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扇町レディースクリニック・ブログページ

受精卵の動画観察:②正常分割 / 異常分割 かどうかを判断する

みなさま、こんにちは😃 
今回の記事では、当院での受精卵の観察方法についてご紹介いたします(3回シリーズです)。

当院では、タイムラプスインキュベーターという機械で受精卵を培養しています。この機械にはカメラが内蔵されており、15分毎に受精卵の写真を撮ることができます。その写真を組み合わせることで、受精卵の様子を動画で観察することが可能です。

この機械を導入する前は、朝1回だけ培養器から受精卵を取り出し、顕微鏡下で受精卵の状態を確認していました。現在は、いつでも観たいときにパソコン上で受精卵を観察することができます。

タイムラプスインキュベーターについて詳しくは、

動画観察でわかることは、以下の3つです。
◎正常受精 / 異常受精 かどうか(前回のラボ記事をご覧ください)

◎正常分割 / 異常分割 かどうか
受精卵が正常な割れ方 / 異常な割れ方をしているかどうかは、動画で観察することで判断しています。


正常な分割とは、1つの細胞が2つに分かれることが基本となります。
これを繰り返すことで、1細胞 ⇒ 2細胞 ⇒ 4細胞 ⇒ 8細胞と細胞数が増えていきます。


異常な分割は様々なパターンがありますが、上の写真では、1つの細胞が3つに分かれています。それぞれに細胞の核(染色体)が含まれており、染色体が均等に分かれていない可能性があります(染色体数の異常)。

上の二つの写真のように培養3日目の時点で見た目やグレードがほぼ同じであっても、分割の仕方によっては胚盤胞になる確率や妊娠率に差が出てきます。

異常な分割であっても胚盤胞なる場合ももちろんあります。当院では、培養3日目に1-2個正常分割胚を凍結しておき、異常分割胚は胚盤胞まで培養を継続、良好な胚盤胞になれば正常・異常分割を問わずに凍結保存しています(詳しくはこちらをご覧ください)


◎分割の速度・タイミング(次回のラボ記事にて掲載予定)

以上が、受精卵の動画観察に関する記事でした。
ご質問がございましたら、医師・胚培養士にお尋ねください。

実際の受精卵分割の様子については、以下の動画をご覧ください。
受精卵を動画観察することで、初期胚の段階でも胚盤胞になりやすい受精卵を見分けることが可能です。当院ではなるべく良好な初期胚を凍結することをおススメしています。詳しくは以下の記事もご覧ください。

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