今日は、神戸で取材撮影だったので、良い機会かと思い詳しく書いてみます。
雑誌等の取材撮影とは、どんなものかと言うのを、今回はカメラマン側の立場から現場での撮影方法を中心に書きます。
僕がやってる取材撮影は、日経などのお堅い系が多いのですが、だいたいこんな感じです。
まず、大体メールや電話でスケジュールの確認が入ります。OKであれば、撮影場所や担当の連絡先、撮影対象などの詳細の書いたメールが届き受注となるわけです。
そして、事前に担当の方に電話連絡をし、ご挨拶を兼ねて当日の打合せをします。
さて、前日までに撮影機材の準備をしておきます。今日は、電車移動での取材撮影。
それに併せて機材をセレクト。今回の機材は
カメラボディー:EOS5D(メイン) EOSD60(スペア)
レンズ:シグマ15-30 EF24-105F4L EF70-200F2.8L
その他:スピードライト550EXとそれ用の外部バッテリー、本体用バッテリー2本
メディアCF4GB1枚と1GB2枚
ストロボ:サンスターX-2403AⅡ(ジェネレーター)、 M.F.H-25(ヘッド)2灯
その他:マンフロット001JB(ライトスタント)2本、パラソルMサイズ2本
基本、これが電車移動の取材撮影セット。これが電車で移動出来る限界の荷物です。
さて、今日は現地に約束の15分前に到着。早く着くのは待ち合わせの基本ですね。編集の方と名刺交換をし、機材セッティングのために早めに現場に入らせてもらいました。
現場をみてビックリ! なんと広い部屋。取材には広すぎる。しかもデーブルがデカイ!これはやりにくいなぁ・・・・と思っていると、なんと記者からの注文で今回は社長とインタビュワーの両方を撮って欲しいと・・・。
通常は、被取材者のみの撮影なのだが、今日は両方とな。しかも部屋の壁の2面が全面ガラスで、白のロールカーテンがかかっているものの自然光が大量に入り込み、ストロボとのミックス光源になってしまう。
デジタル撮影なので、ホワイトバランスの調整でなんとでも逃げれるが、少しでも好条件になるように社長とインタビュワーさんの着座位置を指定した。
そして、ご両人にライトの光が回るようにテーブルの両サイドにストロボを設置し、天井バウンズを使うことにした。発光方向は図を参照。
部屋が広くて、各コードの長さがギリギリになってしまう。仕方がないのでジェネレーターはライターとインタビュワーの間に置かせてもらった。
自然光を積極的に使うことにし、それで露出を計測。ジェネのボリュームを1/8にセットして、カメラの絞り値はF5.6 1/3(本来ならF11以上は欲しい)で決定。レンズは70-200しか使えないので手ぶれの心配と自然光のバランスを考え1/160秒でシャッターを切ることにした。撮影はRAW、ISOは100。この辺は瞬時に判断が必要です。部屋に入ってから撮影準備完了まで、10分ぐらいで済まさないと皆さんを待たすことになりますからね。
取材開始となり、同じく撮影も開始します。撮影は被取材者の手の動きや表情を見ながらシャッターを切ります。とにかくどんなパターンにも対応できるようにいろんな表情やリアクションを撮ります。
撮影ポジションは図中のA~F。セッティング中からわかってたのですが、A~Eまでは普通に撮れるのですが、なにぶん部屋が広いのでFの位置までシンクロコードが届かないのです。延長コードがあればいいのですが、それは持ってきてません。しかし撮らなければならない。どうしたかと言うと、ジェネのスレーブ機能をONにし、カメラにスピードライトを付けて、写りに干渉しないようにスピードライトをマニュアルモードにして発行量を1/8に設定し、これも天井にバウンズさせました。
結果、見事に成功。ホッと一安心して撮影を続けていると、問題発生!
なんと、スピードライトのバッテリーが弱すぎて、ついにはチャージしなくなってしまった。慌てて外部バッテリーを繋いだが、少し撮れただけでまたまたチャージしなくなった。あらら~! 荷物を少なくするためにこれ以上のスペア電池は持ってきてないし・・・これはヤバイかも・・・・
と思いつつ、仕方がないのでF位置から撮った画像を確認。20カットほど撮れていて、必要なカットもちゃんと撮れてました。納品枚数は少なくなるが、必要カットが撮れているので、取り敢えずはクリアです。冷や汗が出ましたよ~。
で、撮れた写真がこれ
社長さん A位置から
インタビュワーさん E位置から
そうして、取材時間1時間半の間に撮れたカット数が172カット。
「お疲れ様でした」「ありがとうございました」と言いつつ、後片づけがあるので、僕だけその場に取り残されてしまいました。毎度のことですけどね。
で、後は帰って目つむりや変な表情のを省き、RAWを現像処理し、DVD-Rに焼いて、ゆうパックで送って、仕事が完了します。後はトリミングなど、向こうの編集部が紙面に合うように加工することになってます。
ちなみに業界では常識なのですが、印刷物にされる場合は「350dpiの8bitTIFF」で納品するのです。最近はデジカメの性能と印刷技術も上がってるので、Jpeg納品も多いですが。
さて、僕も今からDVD-Rに焼いて、明日郵便局に行ってきます。