ブログに先週獲れたシロカジキのことを書いた。
漁師の苦労と魚の命の話。
こんなに旨い魚をみんなで食べれば幸せな島だ、という楽観的な話。
タイトルには夢とつづった。
そしたら翌朝、定置網の漁師さんから電話が鳴った。
「またカジキが入りました。」
さっそくブログを読んでくれて、冗談を言ってくれたんだと思った。
そしたら嘘じゃなかった。
これは覚悟を試されてる!
頭に浮かぶ、「やらない」為の言い訳を全部捨てて、やってみることにした。
漁師さんはもちろん、漁協のスタッフ、給食センターの方々、
飲食店を営む人、福祉施設、高校の寮。
島にいるあらゆる人に食べてもらうための人間関係は既にある。
やはり、あとは覚悟だけだった。
港に着くと、氷水で冷やされながらタンクに横たわっているカジキがいた。
この目だ。
長く伸びた嘴はザラザラとして、掴むとすぐに手袋がボロボロになる。
尾鰭には吊るすためにロープをかけるためにあるんじゃないかと思うような突起がある。
神様のデザインだ。
テレビで見たマグロ解体ショーを思い出しながら、切り始めた。
手ごろなサイズのブロックに切り分けながら、なんとか捌き終えた。
包丁を握る手の握力は無くなり、中腰の姿勢で疲労をたっぷりと蓄えた。
後で測るとブロックが1個5㎏くらいあったので、おそらく肉で85㎏~90㎏程度。
魚体は150㎏~180㎏くらいだったんじゃないかと予想。
加工場に運んでからはみんなで食べるための算段をしながら電話を掛けた。
給食では保育園から小中学校で使ってもらえることになった。
島に「留学」してきている高校生の寮にも検討していただいてる。
それから福祉施設で提供される食事にも一部使ってもらえることになった。
海鮮居酒屋のご主人、イタリアンレストランのシェフはブロックで買ってくれた。
民宿を営む料理人さんも「高校生に食べさせてやる」と。
外で捌いたから念のためトリミングしながらサクにしていく。
あとは家庭の食卓めがけて明日から販売開始します。
1匹の魚の命が、島の人の命につながりますように。
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