noriba-ba's garden

モロッコ旅日記8~カスバ街道で考えたモロッコの未来とは~

モロッコの旅6日目の後半は

カスバ街道を通ってトドラ渓谷へと向かう道すがら

目に留まった風景のアレコレから始めよう。

 

ちなみにカスバ街道とは

カスバと呼ばれる城壁に囲まれた大小の要塞が

街道沿いに点在していることからそう呼ばれているらしい。

砂漠のオアシスにポツンと設置された太陽光パネル。

これでどれほどの電力が賄えるのか知らないが

その昔ここを通って行ったラクダの隊商がこれを見たら

時代の変わりようにさぞや驚くことだろう。

砂漠の人々は少しでも暮らしを豊かにしようと

深い谷のような所にも緑の樹木を植え畑を切り拓く。

その努力には頭が下がる思いだ。

切り立った岩山に建つ真新しい白い建物は学校の校舎。

その下でわずかばかりの草を食む黒い家畜は

馬なのか、あるいはロバなのか…。

やがてバスは目的地のトドラ渓谷に到着した。

観光客へのサービスなのか、可愛いロバがお出迎え。

渓谷の道沿いにはこれまた色鮮やかなお土産品の数々が並び

どこまでも商魂逞しいモロッコの人たち。(笑)

このトドラ渓谷はモロッコのグランドキャニオンと呼ばれている。

川の両側に200mもの切り立った岸壁が迫る渓谷の道を

冷たい空気と強い風の中、散策しながら

この先にある昼食のレストランへと向かう。

よく見ると直立した岩肌にザイルで結ばれた人影がふたつ。

ここはヨーロッパの登山家たちの

格好のクライミング練習場になっているそうだ。

道の途中に岩の間から清水が滾々と湧き出る場所があったので

試しに手をつけてみると、さすがに冷たかった。

トドラ渓谷で昼食休憩ののち、バスは再びカスバ街道を西へ。

途中の街ではその昔からあるような古いホテルや

古着や雑貨を並べたフリーマーケットのような露店市が見られ

かつて隊商や遊牧民がラクダで行き交った

異国情緒あふれる交易路の面影が今もなお窺える。

この街はバラのシンボルでわかるようにバラが特産品。

途中立ち寄ったバラの香水店では

香水の他に、バラ水やバラ石鹸、バラのハンドクリームなど

いかにも女性たちの購買欲をそそる品々があったが

私はそれには全く興味がなくて…(笑)

砂漠の砂が自然にバラのような形に固まってできた

砂漠のバラと呼ばれる珍しいものをお土産に買うことにした。

夕方4時過ぎ、仕事終わりの時間にはまだもう少し早いのか

カフェレストランの店先のテーブル席は閑散としている。

カスバ街道最大の街、ワルザザートが近づくにつれ

緑の風景が少しずつ増えて来て何だか気持ちまで潤ってくる。

遥か向こうに雪をかぶったアトラス山脈も見える。

地中海気候と砂漠気候を分断する高い峰々。

モロッコに来るまで

アトラス山脈が標高4000m以上もあるとは知らなかった。

それどころかこの山脈が

モロッコ、アルジェリア、チュニジアの3国にまたがる

全長2500kmもの大山脈だということも今回初めて知った。

あ~、何という無知、何という教養の低さ…。

でも、ここへ来たことで知ることができ

またひとつ賢くなった私。(笑)

 

 これも旅のひとつの副産物かも知れない。

 

夕方、ワルザザートの街の近くで出会った子どもたち。

自転車で遊ぶ姿はこれまたどこも一緒だな。

この子たちが大きくなった時

モロッコは一体どんな国になっているのだろう。

 

ガイドさんの話によると

モロッコの人口は約4000万人。

そのうちベルベル人が60%、アラブ人が40%で

平均年齢は20代前半のとても若い国だという。

主要な産業は農産物、リン鉱石、そして地中海の海産物などを

主にヨーロッパに輸出しているらしい。

しかし失業率は30%と高く経済的にはあまり豊かとは言えない。

その一方で食料自給率は100%で

人々の生活や産業に必要な水や電気を安定供給するために

全土140か所にダムを造り、風力発電にも取り組み

自然エネルギーへのシフトも着実に進めているそうで

原子力発電は1か所もないという。

 

 へえ~、そうなんだ…知らなかった。

いろいろな困難を抱えながらも

幸せになろうと一生懸命に頑張っているんだ。

騒々しいほど活気あふれる市場や、至るところで見かけた

あの商売上手もそういうことか…。(笑)

今まで見てきた景色や人々の様子からは窺い知れない

この国の実情や新たな一面を知り

私のモロッコに対するイメージがどんどん変わってくる。

より身近に感じられ、さらに好きになる。

そしてますます賢くなる私。(笑)

 

人は見た目だけで判断してはいけない。

それと同じで

どんな国も深く知らなければ分かったとは言えない。

でもこの国は…知れば知るほど謎が深まり

どこまで行っても出口が見えて来ない

まるであのフェズの街の迷路に迷い込んだように感じる。

 

私にとってモロッコとは

そんな不思議な感覚のする国なのだ。

だからこそ魅力的なのだろう。

それがわかっただけでも

「何でモロッコ?」のひとつの答えになるのかも知れない。

 

何れにしても

この国の未来はあの子どもたちにかかっている。

どんな人生を歩もうとも

あの子たちの将来に幸あれと

遠く日本から心からのエールを送りたいと思う。

 

続きはまた。


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