limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

life 人生雑記帳 - 44

2019年08月24日 13時49分30秒 | 日記
「んん!美味しい!Y、また腕を上げたわね!」オレンジペコのアイスティーを飲んだ、愛子先輩の表情が和む。「毎日淹れてますからね。先輩から教わった手順に、自分なりの“改良”を加えてますよ」僕もアイスティーを飲みながら応ずる。「この1杯が飲みたくて坂を上って来たけど、来た甲斐があったわ!Y、ありがとう!おかわりをくれない?」彼女はグラスを差し出した。「直ぐにお持ちしますよ」氷を足してティーサーバーから紅茶を注ぐ。「紅茶もだけどさぁ、アンタがまた無理をしてないか?それも気になってたのよ!でも、任務の大半を他に任せてるところを見ると、来年に向けて着々と手は打ってるらしいわね」愛子先輩は周囲を見渡して言う。「あの子が“後継者”なの?」先輩は上田を指して言う。「ええ、ここも生徒会も任せられるのは、上田を筆頭にここに集っているメンバー達ですよ!次世代を担う“精鋭部隊”を集めたんです!」僕はグラスを差し出して答えた。「ふーん、て事はみんなクラス委員長もしくは、それに準ずる職務経験者か!Yの眼鏡に適う人材なら間違いはなさそうね。指揮してる彼女は、入学当初に問題を起こしてるわよね?Yが見逃すはずが無いけど、ちゃんと更生させたんだ。“鬼の参謀長”なんて言われてるけど、本当は“仏の参謀長”。それも、校長に掛け合ってアフターフォローも万全にしたんでしょう?でなきゃ素直に任務を請け負うはずが無いわ。アンタは人の心を見て判断するから、男女の区別も関係ない“実力主義”で“後継者”に指名したな!相変わらず抜け目は無いのね!」愛子先輩は不敵な笑みを浮かべた。「お見通しですか。先輩の眼も曇ってはいませんね!」僕も笑って返した。「Y、アンタはいい仕事をしてる。これならアンタが卒業しても、校内は安泰だよ!あたしも大学で時々考えるのよ。“Yだったらどうするか?”ってね!迷った時は何処かで、アンタの判断を仰いでるの。Y、あたしの大学を受験しない?参謀長として腕を振るってくれないかな?」愛子先輩は無茶を振って来る。「それは無理ですよ!“女子大”に男が紛れ込めますか?」と僕が言うと「あー、それを忘れてた!性転換させなきゃ無理かー!あたし進路を間違えたかも!Yを連れ込めないなんて惜しい事をしたなー!」と言うと彼女は宙を仰ぐ。「それは仕方無いでしょう?」僕はクスクス笑いながら応じた。「Y、アンタ生まれて来る年月を間違えてるわ!どうして、あたしより先に生まれなかったのよ!悔しいなー!このまま連れ帰って、あたしの家に“監禁”したい気分よ!このままかっさらって行こうかな?」「それは勘弁して下さいよ。まだ、僕には山の様な仕事が残ってます。3期生に引き継ぐに当たって、現体制を徹底的に破壊しなきゃなりません!それに、自分の身の振り方も考えて行かなきゃなりません。“後継者”への教育も含めて、予定は詰まってるんですよ!来年の3月まで息つく間も無いんですから」僕はにわか煎餅を出して婉曲に断りを入れる。「苦労が絶えないわね。何一つ疎かにしないのは、アンタの強みでもあるけど、弱みでもあるのよ。身体は丈夫とは言い難いんだから、無茶はしない事!分かった?」愛子先輩は紅茶を飲み干すとグラスを返しながら僕を軽く睨んだ。「はい、仰せの通りに」僕は恐縮してグラスを受け取った。「Y、校内を歩こうか?護衛を命ずる!」「はい、承りました。さち、しばらく留守にする。警備係を見ててくれ。無線機は持って行くから何かあったらコールしてくれ!」「あーい!Y、手荷物にされるな!」さちが冗談交じりに返してくる。「Y、東校舎から行くよ!」少し大人びた愛子先輩に連れられて、僕は校内を巡り始めた。愛子先輩は手を繋いで来た。「幸子にはナイショにしてよ。今だけは、あたしのワガママに付き合って」と小声で囁く。そこかしこで、愛子先輩は熱烈な歓迎を受けた。改めて彼女の“偉大さ”を思い知らされる。西校舎の最上階の空き部室の前に来ると、彼女は窓から外を眺めて「ここは変わらないね。変わって欲しくない!」と呟いた。廊下には誰も居ない。「変えない様にするのが、僕等の役目ですよ。愛子先輩達が築かれた“太祖の世”に復するべく、僕等は動いてます。それが、僕等の最後の大仕事なんです!」「Y、その仕事、必ず成し遂げなさい!“悪しき物”は残したらダメ!アンタの手腕に期待してるわ!」と言うと愛子先輩は、僕に抱き着くとキスをして来た。「幸子が居なかったら、とっくにかっさらってた!本当は可愛くて、可愛くて仕方なかったの!弟みたいに居られたらよかったね!」と言うと彼女頬を涙が伝った。ハンカチで丁寧に拭いてあげると「アンタは優しすぎるのよ!馬鹿!また、忘れられなくなったじゃない!」と言うと僕に抱き着いて肩を震わせた。彼女はひとしきり泣くと「Y、幸子を大切にしなさい!あたしが羨むくらいになりなさい!」と言って僕を突き放した。まるで燃え盛る炎を埋めるかの様に。彼女は必死に平静を装う振りをした。だが、涙は止めどなく流れていた。“愛子先輩を泣かせてしまった”と思うと僕もバツが悪かった。僕は彼女と手を繋ぐと空き部室へ連れ込んで鍵をかけた。愛子先輩を抱き寄せると「愛ちゃん、ありがとう。今だけは何をしてもいいよ」と小声で言った。彼女は僕の首に腕を巻き付けると、マットに押し倒した。「Y、抱いてよ。メチャクチャにして忘れさせて!」と言うと唇を重ねて来た。水色のノースリーブと淡いピンクのスカートをもどかし気に脱ぎ捨てると、ブラの隙間へ僕の手を導いた。少し大きめの白い乳房に触らせると「幸子ともしてるでしょう?知らないなんて言わせない!」と言うと僕の上に乗り腰を激しく使った。僕も下から激しく突き上げてやると、一段と喘ぎ声が大きくなった。「気持ちいい!もっと!もっと突いて!」餓えた野獣の様に愛子先輩が言う。体位を背後に変えると、後ろから思いっきり突く。喘ぎ声は更に高まり、彼女も腰をくねらせた。「お願い・・・、中に・・・、中に出して!」とせがむ。白い液体を思いっきり叩き込んでやると「気持ちよかった・・・、いっぱい出たね」と言ってマットに横たわり余韻に浸った。愛子先輩の脚をM字に開かせると、僕は再び腰を使い出す。「そうよ!もっと、もっと突いて!」白い乳房を鷲掴みにして思いっきり突くと、彼女の喘ぎ声は一段と大きくなった。「ああ・・・、イク!あたし、いっちゃう!中よ!中に出して!」と叫ぶと唇を重ねて来る。2回戦も多量の液体を注ぎ込んでやった。「Y、頑張ったね。もし、妊娠しても、あたしは構わないから」と彼女は言うと僕を抱き寄せて肩に顎を載せる。「テクニックも中々だったよ」と耳元で囁く。しばらく2人して無言で抱き合った。昇降口の本部席へ戻る頃には、愛子先輩も笑顔になった。「幸子、Yを頼んだわよ!」と言うと僕をさちの椅子の前に押し出した。「コイツ、知らず知らずの内に無理するから、ちゃんと見張ってるのよ!」「勿論です!眼を離したりしませんから」さちがそう言うと彼女は何度も頷いた。「Y、また逢おうね!きっとだよ!」愛子先輩はそう言うと外へ向かった。僕とさちは、慌てて見送りに出た。「愛子先輩、お元気で!」僕とさちは力の限り手を振って見送った。彼女は何度も振り返り、手を振りながら帰って行った。そして、この別れが今生の別れになった。2年後、愛子先輩の乗ったスキーツアーバスが、犀川ダム湖に転落し、彼女は帰らぬ人となった。社会人となっていた僕は、事故現場に行き花束とオレンジペコの紅茶を手向けて、冥福を祈る事になった。新入生の誰よりも僕に眼をかけてくれた愛子先輩は、天国から今も僕を見守ってくれているだろう。

愛子先輩を見送ったところで、2日目は昼に突入しようとしていた。来場者は既に昨年の3倍に達しており、総がかりでの応対を余儀なくされていた。警備係の方も手の空いている者を随時呼んで、応援に差し向けており、特段大きな問題が無いのが不思議なくらいだった。「参謀長、間もなく校庭が満車になります!」加奈が悲鳴に近い声で助けを求めて来た。「今は誰が指揮を執っている?」「宮崎先輩です!」「脇坂、宮崎に“縦列駐車”を指示しろ!そして、“後30分凌げ”と伝えろ!間もなく櫛の歯が欠ける様にスペースが開くはずだ!それまで持ち堪えれば満車の危機は避けられる。車の出入りには特に注意する様に伝達しろ!」「了解です!宮崎先輩、応答願います!」脇坂が僕の指示を即座に伝える。「加奈、落ち着いて道を探せ!どんな状況になろうとも、必ず道はある!指揮官が慌ててたいたら事故が起きる。時計を見ろ!もう直ぐ引き潮が来るはずだ。次のピークは午後1時前後だろう。それまでに形勢を建て直せばいい!」僕は噛んで含める様に言う。加奈は深呼吸をすると、図面に眼を落して次の策を巡らせ始めた。「参謀長、講堂に人が入りきれません!どうしますか?」警備係からも悲鳴に近い声が飛んでくる。「ステージ係に言って、全体を1m前に詰めさせろ!そして、南北の通路側と椅子の最後尾に立ち見を1列づつ作れ!一時的にはそれで凌げるはずだ。係員は足りているか?」「人手は大丈夫です。ステージ係と連携して対処します!」「よし、これからの演劇部の発表さえ乗り切れば、空間に余裕が出るはずだ。1cmの隙間も余すことなく使え!交代要員は早めに送り込んでやる!もうしばらく持たせろ!警備係の12時からのシフト担当者、少し早いが配置に向かえ!各所で人が溢れ返っている!規制ロープを忘れずに持って行け!」「はい!おい、急ぐぞ!」警備係員もあたふたと配置に向かう。「尋常な人出じゃない!1つ間違えば混乱は必至だ!さち、予備班の連中に招集をかけろ!女子班はここに後退させろ!この状態では事故が起きかねない。警備係員も手の空いている者は、講堂と昇降口付近を固めろ!非常事態だ!総員戦闘配置に着け!」僕はありったけの人員を投入する戦術に出た。「非常事態発生!非常事態発生!総員戦闘配置に着け!」脇坂が警備係の回線も開けて緊急事態を通達し始めた。「Y、いつでも出られるぞ!どうする?」吉川が聞いて来る。彼は12時からの駐車場の当直指揮者である。「小松達は?」「今、支度をしてる最中だ。メンバーは揃ってる。“Z作戦”を発動するか?」「この際、手段を選んではいられない!道具を持って出てくれ!手順は分かってるな?」「ああ!通路幅は5mでいいな?」「OKだ!手際よく設置にかかってくれ!設置が終わったら宮崎と合流して、誘導に当たってくれ!歩行者と車の事故も怖いが、車同士の接触事故が一番ヤバい!身振り手振りは大きく、声を出して的確に誘導に努めてくれ!」「了解だ!小松!行くぞ!道具を忘れるな!」「分かってる。Y、行って来るぜ!」吉川と小松がそれぞれの隊を率いて飛び出して行く。坂野、飯田、今野達も、それぞれのメンバーを率いて駆け付けて来た。「飯田と今野の隊は、東西の校舎からの通路を固めてくれ!規制ロープを張り巡らせろ!“Z作戦”を発動する!」「ついにそこまで来たか!」「任せろ!何としても踏ん張って見せる!」飯田と今野も配置へ急ぐ。「Y、俺達は正門付近だな?」坂野が言う。「ああ、悪いが任せる!持てるだけのボトルを持って行け!宮崎、吉川、小松の各隊へ配ってくれ!さち、西岡、冷えたボトルで出せるヤツは、全て坂野達に渡してくれ!」「分かったわ!」2人は冷蔵庫からボトルを取り出すとレジ袋へ押し込み始めた。「参謀長、女子隊只今戻りました!」遠藤と池田達が本部前に集まってきた。「“Z作戦”を発動する!入場規制にかかれ!もっとも東側を入口にして、残りの3か所は出口専用にする!ドアの固定と張り紙の手配にかかれ!作業が完了したら誘導配置に着け!」「はい!」「みんな、手際よくやるわよ!」遠藤と池田達も直ぐに動き出した。坂野達も荷物を抱えて外へ急いで行った。「加奈、席を替われ。一時的に僕が指揮を執る!よーく見て置け!」「はい、ではお願いします!」僕はこの日初めて責任者の椅子に座った。「Y!何が起こった?」佐久先生が教頭や事務長達を引き連れてぶっ飛んで来た。「演劇部の発表に観客が集中してます!恐らく、終わると同時に強烈な引き波が襲って来るでしょう。総員に臨戦態勢を取らせて“Z作戦”を発動していますが、伸るか反るかの賭けに出ている状況です!」「そうか!“親父”に言われて手の空いている職員を連れて来た!問題は講堂だな!バイパスを作らなきゃならんか?」「ええ、このままだと混乱に乗じて事故が起きかねません!」「よし、講堂の中央南側の扉からも観客を出そう!そっちの手配は俺達が担当してやる!無線機を貸せ!教頭、行きますよ!」無線機を鷲掴みにすると、先生達は講堂へ急いだ。「参謀長、警備係が集結しました!」山本が報告に来た。「諸君!未曾有の事態が起きた!これからが正念場だ!全員講堂へ急行して観客の誘導に当たってくれ!伊東、千秋、お休みのところ申し訳ないが、ステージ係と連携して混乱が起きない様に手を尽くしてくれ!」「任せとけ!佐久先生と連携して混乱を抑え込んでやる!」休養充分の伊東と千秋は警備係を率いて講堂へ向かった。「Y!俺達は何をすればいい?」益田と小池の両名もやって来た。「東西両校舎の展示スペースと模擬店を回って“これから強烈な引き波が襲って来る”と警告して回ってくれ!1巡したら、ここへ戻って奥の椅子に座っててくれればいい。ありったけの人員は投入したから、打てる手は打ち尽くしたよ。後は、結果を見て原田に“こうしましたよ”って報告してくれればいい。多分、原田は“立太子式”に夢中で、内線にも出ないんだろう?」「ああ、あの野郎!1番肝心な時にシカトとは、いい根性してやがる!」益田は大荒れだった。「まあ、そんなものさ。都合のいい場面でしか活躍しないのが、原田のやり方だからな!」僕も吐き捨てる様に言った。「ともかく、1巡してくるわよ!たまには、真面目に働かないと座り疲れちゃったのよ!」小池がボヤく。「ともかく、行って来るぜ!一応は“責任者”だしな!」益田がそう言うと2人は東西に分かれて巡視を始めた。「参謀長、宮崎先輩から“車の流入が止まった”と報告が来ました!」脇坂が告げる。「よし、坂野に連絡。“正門を半開きにせよ”と伝達しろ!これから登って来た車は、正門で食い止めさせろ!“満車”を理由にして左に列を作らせろ!」「了解!坂野先輩応答願います」「Y、大丈夫かな?」さちと西岡が不安げにこちらを見て言う。「手は尽くした。後は、祈るしかない!」僕は前を向いて答えるしか無かった。

結果的に言うとやはり引き波は大きかったが、何とか乗り越える事が出来た。講堂からの退出では伊東や千秋、佐久先生の活躍が光った。網を絞る様に“退出制限”をかけたのとバイパス通路に来場者を流せたのが効いて最悪の事態は回避されたのだ。それでも、来場者の6割が駐車場へ雪崩れ込んだ。車両の移動に際しては、宮崎、吉川、小松、坂野が手分けをして、懸命に整理・誘導に努めた事で、大過なく移動は進行した。当直を終えた宮崎隊が引き上げて来たのは、午後1時を過ぎてからだった。「お疲れさん!悪かったな、長時間炎天下に立たせて」「Y、謝る必要は無いぜ!吉川や小松、坂野を送り込んでくれた事で、随分と楽になった!今、小松達が区画線の引き直しをやってる。最後の大波に備えてさ!むしろ、本当に大変なのはこれからだろう?」宮崎は日焼けした顔で苦も無く言う。「ああ、昨日の様な無様は晒せない!キッチリと“クローズ作業”をやらなきゃならない!それまでは休んでくれ!」「そうさせてもらうよ!おい、メシを食うぞ!夕方はこんな程度では済まない。食ったら昼寝だ!」宮崎達は西岡から冷えたボトルを受け取ると、保健室へ向かった。「参謀長、坂野先輩が“通常体制に戻しても構わない。外は時間の問題で形は付く”と言ってますがどうしますか?」脇坂が聞いて来る。「よし、校内は通常体制へ戻そう。警備係も同じく通常シフトへ戻せ!加奈、入場制限を解除する!女子隊を引き上げさせて食事を摂らせろ!」「はい!」2人の声が重なった。「佐久先生、応答願います」僕は講堂を呼んだ。「俺だ」「校内は通常体制へ戻します。先生方も手が空いたら引き上げて下さい」「よし、何とか切り抜けたな!教頭や事務長達には引き上げてもらうし、俺は“親父”に報告に行って来る!後は任せた!」「ありがとうございます!無線機はそのまま手元に持っていて下さい」「そうする。何かあったら直ぐに呼べ!しばらくは“親父”のところにいる!」そう言うと交信は切れた。「やれやれ、どうにかなったな!」「Y、アンタの読みは的確ね!何で原田の“対抗馬”にならなかったのよ?」益田と小池の両名は、既に弁当を食べていた。「大きすぎる看板は背負えないものでね。僕にはこれくらいが丁度いいのさ」と返すと「実質的には、向陽祭の一般公開のすべてを取り仕切ってるじゃないか!原田は“皇太子”との密会で何も知らないし、手も貸してない!何故こんな不条理を平然と引き受ける?」益田は首を捻る。「益田氏、今の生徒会は“原田が居てこそ成り立っている”組織体系になっているだろう?例え“皇太子”が引き継いでも、そのまま動くとは限らない。むしろ、混乱するのがオチだよ。そうした“悪しきもの”を残してはいけない!ここに集めた者達は、精鋭中の精鋭ばかり。彼らに“後の世”を託すために、敢えて泥を被ってるのさ!“原田体制”を徹底的に破壊する!これが僕等の最後の使命じゃないか?」僕は益田の眼を見て返した。「確かに一理あるな!外から現実を見ると、“原田無くして生徒会無し”になっちまってる。このままじゃあ3期生に引き継げない。お前さんの言う様に“悪しきもの”を残しては出ていけねぇ!小池、俺達も考える必要はあるな!」「ええ、Yのやり方と話を聞いていると、余計にそう感じるわ。あたし達も冷静に外から見直して見なきゃ!」2人はしきりに頷いていた。「ダー、疲れた!悪りぃがボトルをくれ!」坂野達が引き上げて来た。さちが慌ててボトルを並べる。冷たい水分を飲み干すと坂野は「また、徐々に入込が始まった。次の山場は“クローズ作業”だな。Y、そろそろ上田と交代しろ!来年のためにも彼女に経験を積ませねぇと、もったいない!」「加奈の食事が終わったら席を譲るさ。坂野も保健室へ避難していいぞ!休んでくれ」僕が言うと「坂野は、原田のクラスよね?アンタもどうしてわざわざ、こんな苦労を背負う訳?」と小池が聞いた。「それは、Yが既に答えてるだろう?宮崎や今野、クラスは違うが飯田に吉川、小松にしても“誇り”を賭けているからさ!昨年、Yはぶっ倒れるまでやり切った。そして、今年もYは同じ“いばらの道”を選んだ。同期生としたら助けない訳には行かないだろう?それと、3期生に“正しい道”を示してやらなきゃならない。言葉だけでなく姿を見せ付けてやる必要があるのさ!先輩としては、当然の事じゃないか?原田は確かに“英雄”だが、後の事は何も考えていない!後輩たちが困らないようにするには、率先して引っ張ってやらなくてどうする?」坂野は事も無げに言う。益田と小池の表情が変わった。僕達が去った後、果たして3期生と4期生が伝統を引き継げるのか?2人は真剣に考え始めた様だ。「俺達は、原田を外から見ていた。2人は内側しか見ていない。大局を見たいなら視点を変えて見て見ろよ!今回の件でおぼろげながらも見えて来たはずじゃないか?」坂野はそう言うと保健室へ向かった。「確かに、言われた通りだ。このままだと、生徒会は崩壊してしまう!そんな事はさせられないな!」「ええ、木を見て森を見ない様じゃいけないわね!Y、アンタは別の視点からずっと原田を追ってたわよね?原田の次の1手はなに?」小池が問う。「4期生の“傀儡政権”を誕生させて、同窓会長を狙うだろうよ!」僕がズバリと言うと「そんな事は意地でもさせねぇ!Y、“大統領選挙”の際は、当然阻止に出るんだろうな?」益田の鼻息が荒くなる。「ああ、手は打ってるよ。だが、鍵を握っているのはそっちの出方だよ。原田に付くか?反旗を翻すか?そろそろ、義理は果たしたんじゃないかな?」「そう言うことなのね!あたし達が動けば時代は動かせる!そうでしょ?」小池が言うと「原田に対する義理は果たした。俺達の判断で動け!そう言う事か?」益田が僕の真正面に来る。「強制はしないよ。ただ、お2人の判断が未来を決定付けるのは間違いない」と僕が返すと「いいだろう!この話に乗る!しかるべき日が来たら、Y、お前さんの言う事を聞いてやる!母校を蹂躙されるのは、本意ではないからな!」益田は真剣な表情で言った。「OK、ただし、原田には悟られるなよ。何も知らない振りをしていてくれ。今の話は極秘協定だからな!」「分かったわ。適当にあしらっとくから安心して!さて、次の山場は午後3時以降ね?また、ビデオでも見て暇を潰してるわ。何かあったら無線で呼んでよ!」小池が本部席から出て益田と並んだ。「済まんが頼むぞ!ボトルはもう少し出してやれるだろう。どうせ余りそうだから、有効に使ってくれ!ブツは放送室の前に持ってこさせるぜ!じゃあ、そう言う事で」2人は手を振りながら視聴覚室へ向かった。「転んだな!これで多数派工作は成功したも同然!“靖国神社”も動き出した。小佐野の指示で攪乱工作は進行しとる!」いつの間にか長官が来ていた。「しかし、確約ではありません。最後まで気は抜けませんよ!」と返すと「あれでいいのだ。あの2人さえ離反させられれば、原田の手足は不自由にしかならない。作戦は成功したと言ってもいい!」と重々しく長官は言う。「“戦わずして勝つ”が孫氏の兵法の基本ですからね。時期が来たら、またプッシュして置きましょう。ヤツの知らぬ間に内堀まで埋めてしまえばいいんですから」長官は黙して頷いた。

「参謀長、交代しましょう!腹が減っては戦は出来ませんから!」加奈は戻るとそう言って僕を“責任者”の椅子から引きずり下ろした。貫禄も付いて来たところを見ると、余程の事が起こらない限り、心配は無さそうだ。「では、指揮を執れ!私が背後に居るのを忘れるな!」僕は肩の荷を降ろして、後方の椅子に座ると弁当を食べ始めた。「Y-、麦茶だよー!」さちも横に座ると弁当を広げる。つかの間の平和な時間だった。だが、そんな空気を吹き飛ばす事態が落ちて来るとは、予想だにしては居なかった。けたたましく内線が鳴った。「参謀長、会長からです。どうしますか?」山本が聞いて来る。「問答無用!叩き切れ!ついでにジャックを抜いて置け!ここはヤツの支配地ではない!」山本は、受話器を手で押さえていなかったので、僕の声は筒抜けだったはずだ。内線は再び不通となった。「Y、応答しろ!」無線機から佐久先生の声が聞こえた。校長室からだろう。「はい、感度良好。どうしました?」「大至急ポスターの公開時間を確認しろ!ミスプリントが明らかになった!」「了解!少々お待ちください」僕は入口のポスターの一般公開時間に眼を走らせたが、瞬時に血の気が引いた。「先生!どう言う事です?公開時間が1時間伸びてますよね?」「ああ、今しがた事務長が気付いたんだが、印刷業者のミスらしいのだ!“クローズ作業”の前にもう一仕事しなくてはならんぞ!体制を立て直せるか?」「警備係は不明ですが、本業の方は予備隊を投入すれば間に合います。至急警備係を招集します!」「とにかく急げ!余り時間は残されていない!公開した以上、時間延長はやむを得ないのだ。校長も意見は同じだ。とにかく体制を立て直せ!いいな!」「了解、至急手を打ちます!」交信が切れると「加奈!入口のポスターを見て来い!“延長戦”の算段をしなくてはならない!予備隊及び各隊の指揮者を呼んで時間の変更を通達しろ!」「はい!とにかく見てきます!」加奈は入口へ急いだ。「山本、当直以外の警備係を至急集めろ!戦場になるぞ!」「はい、警備係員へ至急本部前に集合せよ!繰り返す・・・」山本が無線機で警備係を呼んでいる最中に加奈が青ざめて戻って来た。「参謀長、こんな事態は想定してません!どうしますか?」「そのために予備隊を編成してあるだろう?1時間後ろにずらせばいいんだ!そっちはどうにでもなるんだ。ただ、時間が遅くなることは各隊の指揮者に確実に伝達して置け!問題は警備係の人員配置だ!こっちは、そんなことは全く想定してないから戦力があるかも分からない。脇坂、伊東と千秋を呼んで来い!2人に手伝ってもらわないと手が足りない!」「はい、直ぐに来させます!」脇坂は保健室へ駆け込む。「Y、応答してくれ!」原田が無線に割り込んで来る。「用は無い!黙っててくれないか!」こちらが噛みつくと「俺の責任だ。ポスターの仕上がりチェックが甘かった。すまん!」とウダウダ言い出すので「責任云々の前に、目の前の事態に立ち向かえ!やるべきことは分かってるだろう!?今日をどうやって切り抜けるかだけに集中しろ!」と畳みかけて黙らせる。「参謀長、警備係員が集合しました。伊東・小川両副会長もお見えです!」と脇坂が言って来る。「諸君、ポスターの公開時間にミスプリントが見つかり、公開時間を1時間延長しなくてはならなくなった!予定が全て1時間以上遅れるが、諸事情により支障がある者は居るか?」僕は集まった係員を前に問うた。「電車の接続の関係上、帰宅できなくなる可能性があります!」4期生2名が手を挙げた。「よし、時間になったら帰宅していい!他に都合が悪い者は?」「路線バスの最終に間に合わないです」3期生2名が手を挙げた。「間に合う時間に帰宅しろ!これで4名が脱落か。最終シフトの追加と“クローズ作業”に影響は避けられないか・・・」僕は思慮に沈んだ。「最終シフトと1つ前のシフトを30分延長したらどうです?」3期生の指揮者が言い出した。「それでは、その2直の者にだけしわ寄せが行ってしまう!」僕が返すと「昼前だって“総員戦闘配置”だったじゃないですか。とにかく、今日を乗り切らないといけません!覚悟は出来てます!参謀長、決断して下さい!」彼の言葉に僕が背を押された。「よし!その線で行こう!伊東、千秋、“クローズ作業”の直前から付き合ってもらうぜ!エネルギーは充填されてるよな?」「ああ、半日寝てりゃあ嫌でも溜まるさ!」「全力で切り抜けるわよ!」2人は元気を取り戻していた。「諸君、難局ではあるが、必ず乗り切って見せよう!原田の鼻をへし折るぞ!」「おー!」警備係員から雄たけびが上がる。「こっちも負けずに行くわよ!」「Yes!」加奈も負けじと続いた。僕と加奈は各隊の指揮者と細かく打ち合わせを行い体制を整えた。「参謀長、やるしかありませんね!」「ああ!こう言う事も乗り越えなくてはならない。だが、大丈夫だ!僕等は1人ではない。心強い味方が大勢いる!みんなの力で切り抜ければいい!さあ、加奈行くぞ!」「はい!」僕等は未知の領域へと走り出した。