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運動精子の数は多すぎてもダメ??(人工授精のお話)

みなさま、こんにちは
今回は、人工授精の妊娠率についてお話させていただきます。

人工授精では精子を遠心処理し、元気な精子だけを回収し、子宮の中に注入します。

その子宮の中に注入した運動精子の数によって、妊娠する確率が異なります。
普通に考えたら、精子の数が多いほど卵子にたどり着いて受精する可能性が上がるため、妊娠率も上がっていくと思いますよね

実は、どうもそうではなさそう・・・というデータが出たので、ご紹介いたします。

ちなみに、注入運動精子数とは当院の人工授精報告書の一番下に記載している総運動精子数のことを言います。
(調整後の液量 × 運動精子濃度)で算出されます。

以下のグラフは2015-2019年5月までに当院で人工授精された方(39歳以下、1~9回目まで)の、注入運動精子数別の妊娠率を算出しています。

注入運動精子数が999万以下の少ないグループは妊娠率が4.4%、注入運動精子数が増えるほどに妊娠率は上昇し、ピークは5000~7999万のグループで12.0%となっています。しかし、その後は注入運動精子数が多くなっても妊娠率が上がらず、一番少ないグループと同等の妊娠率に低下しました

なぜ運動精子の数が多いのに妊娠率が低いのか?という疑問に、はっきりとした回答が見つけられませんでした。
考えられることとして、精子が多すぎることによる多精子受精という異常な受精が起こって、妊娠しづらい状況になっているのかも知れません。
また、8000万以上のグループは他のグループよりも症例数が少ないために、妊娠率が低いという可能性もあります。
このグラフは、あくまでも当院でのデータになりますので、全ての医院で同じデータが出るとは限りません。


以上が、人工授精の妊娠率に関するお話しでした 運動精子数が多すぎる場合は、すこし少なめに調整してみてもいいかもしれませんね。
ご質問がございましたら、遠慮なく医師・胚培養士にお声掛けください



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