エルビアサウニールでの討伐を終えて、ケプランの町に戻ってきた。
いつの間にか寒さが身にしみる時期になってきた。晴れた空に雲一つ無く、ほてった体に冷風が心地いいと感じるのもわずかな間で、すぐに汗が冷えて急速に身体の熱を奪っていく。
井戸の水を使わせてもらい、身体と防具を拭きながらペットたちに餌をやる。馴染みの住民と軽く雑談を交わし、荷物を倉庫に預け、新調した防寒着を着る頃には、ペットたちは食事を終え、各毛繕いをしたりじゃれ合っていた。
と思ったら、鷹のホーがバサッと羽ばたいていき、他のペットたちが一斉に一方向を見た。ワンコが警戒のうなり声を上げている。
見ると、この世界一番の厄介者マルニが、人を一人連れてこちらに歩いてくるのが目に入った。内心舌打ちを打った。いつもの自信あふれる笑顔を左右にむけ、求められてもいないのに手を振る。周囲の胡乱な視線にはまるで頓着もせず、むしろ自分の才能にそういうモノはつきものだと言わんばかりの横柄さを隠そうともしない。
「やあ冒険者君、元気かい? ウルキタじゃあ大活躍だったそうじゃないか。なんで私を呼んでくれなかったんだい、友よ」
そう言うだけの実力と実績があるからこそ、この男はやっかい極まりないのだ。
「いやなに、古い友人を別の古い友人にぜひ紹介しようと思ってね、捜してしまったよ。そういうのも、案外洒落ているだろう?」
そしてこちらの都合も考えずに、自分のやりたいことだけを押し通す。
深いため息をついてチラと見ると、私たちの頭上をホーが交互に円を描いて飛んでいる。どう見ても警戒状態だ。ペットたちのうなり声も止まない。いや、ペットたちがうなり声を向けているのは、マルニではなかった。
視線をあげると、シルクハットの成れ果てのようなよれた帽子をかぶった、スラリとした女性だった。こちらに関心なさそうに、何を見るわけでもなくぼうっと立っているだけだったが、つと視線が合った途端に、マルニ以上に私の警戒心も跳ね上がった。いつもは背中に感じる剣と盾の重みが、そこになかったことに焦る。
「こちらは、ミス ジェイヴィ。弟さんを捜しにはるばるこの世界にやってきた、勇気ある変人さんだ」
「ふざけんじゃないわよ」
感情的な言葉に感情がのってない。背負っている棒状のモノが鈍く光った。あれはショットガンというヤツだろうか。だらんと下げた手の先がピクリを動く。ワンコが立て続けに吠えた。
「さっきからうっとうしんだよ!」
予備動作なしで脚が跳ね上がる。その先にいるのはワンコ。私は強引に身体をねじ込み、膝を曲げた状態で彼女の蹴りを受けた。
「…飼い主の躾がなってないからだろ?」
肩越しに睨んだ返答が、これだ。どうにも、好戦的過ぎる。ワンコは吠えるのをやめない。他のペットも毛を逆立てて、四つ足をグッと踏ん張るように構えている。
「それとも、飼い主直々に責任取ってくれるのかい?」
言うが早いか、女は後ろに跳びずさり、低い姿勢からさらに地を這うように脚を回転させてきた。私は井戸に立てかけてあった自分の剣をひっつかみ、振り向きざまに鞘から抜いて地面に突き立てた。刃を女の脚に向けて。女の顔が引きつる。女はそのまま体ごと回転させて地面に手をついて逆立ちのように身体を持ち上げる。開かれた足が凶器となり私の頭を横殴りにする。のけぞって躱す。独自の体術かなにかか、不思議な動きをして女が目の前に仁王立ちする。手には銃。膝立ちの私の顔に突きつけられる。私の剣先は女の喉元。小さな赤い筋を作り、赤いしずくが一滴、垂れる。
やるなら外でやれ。いつの間にか周りを取り囲んだ衛兵のその言葉に我に返った。マルニが大仰に拍手をする。
「いやあ、冒険者というモノは己の力で語り合うというが、いいものが見れたよ。私にも語り合えるぐらいの仲間が欲しいものだなぁ」
やけに湿気った声音で、マルニは呟いた。
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はい、黒い砂漠日記です。
あけましたのでことよろです。
だいぶ間が空いてしましました。ゲームではメインキャラが夢のAD700まであともう少しというところで足踏み状態なのですが、君王武器やらカラザドアクセリーやらが実装されて、AD700がスタートラインという空気が醸成されつつある気がします。なんでやねん (´・ω・`)
最近のアップデートで新クラス「DEADEYE」デッドアイも実装されました。シーズンでLv.61まで育てましたが、このキャラは狩りキャラになるだろうなというのがワタクシの感想です。範囲殲滅力はたいしたものですが、覚醒武器のタメの多さはちょっと対人には向かないんじゃないかなと。
そんなDEさんをちょっと誇張(妄想過多)して砂漠日記にしてみました。YouTubeのCMにもあるとおり、どう考えてもおしとやか系ではないです。ちなみにウチのDEさんはショートカット(ベリーショートに近い)にしているので、ウエスタンハットをかぶるとロングになってしまうのはいただけません。帽子だけの衣装を早く。というか、そもそも衣装が少なすぎないかね?
微睡みの幻想馬が配布されたり、釣り金策が現実的に実(身)になるようになったり、運営が大盤振る舞いですが、ご新規さんが始めやすい続けやすいというのは、立派なリードポイントになると思います。ただそこで、既存ユーザーをないがしろにするような策を続けると、むしろご新規さんも未来の自分を見るようで愛想を尽かしてしまうと思うので、その辺の案配を、運営さんには頑張ってもらいたいモノです。
むしろ配布とかなんかより、強化・獲得の条件(確率)とか製作物の条件(素材の数量)を緩和してくれた方が嬉しいんですけどね!
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