7月20日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
“仕事の上手”に
日本古来の武道の一つに“弓道” があるが、この道の達人の域に達すると、たとえ眼かくしをして矢を放っても、ピシャリと的を射るという。しかし、こういった名人の域に達するには一朝一夕 ではとても覚つかない。一矢射るたびに必ず検討を加え、工夫を重ねていって、一歩一歩、上達していくのである。
私は“仕事”にしても、 これと同じことが言えると思う。日々、みずからの仕事の成果を検討することに努めれば、必ずや“仕事の名人”とまではいかなくとも“仕事の上手”にはなれ ると思う。百本の矢を射れば、少なくとも八十本は的に当たるという“上手”の域にまで、おのおのの仕事を高めたい。
2013年7月20日天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
天声人語
▼泣きべそ顔のイタズラ坊主に麦茶を飲ませながら、じいさんが言って聞かせている。〈わしもなぁ、昔はよくケンカをしたもんじゃよ〉。無謀にも屈強な大男に食ってかかり、〈最後に大きなゲンコツを二発くらってな〉、白旗をあげた
▼じいさんは死にそうになりながら、〈心から誓ったんじゃよ。もう二度と、ケンカはしない、と〉。そして相手の大男や迷惑をかけたまわりの人々に約束して回った。〈平和のために力をあわせよう〉
▼5月に出版された『ケンポーじいさん、ながいきしてね。』から引いた。敗戦で生まれた日本国憲法の根っこにある考え方を子どもにもわかるように説く。語り手のじいさんは、日の丸のような真っ赤なまるい顔に白い目と髭(ひげ)のキャラクターだ
▼写真家の坂田栄一郎さんら5人が合作した美しいアート本。四季折々の風景の中にじいさんが佇(たたず)んでいて、その姿にほっと和む。坂田さんによると、政界の憲法論議が下火になっていた4年前に作業を始め、たまたまこの時期の刊行となった
▼改憲か護憲かという政治の議論に踏み込むつもりはない。ただ、「この国がもう二度と戦争によって焦土と化すことがないように願う心の叫び」を、じいさんの言葉から聞き取ってほしいという
▼あす参院選。憲法をめぐる主張いかんで支持不支持を決める人ばかりではなかろう。ただ選挙後の政治を動かす軸になる可能性が高い。ここは考えどころだ。一票を投じる前に、どんな形であれ憲法に触れてみては。
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