今回は、2008年ノーベル物理学賞の受賞理由となった、自発的対称性の破れと小林・益川理論について、素人的な説明をしていこうと思います。
斜め読みして下さい。
まず第1部は、素粒子物理学に自発的対称性の破れの考えを導入した南部理論についてです♪
【自発的対称性の破れ】
素粒子物理の話は後回しにして、もっと日常的な話から始めますね。
細長い円柱形の棒が立っているとします。
完全に材質が均一で完全な円柱形だとします(実際ありえないけど)。
棒を上から軽く押さえつけるとどうなりますか?
完全な円柱形(対称)なので、棒が横に折れたり、横に曲がったりすることはないはずです。
材質によっては少し縦方向に縮むかもしれませんが、それでも材質が均一なので棒の形が歪むことはありません。
つまり対称性が保たれます。
それじゃあ押さえつける力を強くしたらどうなるでしょうか。
常識的に考えて、棒はいずれかの方向に曲がるか折れますね。
しかし、そのような現象が起こった時点で、つまり曲がる(折れる)方向が定まった時点で、もはや対称ではなくなります。
ただし、どの方向に曲がるか(折れるか)は、曲がる(折れる)までは全く分かりません。
いずれの方向でも全く同じ確率で起こりえます。
しかし、加える力が限界を超えると、棒が曲がった方が(折れた方が)安定な状態なので、どこかの方向に曲がる(折れる)結果となります。
これが自発的対称性の破れです。
【ワイン・ボトル型ポテンシャル】
もう一つ、自発的対称性の破れの例です。
ワイン・ボトルの瓶底の形ってご存知ですか?
私は酒がからきしダメなので疎いんですが、中央が盛り上がっていて、その周りの円周状の部分が最も低い形をしています(しているらしいです)。
中央に玉を置いてみます。
すると玉はより低い方へと転がり落ちていきます。
このとき、もし瓶の形が完全に対称であったら(そしてもちろん玉自体も完全な球体であったら)、いずれの方向へ転がる確率も同じです。
しかし、中央の山の頂で絶妙のバランスをとってとどまるのは不可能で、最も低い場所に移動する方が安定です。
しかし、どこかの方向に玉が落ちた時点で、対称性が破れてしまいます。
上の例と同様、より安定な状態に移るときに、元々あった対称性が崩れてしまうのが、この自発的対称性の破れの特徴です。
【南部・ゴールドストーンの定理】
ここからは量子力学に踏み込んでいきます。
ある系がより低いエネルギー状態に移るときに、自発的対称性の破れが生まれることは上の説明の通りです。
ワイン・ボトルを例にとると、底の円周上のどこかに落ちた玉を円周に沿って少し動かすのに必要なエネルギーは極めて小さくて済むはずです。
元々の対称性があるので、そのように極めて小さいエネルギーで円周方向に動くような「ゆらぎ」が発生します。
発生した「ゆらぎ」は波として伝わります。
このように、自発的対称性の破れが生じると、この種の波が発生します。
量子力学では、振動数νの波はhνのエネルギーをもつ粒子として振る舞います。
自発的対称性の破れによって、南部=ゴールドストーン粒子と呼ばれるこのようなエネルギーの極めて小さい粒子が生まれます。
量子力学に自発的対称性の破れという考えを導入し、そのような粒子の発生を予言したのが南部陽一郎氏の業績です。
次の第2部では南部理論が、その後どのように発展していったかをみていきます!
第2部 南部理論からの発展
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/9794160b601946874a5869b3a50372bf
第3部 CP対称性の破れ
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/7773aa8181b15c46c8a0b08369b3737b
第4部 小林・益川理論と素粒子物理学の行方
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/d42bd8f58a5521121ae5801e162ce7e9
斜め読みして下さい。
まず第1部は、素粒子物理学に自発的対称性の破れの考えを導入した南部理論についてです♪
【自発的対称性の破れ】
素粒子物理の話は後回しにして、もっと日常的な話から始めますね。
細長い円柱形の棒が立っているとします。
完全に材質が均一で完全な円柱形だとします(実際ありえないけど)。
棒を上から軽く押さえつけるとどうなりますか?
完全な円柱形(対称)なので、棒が横に折れたり、横に曲がったりすることはないはずです。
材質によっては少し縦方向に縮むかもしれませんが、それでも材質が均一なので棒の形が歪むことはありません。
つまり対称性が保たれます。
それじゃあ押さえつける力を強くしたらどうなるでしょうか。
常識的に考えて、棒はいずれかの方向に曲がるか折れますね。
しかし、そのような現象が起こった時点で、つまり曲がる(折れる)方向が定まった時点で、もはや対称ではなくなります。
ただし、どの方向に曲がるか(折れるか)は、曲がる(折れる)までは全く分かりません。
いずれの方向でも全く同じ確率で起こりえます。
しかし、加える力が限界を超えると、棒が曲がった方が(折れた方が)安定な状態なので、どこかの方向に曲がる(折れる)結果となります。
これが自発的対称性の破れです。
【ワイン・ボトル型ポテンシャル】
もう一つ、自発的対称性の破れの例です。
ワイン・ボトルの瓶底の形ってご存知ですか?
私は酒がからきしダメなので疎いんですが、中央が盛り上がっていて、その周りの円周状の部分が最も低い形をしています(しているらしいです)。
中央に玉を置いてみます。
すると玉はより低い方へと転がり落ちていきます。
このとき、もし瓶の形が完全に対称であったら(そしてもちろん玉自体も完全な球体であったら)、いずれの方向へ転がる確率も同じです。
しかし、中央の山の頂で絶妙のバランスをとってとどまるのは不可能で、最も低い場所に移動する方が安定です。
しかし、どこかの方向に玉が落ちた時点で、対称性が破れてしまいます。
上の例と同様、より安定な状態に移るときに、元々あった対称性が崩れてしまうのが、この自発的対称性の破れの特徴です。
【南部・ゴールドストーンの定理】
ここからは量子力学に踏み込んでいきます。
ある系がより低いエネルギー状態に移るときに、自発的対称性の破れが生まれることは上の説明の通りです。
ワイン・ボトルを例にとると、底の円周上のどこかに落ちた玉を円周に沿って少し動かすのに必要なエネルギーは極めて小さくて済むはずです。
元々の対称性があるので、そのように極めて小さいエネルギーで円周方向に動くような「ゆらぎ」が発生します。
発生した「ゆらぎ」は波として伝わります。
このように、自発的対称性の破れが生じると、この種の波が発生します。
量子力学では、振動数νの波はhνのエネルギーをもつ粒子として振る舞います。
自発的対称性の破れによって、南部=ゴールドストーン粒子と呼ばれるこのようなエネルギーの極めて小さい粒子が生まれます。
量子力学に自発的対称性の破れという考えを導入し、そのような粒子の発生を予言したのが南部陽一郎氏の業績です。
次の第2部では南部理論が、その後どのように発展していったかをみていきます!
第2部 南部理論からの発展
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/9794160b601946874a5869b3a50372bf
第3部 CP対称性の破れ
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/7773aa8181b15c46c8a0b08369b3737b
第4部 小林・益川理論と素粒子物理学の行方
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/d42bd8f58a5521121ae5801e162ce7e9
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