原発がどんなものか知ってほしい 平井憲夫
素人が造る原発
>例えば、東京電力の福島原発では、
針金を原子炉の中に落としたまま運転していて、
1歩間違えば、世界中を巻き込むような大事故になっていたところでした。
本人は針金を落としたことは知っていたのに、
それがどれだけの大事故につながるかの認識は全然なかったのです。
そういう意味では老朽化した原発も危ないのですが、
新しい原発も素人が造るという意味で危ないのは同じです。
定期点検工事も素人が
>そういう仕事をする人が95%以上まるっきりの素人です。
お百姓や漁師の人が自分の仕事が暇な冬場などにやります。
言葉は悪いのですが、いわゆる出稼ぎの人です。
そういう経験のない人が、怖さを全く知らないで作業をするわけです。
放射能垂れ流しの海
>冬に定検工事をすることが多いのですが、
定検が終わると、海に放射能を含んだ水が何十トンも流れてしまうのです。
はっきり言って、今、日本列島で取れる魚で、安心して食べられる魚はほとんどありません。
日本の海が放射能で汚染されてしまっているのです。
普通の職場環境とは全く違う
>稼動中の原発で、機械に付いている大きなネジが一本緩んだことがありました。
動いている原発は放射能の量が物凄いですから、
その一本のネジを締めるのに働く人三十人を用意しました。
一列に並んで、ヨーイドンで七メートルくらい先にあるネジまで走って行きます。
行って、一、二、三と数えるくらいで、もうアラームメーターがビーッと鳴る。
中には走って行って、ネジを締めるスパナはどこにあるんだ?といったら、もう終わりの人もいる。
ネジをたった一山、二山、三山締めるだけで百六十人分、金額で四百万円くらいかかりました。
「絶対安全」だと五時間の洗脳教育
>原発で初めて働く作業者に対し、放射線管理教育を約五時間かけて行います。
この教育の最大の目的は、不安の解消のためです。原発が危険だとは一切教えません。
国の被曝線量で管理しているので、絶対大丈夫なので安心して働きなさい、
世間で原発反対の人たちが、放射能でガンや白血病に冒されると言っているが、
あれは“マッカナ、オオウソ”である、国が決めたことを守っていれば絶対に大丈夫だと、
五時間かけて洗脳します。
日本には途中でやめる勇気がない
>原子力局長をやっていた島村武久さんという人が退官して、『原子力談義』という本で、
「日本政府がやっているのは、ただのつじつま合わせに過ぎない、電気が足りないのでも何でもない。
あまりに無計画にウランとかプルトニウムを持ちすぎてしまったことが原因です。
はっきりノーといわないから持たされてしまったのです。
そして日本はそれらで核兵器を作るんじゃないかと世界の国々から見られる、その疑惑を否定するために核の平和利用、
つまり、原発をもっともっと造ろうということになるのです」と書いていますが、
これもこの国の姿なんです。