荻伏共同育成場日誌

北海道浦河町にある競走馬育成牧場・荻伏共同育成場の場長が日々の風景をお届けする徒然日誌。

育成場のお仕事~馬房清掃~

2015-06-26 08:56:17 | 仕事
 育成場のお仕事というとどうしても騎乗運動だけに目が行ってしまいますが、その裏でそれを支える人たちも必要となってきます。騎乗員が調教をつけている間に騎乗員以外の人たちは馬房清掃とウォーキングマシンの入れ替えを行います。

 まずは馬房清掃についてみていきましょう。馬房清掃は文字通り馬の部屋である馬房をきれいにしてあげることです。馬房には敷料として大別して藁とチップの2種類が使われます。
 まず藁は最もメジャーなのが麦稈(ばっかん)とよばれる文字通り麦の茎を使った藁で水の浸透性が良く柔らかいので使いやすく、使用している生産牧場では干して再利用するところがほとんどです。いいところばかりのようですが、干して使わない育成場にとってみればコストパフォーマンスが悪く、藁は食べられないことはないので、食いが良い馬は食べて消化器系に負担をかけることになります。
 今ではあまり見られませんが稲藁を使用するところもありますが、硬くて食べないのは良いのですが、硬すぎるために馬房内で馬が暴れたりすると簡単にめくれ上がってしまいます。育成場の多くは下が舗装されており滑りやすいので、めくれ上がってしまうと危険なこともあります。
 生産牧場と育成牧場を複合経営する牧場では、コストが安くなる牧草を使う育成場もあります。麦稈以上に食べてしまうため体重管理が難しくなります。

 チップにもいろいろ種類はありますが最も多く使われているのはウッドチップです。よほどの馬でなければ食べることがないので体重管理がしやすく、後で出てくるチップ類に比べると埃がたちづらいというのも良い点です。しかし、きれいにしようと思うとコストパフォーマンスが悪く、コスト削減しようとすると馬房が汚くなるジレンマがあります。
 コストパフォーマンスという点ではおが屑は素晴らしいものがあります。しかし如何せん埃がかなりたち呼吸器系に悪いほか、蹄にある溝(蹄叉側溝)などに詰まりやすく蹄を乾燥させたり、おが屑が汚い場合は腐爛(ふらん)させたりもしてしまうのです。
 エコリットと呼ばれる麻繊維を細かく裁断した敷料はおが屑のような埃もたたないのですが、コストが高くおが屑同様蹄に詰まりやすいので注意が必要です。

どちらを使うにしてもやることはきれいにするということ。汚い部分と綺麗な部分を分け汚い部分を排除し、排除した分量の敷料を入れるという単純な作業です。単純な作業ですが、人によってきれい汚いがあることはもちろん、敷料を過剰に捨てたりなど単純な能力差から、次にどの馬房をやった方が効率がいいかという判断能力を求められる作業でもあります。


馬房清掃は馬に携わる人にとって基本となるお仕事です。

同業者の方やこの職に興味がある方はコメントくださいね。