日本のこれからの望ましい産業構造について、慶応大学の池尾教授は、つぎのようにのべられています。
「経済資源のかなりの部分を医療・健康・介護の分野に回し、残りの経済資源は日本に比較優位がある産業のみに投下し、海外から買ったほうが安くつくようのものを国内で生産したりする無駄は徹底的に排除する。資源を比較優位のある分野に集中して、それで外貨を稼いで、必要なものの大半を輸入する。したがって、貿易依存度も上昇することになるので、外需依存型の経済成長路線とはことなる。」
「ならば、日本に比較優位があり、輸出産業となるのは何か? インフラ輸出、新素材、工作機械・・・?」
それを実現するのは、「ターゲティング政策ではなく、生産要素市場(労働市場、資本市場)改革を通じて」という。
したがって、「積極的な労働市場政策が、最大の課題である」とされている。
この議論の陰には、食糧自給や農業政策の問題もかくされているので、単純に結論を出すのはむずかしい。農産品を「国内で生産したりする無駄を徹底的に排除する」ならば、地方の経済はまちがいなく壊滅し、多くの村や町の消滅が加速します。
一方、新しい産業構造をつくりだしていくために、「積極的な労働市場政策が、最大の課題である」という指摘は正しいでしょう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます