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アポロ月着陸40周年~日食特集第2部

2009-07-20 22:39:00 | 特集
部分日食を観測して、月の大きさを測ろう!

てなわけで、第1部に引き続いて日食特集です。
望遠鏡や特別な道具は一切必要ない方法なので、皆さんも試してみて下さい。

第1部では日食から月の大きさを知る原理を解説してきました。
第2部では実際の方法を解説していきます。


5.用意するもの

ここで用意するものを挙げておきましょう。

時計……精確な時刻は天体観測に必須です。
太陽観測用メガネ等……太陽の観測には専用のメガネ等が必要です。必ず用意して下さい。
方位磁針……精確な位置情報も天体観測に必須です。最近はGPS装置等便利なものがありますので、代用できるものがあればそれでもOKです。

ここからはこの方法独自のものです。

テレビやインターネット……リアルタイムで皆既日食の中継にも注目しながら部分日食の観測もしましょう。
地図……ライブ中継が行われている場所と、実際に部分日食を観測する場所との位置関係を把握します。
厚紙や板
三角定規……直角の部分があれば、長方形の板でもOK。
定規……長さを測るため。


6.2点同時観測

遠く離れた場所での映像をリアルタイムで見ることができる現代の技術を利用して観測を行います。
トカラ列島、特に皆既日食帯の中央にある悪石島等での中継を見ながら観測します。
その理由は、離れた2つの地点で観測することによって、月の大きさを推定するからです。

下の図のように、10:56分頃にトカラ列島で皆既日食がピークを迎えているころ、そこからD km離れた地点で観測を行ったとします。
D km離れた地点から観測すると、月の位置もD kmだけズレます。
車に乗っているときに、進行方向と逆方向に外の世界が動くのと同じです。
月の見かけの位置のズレと、実際の観測地点間の距離から、月の直径を割り出します。




7.月の見かけの位置のズレを測る

太陽がどれだけ欠けているかを表したのが食分です。
今回は大雑把な大きさを知る目的ですので、見た目で結構です。
トカラ列島で皆既日食が起こっているまさにその頃、食分がどのくらいなのかを観測しましょう。

おおよその食分を見た目で判断するときに、下の図を参考にして下さい。



食分の大きさから、月の見かけの位置を計算しましょう。
太陽の見かけの大きさを1、食分をaとします。
計算を簡単にするために、地球から見た太陽と月の大きさは等しいとします。
つまり、(月の見かけの大きさ)≒(太陽の見かけの大きさ)=1です。
すると下の図のように、月の見かけの位置のズレは1-aとなります。
すると、月の大きさは、月の位置のズレの1/(1-a)倍ということになります。




8.月の大きさを計算する

6で説明したように、皆既日食が起こるトカラ列島からD km離れた場所で観測すると、月の位置はD kmズレて見えます。
ですから、予め自分が観測する場所からトカラ列島までの距離を、地図で測っておきましょう。
7で説明したように、月の大きさは、月の位置のズレの1/(1-a)倍ですから、D/(1-a) kmということになります。

例をあげて説明しましょう。
事前に地図を使って測った観測地点のトカラ列島からの距離が1500 kmだったとします。
当日、トカラで皆既日食が起こっている10:56頃、食分が0.6だったとします。
すると、月の大きさは、
1500 ÷ ( 1 - 0.6 ) = 1500 ÷ 0.4 = 3750 [km]
となります。

ところで、トカラ列島までの距離とは言っても、どこの島までの距離を測ったらいいのでしょうか。
実は、地球から見た太陽と月の大きさはほぼ同じと仮定しましたが、今回の日食では月の方がわずかに大きく見えます。
つまり実際には月はわずかに地球に近い場所にあることになります。
第1部で説明したように、距離が近い程、半影の大きさは小さくなります。
この誤差を最小限にするために、トカラ列島より北の地域では奄美大島北端までの距離を参考にするといいでしょう。
逆に沖縄等の南側の地域では、種子島南端までの距離を参考にした方が精確な値に近づきます。



このように、食分と地図上の距離から、簡単な割り算で月の大きさを測ることができます。
ただし、実はこれだけでは不十分です。
もう一つ考えなければならないのは、太陽の角度です。
真上から照らされるときよりも、斜め横から照らされるときの方が、影が長くのびますよね。
この方法では、影の大きさから実際の大きさを推定しているので、太陽の角度を考えないと実際よりも大きく計算されてしまうんです。
第3部では、太陽の角度による誤差をなくす方法を紹介します。


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