先日ご案内した個展のプレスリリースに書いた文章です。よかったらお読みください。
このたび、日本橋に新しくオープンしたオルタナティブ・スペース「ギャラリーSORA」にて 、ギャラリーSORAの運営者であり、銀座にあるギャラリーツープラスのオーナーでもある加藤はるまさ氏の企画にて、写真展を行います。
私は、針穴カメラ(ピンホールカメラ)を用いて、日常に潜む肉眼では見ることのできない不思議な光景を写しだす試みを続けています。日々、自宅や外出先で水やお茶、ジュース、ビールといった飲み物のグラスに針穴カメラを密着させて撮影した「グラスのなか」シリーズ、路上や公園などに落ちている葉や花びらを拾い、その場で針穴に密着させるようにして日に透かして撮影した「ひとひら」シリーズなどを発表しています。
今回展示するのは、「グラスのなか」シリーズの延長線上で撮り始めたシリーズです。
私は昔から乗り物酔いをしやすく、錠剤の酔い止め薬が効きません。より効きがいい、と勧められた液体の酔い止め薬もだめでした。「こうなったら、なにか気を紛らわせる方法を見つけるしかない」と試行錯誤の結果、たどりついたのが、「ペットボトルの水を飲む」ということでした。以来、乗り物に乗る際にはペットボトルの水が欠かせません。
日常生活で「グラスのなか」を撮影するようになると、水のペットボトル越しに乗り物の窓の外を見てみたら、どのような光景が広がっているのかが気になり、このシリーズを始めました。車では体を動かすと酔うので撮れませんが、列車や船、高速バスでは少しは余裕があるので撮影できます。
撮影方法は「グラスのなか」と同じで、カメラをペットボトルに密着させます。すると、針穴カメラの特徴であるパンフォーカスにより、ペットボトルの表面から向こう側の景色までが同じように写しだされます。ペットボトルの形状や、通過する場所、時間帯などにより、それぞれ異なる光景が広がっています。
2008年10月から約3年半かけて撮影した中から、カラー銀塩プリント約60点を展示いたします。
ぜひご覧ください。よろしくお願いいたします。
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