いわさきあきらの音人的生活

京都のキーボーディスト岩崎明のブログです。音楽の知識、機材の紹介、日記など。

音楽と般若心経 その4 ~あなたの想いは届くのか 前編~

2016年04月21日 | 音楽講座


音楽を演奏するということは、「想い」を伝えること。
 
その「想い」は、どう伝わるのだろうか?
 
そんなことを考えることがありますが、
その答えが般若心経の中にあります。
 
それを前編、後編にわけて、つづっていきます。
 
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「色即是空 空即是色」
 
(色すなわち是れ空 空すなわち是れ色)
  
 
 般若心経のキモとも言えるフレーズ。
 音楽で言えば、サビのフレーズだ。
 
   
「色」は、「物質、モノ」だった。
 では、「空」とは、なんだろう?
  
「空」とは、「実体のないもの」、と言ったが、
 では、「実体がない」ということは、「無」である、ということだろうか?
  
「なんにもない」ということだろうか?
 
   
「是諸法空相」(さて空というのは、)
  
 その後に、般若心経は続く。
  
「不生不滅 不垢不浄 不増不減」
  
(生まれ出ることもなく、消滅することもない。
 汚いものでもなく、清らかなものでもない。
 増えることもない、減ることもない。)
  
 まるで、なぞなぞだ。

 そして、これに関しては、なかなか「なるほど」と納得できる説明に出会ったことはない。
  
 そのなぞなぞのヒントを意外な本の中で見つけた。
 
 車椅子の物理学者スティーブン・ホーキング博士の「ホーキング宇宙を語る」だ。



 
 
 (「音楽と般若心経 その5 ~あなたの想いは届くのか 後編~」へ続く)


音楽と般若心経 その3 ~色におぼれる !?~

2016年04月09日 | 音楽講座

 

音楽で印象派といえば、ドビュッシー、ラヴェル、サティ・・・

 

絵画の印象派ともリンクしていて、淡い色彩感のサウンドが好みだ。

特に、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」はいい。

 

https://www.youtube.com/watch?v=BzWxAymd7po

 

最初、フュージョン(当時はクロスオーバー)系のデオダートのアレンジから入ったのだが、

このコード感はクラシックというより、ジャズに近いかもしれない。

 

ところで、印象派を代表する画家はモネだが、

「積みわら」という作品が面白い。

 

これは時刻、天候、季節によって変わる光。

それによって変化する積みわらの色の変化を描いている。

 

 

つまり、モノには、これという決まった色はない。

光によって変化する仮のものなのだ。

 

これをさらにつきつめると、

世界を白と黒だけで表現する水墨画に行きつく。

 

白と黒だけで表しても、

例えば、イスはずっとイスだったわけではない。

 

元は木を切って作ったものだ。

 

そして、木もずっと木だったわけではなく、

地球という大地から生まれたもの。

 

木も人も動物も地球から生まれたもので、

地球も宇宙から生まれたもの。

 

今、たまたまその形なのであって、
永遠に同じ姿であるものはない。

 

すべては「仮の姿」ということになる。

 

「色即是空」

(物質はもともと実体のないものである)

 

物質のもっとも表面的な部分が「色(いろ)」だ。

だから、般若心経では、「物質」を「色(しき)」という。

 

う~ん、サスガだ、般若心経。

 

 

 

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音楽と般若心経 その2 ~ 三蔵法師のポップセンス ~

2016年03月31日 | 音楽講座

みんなが知っている「般若心経」は、玄奘(げんじょう)訳。

玄奘というのは、三蔵法師のこと。

 

そして、その三蔵法師よりも前に、
鳩摩羅什(くまらじゅう)という人が訳したものがある。

 

元々はインドのお経を漢文に訳したもの。
訳者によって、微妙に変わってくるものなのだ。

 

「般若心経」の魅力は、なんといってもリズム感。

 

羅什訳の方を読んでみると、
少しリズムが野暮ったい感じがする。

 

これは、玄奘訳の方が、耳になじんでいる、だけではない。
三蔵法師の「音楽的才能」だ。

 

あの超有名な「色即是空 空即是色」という部分をサビとすると、
メロからサビまでが見事な流れを形作っている。

 

ポップセンスがスゴいのだ。

※サビとは曲の印象的な盛り上がり部分。メロは曲の導入部分。


三蔵法師が現代にいたら、かなりすぐれたミュージシャンになれただろう。

 

仮に、西遊記の面々をバンドとして考えると、

三蔵法師 : ピアノ&ボーカル
孫悟空 : ドラムス
緒八戒 : ベース
沙悟浄 : ギター

という編成になるだろう。

 

※参考図書 「般若心経」池田魯参 著

http://molamolaai.com/shingyo/blog1/

 

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音楽と般若心経 その1 ~幽霊は音楽が聴こえるのか?~

2016年03月29日 | 音楽講座

幽霊は音楽が聴こえるのか? ということを考えたことがある。

「音が聞こえる」とは、空気の振動を鼓膜が感じること。

幽霊は肉体がないわけだから音が聞こえないはず。
音が聞こえないなら、お経とか唱えても意味がないだろう。

 


さて、ひも理論、別名、弦理論は、
物質の最小のものは振動によって違った形になる、という。

だからこの宇宙のすべてのものは振動、つまり音楽と言える、というのは前回。


それを読んだ時に、思い浮かんだのが、
般若心経の「色即是空」だ。


もし物質の最小のものがモノではなく、
振動パターンがモノに見えているだけだとしたら。

それは、まさに「色即是空」の世界だ。
物質(色)とは、実体のないもの(空)である。
英語で「空」は、emptyと訳される。

では、音楽は空気の振動だが、宇宙は何の振動なのか?

それはエネルギーの振動なのだ。

「色即是空」すなわち、E=MC² となる。


E=MC² とは、アインシュタインの特殊相対性理論によって導き出される式で、エネルギーの値(E)、物質の質量(M)光の速さ(C)。

「物質とはエネルギーである」ということを表している。


般若心経は、宇宙の物理的法則を説いた書で、
「空」とは、エネルギー、あるいは、エネルギーの場のことなのだ。

 

 

般若心経が相対性理論なんてわけわからない、
と思われるかもしれないが、ちょっとそれは棚に上げて・・


さてあなたは、
2つの般若心経があるのはご存知だろうか。

 

(音楽と般若心経 その2 へ続く)

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3月30日(水)ROWDY GODSSY LIVE at Hard Rock Cafe

Yumi Godsey(Vocal)
林達夫(Guitar)
岩崎明(Keyboard)
清水亮(Bass)
佐野隆士(Drum)

PM7:30~ PM9:00~ 2ステージ LIVE CHARGE 無料

http://hardrockjapan.com/location/osaka/

 

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音楽と数学 その4(終) ~ピタゴラスコンマ~

2016年03月20日 | 音楽講座
ピタゴラスは、張った弦の2/3のポイントを押さえれば、
元の音と気持ちよく響くことを発見します。

それが数学的な見方からのハーモニーの発見であり、
五度、つまり、C(ド)に対してならば、G(ソ)の音になります。


ならば、G(ソ)の音を元にすれば、その五度上の音、
つまり、D(レ)という気持ち良い響きの音が得られます。

同じようにして、それを積み上げて行けば、
12回目で元のC(ド)の音に戻ってきます。


時計の数字や干支が12であるように、
音楽の音もまた不思議と12で和を閉じ、
五度圏ができあがります(図参照)。


ところが、一周回って戻ってきたC(ド)の音は、
元のC(ド)の音とズレができます。

この差を「ピタゴラスコンマ」といい、
この微妙な音の差をなんとかするためにできたのが「平均律」。


一般の人にとっては、どうでもいいやん、という微妙な差ですが、
こだわる音楽家にとっては、殺人事件の動機にもなるぐらいのおおきな差なのです。


マイクロチューニング機能のあるキーボードで、「平均律」と「純正調」によって、
Cのコードとその半音上のD♭のコードを弾いてみました。聴き比べてみてください。


禅の思想によれば、完全なものは却って不完全である、といいます。
そういう意味でいえば、このピタゴラスコンマの不完全さが音楽をより深いものにしているのかもしれないですね。


※参考;日本では、中根元圭という和算家(数学者)が1700年ぐらいに十二平均律を考えていたそうです。これはすごい。


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3/21(月・祝)ミュージックセンター御池 講師デモ演奏 at ゼスト御池 pm16:00 ~

小川敦子(Vocal) 光田英生(Guitar) 岩崎明(Keyboard)


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音楽と数学 その3 ~平均律~

2016年03月16日 | 音楽講座

音楽のチューニング(調律)方法である『平均律(へいきんりつ)』も、

数学的なやり方によって、作られています。

 

「『平均律』ってなんや??」

 

というと、現代の、特にピアノが一般的になってからの標準の調律方法で、

1オクターブの間を「均等に」12に分けるやり方です。

 

「ほんで、12に分けると何かいいことがあるんかいな?」

 

はい、他のキーに自由に行ける、つまり、「転調する」ことが自在にできます。

この『平均律』によって、複雑なコードを使う、ジャズなどの音楽が発達しました。

 

「ほな何かい、その平均律っちゅうやつやないと、転調できへんちゅうことかいな?」

 

『平均律』の対極には、『純正調』というチューニング方法があります。

純正調は、例えば、キーC(ハ長調)の中では、綺麗な響きが得られるのですが、

違うキーになった時には、濁ったような響きになります。

 

その原因に『ピタゴラスコンマ』という音楽がかかえるジレンマがあるんですが、

それは、また次回に。

 

ピタゴラスって音楽に関わってるんですね。

 

           (「音楽と数学 その4(最終回)」へ続く)

 

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今日、3/16は、コック・ア・ドゥードゥルズ at RAG (京都)

詳しくは、こちら↓

https://www.facebook.com/events/1033553976717629/

 


音楽と数学 その2 ~宇宙は音楽!?~

2016年03月10日 | 音楽講座

 

 

さて『ユークリッドの窓』では、幾何学の黎明期からアインシュタインの相対性理論を経て、

現代の幾何学の進行形である「ひも理論」まで語られています。

 

この「ひも理論」、S行列とか24次元とか、

ここまでくるともうさっぱりイメージすらわかないですが、

ただ、この理論の示していることが非常に興味深い。

 

「ひも理論」は別名「弦理論」とも言い、

そうギターやバイオリンの弦ですね。

 

物質を形作る最小の粒子、それは振動の違いによって色々な様相になるという。

 

突きつめれば、物質すべて、つまり「宇宙は振動でできている」ということになるんですねえ。

 

音楽というのは、「空気の振動の芸術」ですから、

ある意味、「宇宙は音楽でできている」と言えなくもない。

 

この「宇宙は音楽でできている」というのは、実はかなり古い考え方で、

古代ギリシャの音楽理論書『音楽教程』のムジカ・ムンダーナ(宇宙の音楽)に行き着く。

 

『音楽教程』では、「宇宙の音楽」「人間の音楽」「道具の音楽」の順番で、

耳に聞こえる「音楽」、つまり私たちが「音楽」と呼んでいるものは3つ目の「道具の音楽(ムジカ・インストゥルメンターリス)」になるんですね。

 

最新の物理学、数学が、古代ギリシャの音楽観と一致するって、なかなかトキメきます。

 

 

※参照「もう一度学びたいクラシック(西東社)」

 

    (【音楽と数学 その3】へ続く)

 

 

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HP. http://noanoaai.com/        by  NOANOA AIR / Akira Iwasaki




【音楽と数学 その1 ~ピタゴラス~】

2016年03月08日 | 音楽講座
 
 

学生時代は本当に苦手だった「数学」と「物理」ですが、こういう本を読んでいたら、また違っていたのかもしれません。

『ユークリッドの窓』

文庫本なのに、1500円ぐらいする。


スタートレックの脚本にも参加しているという著者。

数学者の人生がドラマティックに描かれ、幾何学の考え方が数式を使わずわかりやすく説明されています。


幾何学は土地の税金の計算をするために出来上がった、とか、無理数というものを口に出したら殺される危険があった時代とか、エピソードも豊富。


音楽と数学って、対極にあるように思えますが、実は、意外に関係は深いんです。


ピタゴラスは、数学的に美しいものは響きも美しくなる、ということを発見します。

例えば、張った弦の半分のところを押さえればオクターブの関係になるし、3分の2の位置を押さえれば5度の響きになることなど。


そう、この「5度」というのが音楽においては、非常に大事なことになるんですが、それはまた次回に。



(【音楽と数学 その2 】へ続く)


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