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少し遅めの朝を迎え、私は定宿の食事処へ降りた。
個人宅を借りた方が何かと楽だが、借りるにしてもそれなりの貢献度をその町や村に示さなければならない。当たり前だ。信用のない人間に、定住して欲しいとは誰も思わないだろう。それがめんどくさくて、私はいつも決まった宿に泊まることにしている。
階下の食事処からは人の声は聞こえなかった。まぶしさではなく強さ . . . 本文を読む
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置き去りにされた馬を回収してフィラ・ク監獄に再びとばされた私は、南の海岸線の探索を諦め、ひとまず砂粒バザールまで戻ってきた。
馬を休め、装備を修理し、頭から水をかぶってさっぱりしたあと、長椅子にだらしなく座り、バザールの住人たちと他愛ない世間話をしながら、だらだらと過ごしていた。砂漠のからっとした日差しを避けつつ . . . 本文を読む
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何度目かの、不思議な体験をした。
ある時ふと、アレハザの村を思い出した。木々に囲まれた穏やかな漁村で、バレンシアで依頼を受けていた頃、何度か足を運んでいた。夕日が綺麗だったのが印象的だ。
そもそも、バレンシアの探索はまだ終わっていないのだった。以前、あの海岸線に沿って南下していたはずが、岩山 . . . 本文を読む
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女商人のエリーが、長い旅に出るそうだ。顔なじみの客も多かっただろうが、新天地でさらに儲けてくる、と言ったとか言わなかったとか。どちらにせよ商魂たくましい女性だった。
が、困ったことが一つ。エリーが格安で売っていた「クロン定食」が、もう手に入らないと言うことだ。
いや、クロン定食自体は広く一般に売られているが、1シルバーで売っていたのはエリーだ . . . 本文を読む
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変質したトゥーロ族を倒せ。そう依頼されてから何度、土を舐め草木を自分の血で染めたか。
とにかく、切って切って切りまくるしかなかった。奴らはそれほど機敏に動く種ではないようだ。だからこそ、こちらが素早く動き回り、隙を見つけては剣の切っ先を、奴らの肉に食い込ませてやるしかないのだ。
奴らの攻撃を躱し損ねてその衝撃で頭がクラクラする . . . 本文を読む