銀座線の全駅を周って野良サインをさがす

2020-07-26 | 野良サイン
東京メトロ銀座線の全駅をまわって野良サインをさがしまくる、ということを3年おきにしています。





……いきなり話が逸れるのですが、ここ数年「マニアフェスタ」という即売会イベントに何度か呼んでいただき、自分は「野良サインマニア」として出展させてもらっています。毎度ありがとうございます。

このイベントでは、出展者はみな何らかの「マニア」として参加するため「○○マニア」という呼称をつけられるのですが、実のところ初回から今に至るまでずっと「自分はマニアと呼べるほどの人間ではないが……」という気持ちを常に抱いてしまっています。



「野良サイン」という名前をつけたのは自分だし、自分の知る限りは誰よりも長く撮り集めているし、客観的に見たら違和感はないかもしれない。ただ「マニア」と呼べるほどのことを実際にしているのか……?いやーしてないですねー、となってしまう。

なにを「していない」のか。やろうと思っていてできていないことはいくつかある。
例えば「野良サイン事例を何らかの方法で分類・体系化する」ということ。なんとなくそれっぽいので憧れはあるが現状やっていない。関連するところで、「撮り集めた事例をアーカイブ的に整理・公開する」ということも身体が自由に動くうちにやっておきたい……と思っているがまだ手がついていない。
事例の集め方もあまり積極的ではない。出先でたまたま見つけたものを撮るというケースが多い。でも本当はもっといっぱい集めていきたい……。(出不精かつ無気力)

田原町駅・2009年9月

そんな中でも「やっている」と言えるほぼ唯一の活動が「銀座線の全駅を3年おきに周っている」というものだ。

はじまりは2009年9月。野良サインを撮り集めるようになった頃に「どこか1つの路線の全駅を周って野良サイン集めまくるのをやってみたい」と思いはじめた。なんとなく東京メトロ銀座線を選び、友人と全駅を周って野良サインを探しまくり、カメラを向けていく。めちゃくちゃに疲れる。

その後はしばらく、こうした「集めまくる活動」をしていなかったのだが、これといった用事のなかった休日に突然思い立って銀座線の様子を再び見に行った。それが2012年4月。以前よりも野良サインが大幅に減った感じがした。(……のだが、「なかったこと」を全然記録していなかった。惜しい)

また時が流れ、その間も積極的な活動はしていなかったのだが「今年見に行ったら3年間隔ということになるな……」と気づき再訪したのが2015年8月。こうして、「3年おき」という活動スタイルが形成された。



2015年8月の観察の時点で、そろそろ野良サインのことを何かしら形に残さないと……という焦りがあった。この活動を人々に公開することを前提に「3年おき」というわかりやすい周期を確定させた面もある。

2016年にコミティアに申し込んで制作をおこない、なんとか形にすることができた。中身のレイアウトはたいへん雑なものになったが、物理的なモノとして世に発表できたことですこし安心した。

もちろんその後も、2018年に4回目の全駅観察をした。2018年の銀座線は全駅のリニューアルが計画されていて、すでにいくつかの駅はリニューアル完了していたり、工事の真っ只中だったりした。工事中にともなう野良サインも多く見られたし、新しくなったばかりの駅に野良サインが見られたり……ということもあった。

2018年の様子は、また別の冊子としてまとめた。




自ら敷いていたレールではあるが「3年おき」というのは自分にとってはだいぶ都合がいい。もっと短くしてもいいと思うこともあるが、確実に無理なく続けられる活動として維持したい……という気持ちもあるので、身体が自由に動くうちはこのままのペースでやっていきたい。

次は2021年。「東京五輪の翌年の銀座線」を見るつもりでいたのだが気づいたらオリンピックイヤーになってしまっていた。大会の前に見に行くのか、後に見に行くのか……そもそも五輪は予定通り開催されるのか、そもそも見に行ける状況になっているのか……。なにもかも分からない状態だが、各駅を自由にウロウロしても良い状態であることを願っています。


上野駅・2016年8月





補足しておくと、マニアフェスタの場においては「○○マニア」というラベリングの良さも感じています。マニアフェスタで初めて私のことを知った人にとっては「野良サインマニア」というラベルがあると会話の糸口として機能してくれるなー、とよく思います。

これは自分が一般参加者として他の出展者と接するときにもよく思うことで、全く知らないし関心もないという状態でも会話をはじめやすい。そういう意味で間口が広がっている感じがします。コミケやコミティアの同人誌即売会とはまた違った感触。

……と書いているうちにマニアフェスタにまた出たくなってきた。従来どおりのイベント開催は難しくなってしまったけれど、どうにかいい感じに開催できるといいですね……。

[まちのワークアラウンド]駅の水漏れ対策

2020-07-26 | 野良サイン以外
(特に地下駅)では、天井からの「水漏れ」がよく起きています。

水が駅の中に滴り落ちるのを放っておくわけにはいかず、駅員などによって水よけ・水受け(ビニールシートやバケツなど)が暫定的に設置される……ということがあります。

例えばこんなふうに……



こうした水漏れ対策も、暫定処置としてつくられる造形物……という意味でワークアラウンドと言えるものだと思います。


私の好きな水漏れワークアラウンド5選


仙台駅・2018年1月
自動改札機の上にバケツ

自動改札機の上にバケツをおいて対処していた事例。

バケツの底面積に対して改札機側の面積が狭すぎて心配なところですが、なによりも照明がすごい。ダウンライトがバケツのちょうど真上にあって、まるでこの水漏れ対策装置にむけて光をあてているよう。何らかの立体作品にしか見えない……。


国会議事堂前駅・2018年3月
たくさんのチューブ

地下鉄駅のホームの水漏れ対策の様子。

天井から透明のチューブがたくさん垂れていて迫力がある。重力によって生まれる曲線もいいし、下の方で複数のチューブが束ねられていて全体で見ると木っぽい。

あちこちから次々に漏水が発生していったのだろうな、ということも見て取れる。大変ですね……。



外苑前駅・2018年3月
縦方向にめっちゃ長い水路

ホームへ降りる階段の脇の壁面全体をつかって繰り広げられていた水漏れ対策。高い天井から漏れてくると大変なのだな……。装置も自ずと壮大な感じになってしまう。

終端部分には受け皿がなく、エスカレーターの乗り口あたりに雑に放水していて「いいの!?」となった。



銀座駅・2018年3月
小さな容器たち

銀座駅の地下通路、B8出口の手前に設置されていた水受け容器。

ふつうはバケツか何かを使う事が多いのだが、ここでは漂白剤のボトルの下半分と思われる容器を使用しているのが特徴。容器の小ささ・色・置き方など、妙に品がよくてかわいい、余裕を感じる事例でした。




中山駅(台北)・2019年4月
大小さまざまな容器たち

台湾・台北の地下鉄駅のホーム上で遭遇した、迫力のある水漏れ対策。

とにかく容器の存在感がすごい。サイズは大小さまざまあってファミリー感がある。一番大きいサイズの容器は、小さい子供ならすっぽり入れそうなでかさだ。運び出すの大変そうだし、そんなに漏れてくるのか。

赤か朱色くらいの派手な色なところもいい。台湾で見かけたプラスチック容器はこういう色味のものが多かった印象があります。

台北駅・2019年4月
朱色の容器で水漏れキャッチ

十分瀑布・2019年4月
水漏れ事例……ではなく派手な色の容器の事例


水漏れワークアラウンドを見つけたら……

SNS・インターネット上では、こうした「水漏れワークアラウンド」に名前をつけて集めている人が複数います。

私が知る限りだと以下のような名前(ハッシュタグ)があるので、好きなタグをつけて共有すると良いと思います。

#モレモレ東京」「#モレモレ
#駅もれ
自分は「#モレモレ東京」(のちに「#モレモレ」に改称)の活動を先に知り、こうした水漏れ対策の構造物のことが「見える」ようになったので、こちらのタグをよく使っていました。一方「#駅もれ」のほうは路上観察的な指向性をもって活動をされていて、どちらかといえば認知度も高い方なのではないか……と思っています。

その結果、わたしがSNSに水漏れ画像を投稿するときは「#モレモレ #駅もれ」といった感じで両方のハッシュタグを併記しています。

投稿する側としてはやや面倒……でもあるのですが、それぞれ活動の方向性や視点が違っていて、リーチしている層にも差があったりして、面白い現象だなーとも思っています。