上の画像はやぎが独自に合成したタイタンの湖の風景です(credit:NASA/JPL/new_petty75)。
拡大画像はここをクリック
タイタンは土星最大の衛星です。
窒素を主成分とする厚い大気に覆われており、もやのせいで可視光線では地表の様子を見ることができません。
土星探査機カッシーニは、もやを貫通できるレーダーを使って地表を観測しています。
レーダー観測では細かな地形や表面の性質などがわかります。
4月30日のレーダー観測では、Xanadu地域(タイタンに見られる明るい地域)に地球によく似た地形がたくさんあることがわかりました。
川や山、谷、クレーターなどを含む複雑な地形でした。
さらに、7月21日に行われた北極地方のレーダー観測で、液体メタンまたはエタンの湖と思われる地形が多数発見されました。
湖のような地形は以前赤外線観測で見つかっていましたが、レーダーでその表面の詳細な性状が観測された結果、液体の湖である可能性が高まりました。
というわけで…
タイタンに液体の湖がある可能性が高まりました
予想はされていましたが…
先週と今週の最新ニュースでもお伝えしていますが…
今回報告された新発見について特集します♪(・◇・)
(なお、下記の文章は2ちゃんねる科学ニュース+に投稿した翻訳文と同じものです)
★4月30日のレーダー観測結果について
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2006-093
下は和訳です(゜◇゜)
Cassini Reveals Titan's Xanadu Region To Be an Earth-like Land
カッシーニが明らかにしたタイタンのXanadu地域の地球のような地形
2006年7月19日
NASAのカッシーニ探査機から送られてきた新しいレーダー画像により、土星の衛星タイタンのXanadu地域に地球とよく似た地形がみられることがわかった。Xanadu地域はタイタンにある明るい地域で、オーストラリア程の大きさがある。
これらのレーダー画像は長さ4500キロメートル以上にもわたる。Xanadu地域は周囲を暗い地域で囲まれており、孤立した陸塊のように見える。この地域の西の端では、暗い砂丘が広がる地形から、網目状に走る川や丘、谷がある地形へと移り変わっている。これらの細い川は湖と思われる暗い地域に流れ込んでいる。小惑星の衝突もしくは水火山活動によって形成されたクレーターも見える。Xanadu東部にはより多くの川が曲がりくねって流れており、暗い地域へと流れ込んでいる。他の暗い地域では砂丘が豊富に見られるが、そこには砂丘が見られない。アパラチアと同じくらいの大きさの山脈がこの地域を横切っている。
「地上の望遠鏡や宇宙望遠鏡を使ってもあまりに遠くにあるため、この不思議な明るい地域について、私達は推測することしかできなかった。しかし今はカッシーニの強力なレーダーにより、事実が推測に取って代わろうとしている」と、ツーソンにあるアリゾナ大学のカッシーニ学際的科学者Jonathan Lunine博士は言った。「驚いたことに、遠くにあるこの寒い地域には地球と非常に良く似た地形がみられる。」
タイタンの地表は炭化水素のもやに閉ざされて薄暗い。カッシーニのレーダー観測装置は、地表からの電波信号をとらえてその返ってくる時間を計測することにより、もやを通してタイタンの地表を観測することができる。レーダー画像では、明るい地域は荒い、または散乱した物質を示している。一方暗い地域は滑らかな、または電波をより吸収する物質を示し、液体である可能性がある。
Xanaduは、1994年のハッブル宇宙望遠鏡による観測で赤外線画像でみられた明るい斑として最初に発見された。2006年4月30日にカッシーニのレーダーで観測され、表面が風や雨、液体の流れによる変化を受けていることがわかった。タイタンの低温環境では、この液体が水であることはありえない。それはほぼ間違いなくメタンもしくはエタンである。
「タイタンは地球よりも日光が少なく、はるかに小さく、寒い天体である。しかしXanaduはもはや単なる明るい斑状の模様ではなく、日光のない海へと川が流れ込む土地だ」と、Lunine博士は言った。カッシーニがタイタンへ送り込んだ欧州宇宙機関のホイヘンス探査機や、NASAのボイジャー探査機による観測で、メタンの雨や暗いオレンジ色の固体炭化水素が、タイタンの暗い空からすすのように降っている状況が強く示唆されていた。
Xanaduでは液体メタンが雨として降っているか、もしくは泉から湧き出ているのかもしれない。メタンの川はチャネル(液体が流れてできた溝)を作り、タイタンのあちこちで蓄積して砂丘となっている物質を運んでいるのかもしれない。
「この地域では、多くの丘や山が複雑に絡み合うように存在している」と、カリフォルニア州パサディナにあるNASAのジェット推進研究所のカッシーニレーダーチームのリーダー代理Steve Wall氏は言った。「断層や深いチャネル、渓谷などが見られる。またこの地域は、有機質で覆われていない唯一の広大な土地であるようだ。Xanaduの地表は洗い流されたのだ。地下は多孔性の水の氷からなり、たくさんの空洞を含んでいるかもしれない。」
「1980年代、シャトルの撮像レーダーによってサハラの地下にある川が発見された。もしカッシーニのレーダーがなかったとしたら、このような発見はなされなかっただろう。(Xanaduは)調査すべき新大陸である」とWall氏は言った。
カッシーニは7月22日(土)にタイタンの北の高緯度地域を観測することになっている。今後2年間でカッシーニは29回タイタンに接近する予定であり、これはもともと計画されていた4年間のミッションの前半2年間に接近した回数のほぼ倍にあたる。計画されているフライバイのうち12回でレーダー観測が行われる予定になっている。
★7月21日のレーダー観測結果について
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA08630
下は和訳です
タイタンの湖
2006年7月24日
カッシーニ探査機がレーダーを使った(7月21日の)観測で、タイタンに炭化水素の湖が存在することを強く示す証拠を発見した。地球上の湖に似た暗い斑状の地形が、タイタンの北極周辺の高緯度地域に散在している。
タイタンの地表、特により低温の極地方では液体のメタンもしくはエタンが湖を形成しているのではないかと、科学者らは推測していた。画像には様々な暗い斑状の地形が見られ、そのいくつかでは溝が流入する、あるいは流出する様子も見られる。溝の形状からは、それが液体によって削られてできたことが強く示唆される。暗い斑状地形やそれにつながっている溝のいくつかは完全に黒く見えており、これは電波を全く反射しない、すなわち非常に滑らかであることを示している。またいくつかの暗い斑状地形の周りに縁が見られ、液体が蒸発して残った堆積物であると思われる。タイタンの環境では、大気に豊富に含まれるメタンや、化学反応で生じるエタンは液体として安定して存在できるが、水は液体として存在できない。このような理由から、科学者らはこの暗い地域が液体メタンまたはエタンの湖であると考えている。そうだとするとタイタンは地球以外では太陽系で唯一湖の存在が知られている天体ということになる。そのような湖が時間とともに拡大したり縮小したりするかもしれないし、風によって表面の滑らかさが変化するかもしれない。これらが本当に液体からなるのかどうかをさらに確かめるため、これらの地域を繰り返し調べなければいけない。
これら2つのレーダー画像は、2006年7月21日にカッシーニのレーダー観測装置によって得られたものだ。上の画像は中心が北緯80度西経92度付近で、範囲は横420km縦150kmほどである。下の画像は中心が北緯78度西経18度付近で、範囲は横475km縦150kmほどである。この画像の解像度は最大で500mである。
拡大画像はここをクリック
タイタンは土星最大の衛星です。
窒素を主成分とする厚い大気に覆われており、もやのせいで可視光線では地表の様子を見ることができません。
土星探査機カッシーニは、もやを貫通できるレーダーを使って地表を観測しています。
レーダー観測では細かな地形や表面の性質などがわかります。
4月30日のレーダー観測では、Xanadu地域(タイタンに見られる明るい地域)に地球によく似た地形がたくさんあることがわかりました。
川や山、谷、クレーターなどを含む複雑な地形でした。
さらに、7月21日に行われた北極地方のレーダー観測で、液体メタンまたはエタンの湖と思われる地形が多数発見されました。
湖のような地形は以前赤外線観測で見つかっていましたが、レーダーでその表面の詳細な性状が観測された結果、液体の湖である可能性が高まりました。
というわけで…
タイタンに液体の湖がある可能性が高まりました
予想はされていましたが…
先週と今週の最新ニュースでもお伝えしていますが…
今回報告された新発見について特集します♪(・◇・)
(なお、下記の文章は2ちゃんねる科学ニュース+に投稿した翻訳文と同じものです)
★4月30日のレーダー観測結果について
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2006-093
下は和訳です(゜◇゜)
Cassini Reveals Titan's Xanadu Region To Be an Earth-like Land
カッシーニが明らかにしたタイタンのXanadu地域の地球のような地形
2006年7月19日
NASAのカッシーニ探査機から送られてきた新しいレーダー画像により、土星の衛星タイタンのXanadu地域に地球とよく似た地形がみられることがわかった。Xanadu地域はタイタンにある明るい地域で、オーストラリア程の大きさがある。
これらのレーダー画像は長さ4500キロメートル以上にもわたる。Xanadu地域は周囲を暗い地域で囲まれており、孤立した陸塊のように見える。この地域の西の端では、暗い砂丘が広がる地形から、網目状に走る川や丘、谷がある地形へと移り変わっている。これらの細い川は湖と思われる暗い地域に流れ込んでいる。小惑星の衝突もしくは水火山活動によって形成されたクレーターも見える。Xanadu東部にはより多くの川が曲がりくねって流れており、暗い地域へと流れ込んでいる。他の暗い地域では砂丘が豊富に見られるが、そこには砂丘が見られない。アパラチアと同じくらいの大きさの山脈がこの地域を横切っている。
「地上の望遠鏡や宇宙望遠鏡を使ってもあまりに遠くにあるため、この不思議な明るい地域について、私達は推測することしかできなかった。しかし今はカッシーニの強力なレーダーにより、事実が推測に取って代わろうとしている」と、ツーソンにあるアリゾナ大学のカッシーニ学際的科学者Jonathan Lunine博士は言った。「驚いたことに、遠くにあるこの寒い地域には地球と非常に良く似た地形がみられる。」
タイタンの地表は炭化水素のもやに閉ざされて薄暗い。カッシーニのレーダー観測装置は、地表からの電波信号をとらえてその返ってくる時間を計測することにより、もやを通してタイタンの地表を観測することができる。レーダー画像では、明るい地域は荒い、または散乱した物質を示している。一方暗い地域は滑らかな、または電波をより吸収する物質を示し、液体である可能性がある。
Xanaduは、1994年のハッブル宇宙望遠鏡による観測で赤外線画像でみられた明るい斑として最初に発見された。2006年4月30日にカッシーニのレーダーで観測され、表面が風や雨、液体の流れによる変化を受けていることがわかった。タイタンの低温環境では、この液体が水であることはありえない。それはほぼ間違いなくメタンもしくはエタンである。
「タイタンは地球よりも日光が少なく、はるかに小さく、寒い天体である。しかしXanaduはもはや単なる明るい斑状の模様ではなく、日光のない海へと川が流れ込む土地だ」と、Lunine博士は言った。カッシーニがタイタンへ送り込んだ欧州宇宙機関のホイヘンス探査機や、NASAのボイジャー探査機による観測で、メタンの雨や暗いオレンジ色の固体炭化水素が、タイタンの暗い空からすすのように降っている状況が強く示唆されていた。
Xanaduでは液体メタンが雨として降っているか、もしくは泉から湧き出ているのかもしれない。メタンの川はチャネル(液体が流れてできた溝)を作り、タイタンのあちこちで蓄積して砂丘となっている物質を運んでいるのかもしれない。
「この地域では、多くの丘や山が複雑に絡み合うように存在している」と、カリフォルニア州パサディナにあるNASAのジェット推進研究所のカッシーニレーダーチームのリーダー代理Steve Wall氏は言った。「断層や深いチャネル、渓谷などが見られる。またこの地域は、有機質で覆われていない唯一の広大な土地であるようだ。Xanaduの地表は洗い流されたのだ。地下は多孔性の水の氷からなり、たくさんの空洞を含んでいるかもしれない。」
「1980年代、シャトルの撮像レーダーによってサハラの地下にある川が発見された。もしカッシーニのレーダーがなかったとしたら、このような発見はなされなかっただろう。(Xanaduは)調査すべき新大陸である」とWall氏は言った。
カッシーニは7月22日(土)にタイタンの北の高緯度地域を観測することになっている。今後2年間でカッシーニは29回タイタンに接近する予定であり、これはもともと計画されていた4年間のミッションの前半2年間に接近した回数のほぼ倍にあたる。計画されているフライバイのうち12回でレーダー観測が行われる予定になっている。
★7月21日のレーダー観測結果について
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA08630
下は和訳です
タイタンの湖
2006年7月24日
カッシーニ探査機がレーダーを使った(7月21日の)観測で、タイタンに炭化水素の湖が存在することを強く示す証拠を発見した。地球上の湖に似た暗い斑状の地形が、タイタンの北極周辺の高緯度地域に散在している。
タイタンの地表、特により低温の極地方では液体のメタンもしくはエタンが湖を形成しているのではないかと、科学者らは推測していた。画像には様々な暗い斑状の地形が見られ、そのいくつかでは溝が流入する、あるいは流出する様子も見られる。溝の形状からは、それが液体によって削られてできたことが強く示唆される。暗い斑状地形やそれにつながっている溝のいくつかは完全に黒く見えており、これは電波を全く反射しない、すなわち非常に滑らかであることを示している。またいくつかの暗い斑状地形の周りに縁が見られ、液体が蒸発して残った堆積物であると思われる。タイタンの環境では、大気に豊富に含まれるメタンや、化学反応で生じるエタンは液体として安定して存在できるが、水は液体として存在できない。このような理由から、科学者らはこの暗い地域が液体メタンまたはエタンの湖であると考えている。そうだとするとタイタンは地球以外では太陽系で唯一湖の存在が知られている天体ということになる。そのような湖が時間とともに拡大したり縮小したりするかもしれないし、風によって表面の滑らかさが変化するかもしれない。これらが本当に液体からなるのかどうかをさらに確かめるため、これらの地域を繰り返し調べなければいけない。
これら2つのレーダー画像は、2006年7月21日にカッシーニのレーダー観測装置によって得られたものだ。上の画像は中心が北緯80度西経92度付近で、範囲は横420km縦150kmほどである。下の画像は中心が北緯78度西経18度付近で、範囲は横475km縦150kmほどである。この画像の解像度は最大で500mである。
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/bd85acc0ef1bcc2f8b45756386c98100
と
http://blog.goo.ne.jp/new_petty75/e/48394634aaada78615f97b0ec5cea797
の紹介記事が気に入りました。
火星の砂模様とたくさんの銀河・・・
宇宙の造形・・・素敵ですね。
記事を色々と読んで下さりありがとうございます。
宇宙は写真を見ているだけでも飽きないですよねぇ~♪
宇宙は時に、私達が想像だにしない神秘的な姿を見せてくれます。
宇宙に限らず、自然って広くて深いなぁといつも思ってしまいます(^◇^)
最近忙しくてニュースコーナーは縮小してるんで、以前のように詳細に紹介することはできないんですが、これからも素敵な画像やニュースがあれば紹介していきたいと思いま~す☆
そしてそれが美しい映像でしたら感動ものですよね。
一応、私も宇宙ファンなので・・・・。
お忙しくて記事更新大変だとは思いますが、やぎさんのblogにまた遊びにこようと思います。
これからもよろしくお願いします。
なんだかワクワクしますよ!!
TBありがとう。
合成したタイタンの湖の風景、美しいですね。
想像力がかき立てられます。
とても興味深いお話が沢山あるので
また遊びに来たいです。
>kitokitoさんへ
宇宙はまだまだ謎だらけ
宇宙が遠くまで広がっているように、謎の向こう側にまた謎が続いているんですよねぇ~
>ゆーじさんへ
宇宙は想像力をかきたててくれます。
好奇心をそそるような画像をこれからも紹介していけたらと思います。
>amさんへ
正直なところ、実際にタイタンに行ってもこのような光景は見られないかも知れません(^◇^;)
タイタンはもっともやが濃くて、遠くまで見えることはないんですよね。
赤外線で見たらこんなふうに見えるかも知れません。
何か情報があればお互いTBしましょう♪