7月15日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
ありがたいお得意さん
お得意さんの中には、つくっ たものを持っていくと「これはなかなか苦心してつくってある。よくできている」とこちらが嬉しくなるようなことを言って買ってくださる非常にいいお得意さ んもあれば、逆に「こんなものはダメだ。値も高いし、できもよくない。よそのはもっといい」と持って帰れと言わんばかりのお得意さんもあります。
そのときにどちらがありがたいかということです。ほめて買ってくだされば、それが一番いいけれど、そんないいお得意さんばかりでもかえって具合が悪い。世の中を甘く見、勉強しないようになるからです。厳しいお得意さんも、またありがたいお得意さんと言えるでしょう。
2013年7月15日天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
天声人語
▼若くして歴史に残る存在となってしまったことの重さはいかばかりかと思う。しかし、この少女ならその重さを正面から受け止め、力に変えていくのではないか、とも思わされる。国連での演説はそれほど感銘深いものだった
▼パキスタンで武装勢力に頭を撃たれたマララ・ユスフザイさん(16)が12日、ニューヨークに姿を見せた。イスラム過激派の逆鱗(げきりん)に触れた「女の子にも教育を」の信念は、より確かなものとなったようだ
▼事件が彼女の志を挫(くじ)くことはなかった。むしろ彼女の中で「弱さ、恐怖、絶望が死に、強さ、力、勇気が生まれた」という。「本とペンを手に取ろう。それが最強の武器なのです」。堂々の語り口は理想を追う政治指導者の風格すら感じさせた
▼自身を銃撃したテロリストをも赦(ゆる)す。「彼らを憎んではいません」。慈悲の心、非暴力の哲学。預言者ムハンマドやキリストからガンジー、マザー・テレサまで、先哲からの学びの厚みが言葉を支える
▼世界では多くの女子が低年齢での結婚を強要されたり、無理に働かされたり、人身売買されたりしている。彼女らの人権を守れ。マララさんは、日本の憲法前文でいう「人類普遍の原理」に拠(よ)って立つ
▼元は西欧起源の思想かも知れない。しかし、それが南西アジアの少女の血肉となり、武器となる。その意義をわかち合った聴衆の総立ちの拍手は、世界に残された希望である。普遍の原理があまりお好みでなさそうな為政者にも、ぜひ画像で見ていただきたい。