日 09時09分29秒 | 西安・敦煌遊学
 電気自動車は山あいの広場に着いた、周りを見ても特に何が有るということもなくハイキングのスタート地点の感じさえ受ける。私たち三名を除いた皆さんは降りたけど我々は天池へ行くことにした。


 電気自動車は少し戻り右手の山に登り始めた、ジグザグに高度を上げてトンネルを過ぎると開けて村も見えてきた。降りると食堂の客引きがいる、昼食には未だ早いので断って池に向かった。岩が地面から突き出ている、説明プレートに山崩れとか地学とかの文字があるのでこの一帯は学術的に珍しい地層を成しているようだ。
中国語以外に英語、ハングルもあり珍しく日本語での説明も併記されている。入館しなかったけど日本人作家の作品を展示した建物もあった。ここを訪れる日本人がいるのか。

 西安市内の興慶宮公園の阿倍仲麻呂記念館さえ閉館し撤去されている。ニッポン人の西安観光に対する意識の変化が見られるなか、このような場所まで足を伸ばすとは考えにくい。当局のニッポン人受け入れの熱意を現しているのか、それとも特に何かの縁があるのだろうか。景色や手軽さで観光地としての要件は備えている、でもそれだけでツアー客が呼べるとは思えない。

 池は広くボートも浮かんでいる、この池は唐代の地震によってできたので地学的には新しい。湖畔の歩道も整備されているので一周しても良さそうだ。突然”日本人ですか。”と声を掛けられた。日本語学科の学生とのこと、一緒に廻ろうと誘うと食事中なので後で何処かで会いましょうと断られた。

 案内板によると、風穴、氷風洞、石林など見どころが点在している。それらを廻る道があるのでまず風穴に向かった。雲仙の普賢岳にも風穴や鳩穴と呼ばれる洞窟があり冷たい風が吹いてきて、天然の氷が詰まっていた。初めて天然の氷に接したのは鳩穴だった。
こちらの風穴に氷は見えなかったが涼しい風が吹いてきた。割れた岩が「斎場御嶽」を思わせるように覆いかぶさっている。琉球石灰岩と花崗岩の違いはあるものの雰囲気が似ていて、神に近づく通り道を思わせる。途中に社があったが古代の人が感じる神は共通しているようだ。

 岩々の隙間や洞窟をくねくねと曲がり降りてルートは続く。ひんやりして気持ちがいい。頭を岩にぶっつけないように、また足元に気をつけながら散策を楽しむ。
太陽の下に出ると辺りの岩に文字が彫られている、大小様ざまで漢詩あり景勝地を称える文言ありで岩をキャンバスにした一大展示場になっている。
石林は天然自然に描かれた書の展示会場である。雄大な岩山をバックに刻まれた文字は美しさ力強さで床の間の書とは違う。

 大自然の中に掘り込まれ、浮かび上がった文字から力を感じた。
石林の後ろには高く聳えるピークが見える。せっかくだからあそこまで上がろう。

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