
いつもお酒におつまみに鼻息を荒くしている私ではありますが、お菓子の誘惑にもグラつかされて困っているのも事実です。
改めて何者なんでしょう、お菓子って。明らかにお食事と違う魅力を持っていて、華やかで優しい微笑みを浮かべて美しく佇んでいたり、弾ける楽しさで元気をくれたりする、なんと、魔性な。。(ああ、砂糖め。)脳も欲しがるとのことですが、単純に手に取る、目で見る、口に入れた時の忘れがたい特別な経験が長年のクセになっているに違いありません。(ああ、習慣め!記憶め!)
と随所に戒めの心の声も出ちゃいましたが、今はダイエットの記事を書きたいわけではありませんので大いにお菓子を讃美していこうと思います。
それもこれも10/26の演奏会で湯山昭の名作、いや、銘菓「お菓子の世界」を抜粋で演奏するのでお菓子について語ってみたくなったのです。今回の演奏会の発端が「ハロウィンイベントしようよ」という年甲斐もない友人の狂った発言だったので(とはいえ話を詰めていった結果「要素的にハロウィン」程度に落ち着きました。ご安心ください。)、音楽には悪魔だの呪いだのもたくさんありますが、いやいや、ここはお菓子だ!と思いつき、今回も選曲は完璧です。
この作品は多くの方が子供時代にピアノのお稽古で、それこそご褒美のように与えられて甘い楽しい思いをしてきた作品ではないでしょうか。私自身は子供時代には弾く機会はなかったのですが、小学校の1年生頃だったでしょうか、ピアノのクラスのクリスマス会で先生が弾いてくれた「プリン」が実に印象深く私の記憶に刻まれているのです。わー本当にプリンだ、揺れてるみたいねと仲間と話したことも覚えています。その後生徒さんとのレッスンの中で再開し、楽しい、可愛い、面白い、弾くのも楽しい!さすがベストセラーの銘菓、毎回美味しく味わっていました。
では美味しいお菓子に対する私の熱い想いと曲のことを勝手に語ります。今回はお店の名前も遠慮なく書いて行きますよ。
第2曲 バウムクーヘン:シンプルケーキの中の王様だと思っています。薄く重なっている手間と技が、ふわっとしているのにちょっとサクッという歯ごたえもあって、幾層にも楽しみがやって来ます。周りのうすーい砂糖が華を添えてます。もちろん始まりはユーハイム。そして ねんりんや の しっかり芽 の新しい食感にはまったな...さらにお友達情報で知った クラブ ハリエ。ああ卵の香りよ。カフェでいただく焼きたてバウムには言葉もありません。本場ケルンでも食べた記憶が蘇る。
音楽もフレーズの層の重なり、だそうです。コーダがテンポが上がってめくるめく喜び、みたいになるのがめちゃくちゃ共感できる。笑
第3曲 柿の種:これは確実に浪花屋です。美味しいですよね。新潟帰りにポリポリしながら友達が「柿の種はピーナツ派ですか、柿の種(おせんべい)派ですか」と聞いてきて一瞬怯んだ。チョコがけはしなくて大丈夫です。曲もカリッと!粋でピリッとしてます。
第7曲 ドロップス:実は飴って疎遠なんですが...ドロップスという言葉の響きは輝いて聞こえる。宝石のように色とりどりでキラキラと、カラフルな夢のような音楽。
第8曲 チョコバー:チョコレート、嫌いな人っていないでしょ!という恩師の言葉が忘れられず。笑 チョコバーとはチョコにあれこれザクザク混ざっている食べ応えのあるアレのことのようです。初めてのゴディバのトリュフの満足度に驚かされましたが、このチョコバーというのも負けてませんよね。ザクザク美味しい ...ここはやっぱり、ロイズ と書くのが正解でしょう。札幌の空港でこのポスターをずっと見ていて、買わないで帰ることが本当に難しい。そしていただいた時の心の中のガッツポーズに我ながらびっくりする時がある。
第10曲 クッキー:実は最近素晴らしいクッキーを知ってしまいクッキーに最敬礼しているところです。それは東京の老舗の村上開新堂。
http://www.kaishindo.co.jp/products/cookies.html
明治時代からの老舗だそうで、お恥ずかしながら私、知りませんでした。小さな箱の中に20種類を越える様々なクッキーがぎっしりと!本当にぎっしりと美しく詰め込まれているのです。これは、誰もが思わず声をあげてしまうのでは。固く焼かれた軽やかなクッキーでそれぞれの味わいは品良くエレガント。これぞ「洋菓子」。当時の明治の日本人の夢が詰め込まれているのではないでしょうか。これはまた出会いたい、そして皆さんにも出会ってほしいクッキーです!
第12曲 ソフトクリーム:この曲とは別の「僕は王子ではないけれど アイスクリームを召し上がる、アイスクリーム...」という楽しい歌がありますよね、その曲を思い出しちゃうようなウキウキを感じます。
アイス食べたい...と思うたびにTV番組でアイスの特集をしていた時に人気の芸人さんが
「アイスは白いからカロリーゼロ!」「アイスは冷たいからカロリーゼロ!」
の言葉が私を支えてくれます。...いやいや。違うから。
第14曲 鬼あられ:甘いのもいいけどしょっぱいのもね という無限ループを後押ししてくる あられ。ちょっと調べてみましたが、米菓の中で「あられ」というのはもち米を原料とした小ぶりのもので、うるち米からできる「おせんべい」とは作る工程もかなり違うんですね...知らないことっていっぱいあるな...。曲はもちろん和風です。
第15曲:マロングラッセ:一度でも栗を扱ったことがあれば、いや、なくても知っているでしょう、あの大変さ。(といって私はちゃんと処理したことはありません。)それをあんなにも柔らかく美味しく、甘みを染み込ませてくれて...と栗のお菓子には本当にひれ伏します。シシリエンヌのような揺れるリズムで少しノスタルジックな音楽です。モンブランケーキにのっていたらなお心浮き立つ。
第16曲 金平糖:ツノの生えたお星様のような金平糖。色とりどりでかわいいですね。作り方も繊細。音楽も繊細。
第17曲 プリン:先ほども書きましたが、この曲はプリンプリンしてます。笑 プリンに感銘した小学生の私は成長し、自分で作ろうと試みたことがありましたが、なにせカラメルソースが怖いし難しいし(苦いし)何かいい方法はないだろうかと思っていたところに、私が大学生当時押しも押されぬ人気料理研究家の栗原はるみさんのレシピで「カルーアプリン」というものがありました。これだ、と。三温糖を底に敷いてカルーアミルクを入れたプリン液を入れて蒸し焼きっぱなしでいいという神レシピでした。
この曲集のお菓子もまだまだありますし、その他のお菓子で好きなもの、例えば、カヌレ(いつも探してます)、ガトーバスク(これはメゾンダーニ!)、美味しい高カカオチョコレートも興味深い。和菓子は栗きんとん(すや 今年も無理か...!)、パイナップルケーキ(台湾で覚えてしまった)、あと、ヌガーグラッセ...リースリングと合わせたら至福の味わい。
ああ。キリがない。
そしてこれをどうやってセーブしながら食べていけるのか。お酒も飲みたいし、糖分をこんなにとっては罪が罰に..ああ難しい!
心から言えるのは
お菓子の国よ、永遠なれ。
*写真は数年前ロンドン、憧れのフォートナム&メイソンのアフタヌーンティー。全てが美味しい!量も味も満足すぎる!これぞ完璧なお菓子の世界でした。(一生に一度はと思っていたけどまた行きたい気持ちがムクムクと。。)
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2018年10月26日(金)20:00- 原宿・カーサモーツァルト
Ensemble Sabbath 歌う女、奏でる女、弾く女〜艶やかなる宴〜
出演:長谷川忍(メゾソプラノ)、佐々木絵理子(ヴァイオリン)、羽石道代(ピアノ)
お問い合わせ:sabbath1026@gmail.com