「オジいサン」
著者 京極夏彦
めらめら度★★★☆☆
20220209水→20220217木
読書歴30年、984冊目の読破である。独居老人72歳の7日間を描いた物語。物語つーか、日常か…? 本当に、何でもない日常なのだ。事件なく、事故なく、幸も不幸もない。独居老人72歳が、どーでもいいことを、ただただ思考する。しかも、老人なので忘れっぽく、思考が堂々巡りする。老人が、何でもないことをウダウダ考えるだけ。悩んだり、怒ったり、呆れたり、反省したり、また忘れたり…。
独居老人72歳が、ただウダウダ思考するだけの7日間? そんなん面白いわけないだろうッ! と突っ込まれそうだが、これが、なぜだか面白いのだ。地デジ移行に苛立ち、カセットテープの処分に悩み、油っぽいソーセージの調理に苦戦し、有り余った時間をウダウダと過ごすだけ。真面目で誠実で少し偏屈な独居老人72歳の日々は、平穏の塊である。平穏な日常は、薄っすら微かに、愛おしい。
京極夏彦「オジいサン」836円
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