アンテ・リングとメトネ・リングの詳細画像

No.328　2008/9/14作成

Anthe Ring & Methone Ring

このブログで報告した、土星の衛星アンテの軌道上の新リングについて、公式な発表がありました。
前回当ブログで報告した内容と同様、アンテを中心としたアーク状の構造であることが発表されました。

今回の発表では、NASAの土星探査機カッシーニが2007年9月29日に撮影した画像の中に、アンテだけでなく、メトネにも同様のアークが写っていることが明らかになりました。
（元画像が撮影対象：SKYとなっていたため、私は気づきませんでした…orz）
そこで、今回は9月29日に撮影された画像計5枚を合成し、アンテ及びメトネのリング（アーク）の詳細な画像を作ってみました。
左上がアンテ、右下がメトネで、両者とも動いているため太く長い帯に見えています。
両者ともリング（アーク）を伴っており、どちらのリングも非常に細いことがこの画像から分かります。

さて、今回のこの画像のもとになった画像が下の画像です。

一見すると何が写っているのか分かりません。
そこで明るさを強調してみます。
すると、

2つのリングが見えてきました。
また、2つのリングのさらに外側にぼんやりとした帯が見えますが、これはEリングです。
しかしこの画像は縞模様やノイズで本来のリングの構造が見えにくくなっています。
それらを最小限に減らす処理を重ねて行うと下のような画像になります（上2つより狭い範囲の画像です）。

5枚の画像について同様の処理を行い、それらを合成し、さらに処理を加えて、ようやく上のような画像になります。
実はかなり手間のかかった画像ですｗ


アンテは昨年カッシーニが発見した衛星で、直径わずか2kmと現在のところ土星の衛星としては最も小さい衛星です。
また、メトネは2004年にやはりカッシーニが発見した衛星で、直径3～4kmの小さな衛星です。

【参考】オリジナル画像No.312
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/61c3381dca10549b9d80b49cad932212
【参考】オリジナル画像No.317
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/77bbcab742529d0df0183b49c865f5ec

アンテ・リングは他の観測機器のデータから、存在が予言されていました。
それについてはこちら。
【参考】メトネとアンテの軌道上に未確認のリングが存在？
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/6015080d4535e61b14692aaeff4fff1f

元の画像：NASA/JPL提供