「お世話様です」はNG!?
――間違って使われがちな敬語
マイナビスチューデント
2016年3月21日 13時00分 (2016年3月21日 15時25分 更新)

ビジネス上はもちろん、目上の方などとの会話においても、
敬語はコミュニケーションの潤滑油として欠かせない存在です。
しかし、良かれと思って使っている敬語が、
時として間違っていることもあります。
たとえば、「お世話様です」という言葉を、
取引先へのメールの最初に入れて使っている人を
よくみかけますが、これはNGです。
なぜだかわかりますか?
●上から目線になってしまう言葉
「お世話様」はお礼の気持ちを込めて使われる言葉ですが、
目上の人や取引先に対して使う言葉としては
敬意が軽いため失礼にあたることも。
この場合は「お世話になっております」が
適切な使い方です。
ビジネス上では、「了解しました」というフレーズも
よく見聞きしますが、これは、
物事を理解して承認するといった意味の言葉で、
場合によっては敬意が低い印象を与えてしまいます。
目上や取引先に使用する際は、
「承りました」「承知いたしました」
「かしこまりました」と言い換えましょう。
●よく耳にするあのフレーズはNGだった!?
敬語は大別すると次の3種類あります。
・尊敬語:相手の動作・状態・事物などを高めて言い表す言葉
・謙譲語:自分側をへりくだって表現することで相手に敬意を表す言葉
・丁寧語:「です」「ます」など、相手に対し敬意を表して丁寧にいう言葉
これらが混同し、おかしな敬語表現になっていることがあるのですが、
なかには、「ご乗車できません」といった、
間違いだと気付きにくいものもあります。…
文化庁「敬語の指針」によれば、
「ご乗車・・・でき(ません)」というのは、
謙譲語のカタチである「お(ご)・・・する」の
可能形にあたります。
乗客の行為には尊敬語を使うべきです。
尊敬語の可能形は
「お(ご)・・・になれる」というカタチになります。
つまり、「ご乗車になれません」が
適切な敬語の使い方になります。
●「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」はOK?
ほかにも、気付かずに誤って
敬語を使っていることが少なくありません。
次の言葉のなかにも敬語が
適切に使われていないものがあります。
1「こちらに、お名前をご記入してください」
2「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
3「こちらのプランは私が企画させていただきました」
4「部長は、軽井沢に別荘がおありになるそうですね」
5「おうわさは、かねがね佐藤からうかがっております」
さて、どれだかわかりますか?
じつは、4以外すべてNGです。
「こちらに、お名前をご記入してください」は、
先の「ご乗車できません」と同じで謙譲語のカタチです。
「~ご記入ください」だとOKです。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」は、
丁寧な感じはするものの、
「よろしかったでしょうか?」は
(その場での注文確認にもかかわらず)過去や完了した事について
確認する言葉になるので不自然に思う人も多くいます。
「~よろしいでしょうか?」がやはり自然です。
「こちらのプランは私が企画させていただきました」ですが、
「させていただく」は「する」の謙譲語になるので、
問題ないようにも思えます。…
しかし、相手の許可や依頼、要請があった時に
使用する言葉でもあるため、
相手とそうしたやりとりがない場合に使用すると、
自分側を高める印象を与えてしまいます。
「おうわさは、かねがね佐藤からうかがっております」は、
「うかがう」が謙譲語のため、
佐藤を高める言い方になっています。
立てる相手は佐藤ではないのでNG。
この場合は「おうわさは、
かねがねうかがっております」
だけにしたほうがベストです。
言葉は大切なコミュニケーションツールであると同時に、
自分を表現するものでもあります。
敬語にかぎらず、曖昧な言葉と出会ったら、
スマホという便利なツールもあることですし、
うやむやにせずにぜひ調べてみましょう。
文・鈴木ゆかり
※参考
文化庁――敬語の指針(答申)(平成19年2月2日)
『知らずにまちがえている敬語』(井上明美・著/祥伝社)
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20160321/Mycom_freshers__gmd_articles_34165.html
――間違って使われがちな敬語
マイナビスチューデント
2016年3月21日 13時00分 (2016年3月21日 15時25分 更新)

ビジネス上はもちろん、目上の方などとの会話においても、
敬語はコミュニケーションの潤滑油として欠かせない存在です。
しかし、良かれと思って使っている敬語が、
時として間違っていることもあります。
たとえば、「お世話様です」という言葉を、
取引先へのメールの最初に入れて使っている人を
よくみかけますが、これはNGです。
なぜだかわかりますか?
●上から目線になってしまう言葉
「お世話様」はお礼の気持ちを込めて使われる言葉ですが、
目上の人や取引先に対して使う言葉としては
敬意が軽いため失礼にあたることも。
この場合は「お世話になっております」が
適切な使い方です。
ビジネス上では、「了解しました」というフレーズも
よく見聞きしますが、これは、
物事を理解して承認するといった意味の言葉で、
場合によっては敬意が低い印象を与えてしまいます。
目上や取引先に使用する際は、
「承りました」「承知いたしました」
「かしこまりました」と言い換えましょう。
●よく耳にするあのフレーズはNGだった!?
敬語は大別すると次の3種類あります。
・尊敬語:相手の動作・状態・事物などを高めて言い表す言葉
・謙譲語:自分側をへりくだって表現することで相手に敬意を表す言葉
・丁寧語:「です」「ます」など、相手に対し敬意を表して丁寧にいう言葉
これらが混同し、おかしな敬語表現になっていることがあるのですが、
なかには、「ご乗車できません」といった、
間違いだと気付きにくいものもあります。…
文化庁「敬語の指針」によれば、
「ご乗車・・・でき(ません)」というのは、
謙譲語のカタチである「お(ご)・・・する」の
可能形にあたります。
乗客の行為には尊敬語を使うべきです。
尊敬語の可能形は
「お(ご)・・・になれる」というカタチになります。
つまり、「ご乗車になれません」が
適切な敬語の使い方になります。
●「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」はOK?
ほかにも、気付かずに誤って
敬語を使っていることが少なくありません。
次の言葉のなかにも敬語が
適切に使われていないものがあります。
1「こちらに、お名前をご記入してください」
2「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
3「こちらのプランは私が企画させていただきました」
4「部長は、軽井沢に別荘がおありになるそうですね」
5「おうわさは、かねがね佐藤からうかがっております」
さて、どれだかわかりますか?
じつは、4以外すべてNGです。
「こちらに、お名前をご記入してください」は、
先の「ご乗車できません」と同じで謙譲語のカタチです。
「~ご記入ください」だとOKです。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」は、
丁寧な感じはするものの、
「よろしかったでしょうか?」は
(その場での注文確認にもかかわらず)過去や完了した事について
確認する言葉になるので不自然に思う人も多くいます。
「~よろしいでしょうか?」がやはり自然です。
「こちらのプランは私が企画させていただきました」ですが、
「させていただく」は「する」の謙譲語になるので、
問題ないようにも思えます。…
しかし、相手の許可や依頼、要請があった時に
使用する言葉でもあるため、
相手とそうしたやりとりがない場合に使用すると、
自分側を高める印象を与えてしまいます。
「おうわさは、かねがね佐藤からうかがっております」は、
「うかがう」が謙譲語のため、
佐藤を高める言い方になっています。
立てる相手は佐藤ではないのでNG。
この場合は「おうわさは、
かねがねうかがっております」
だけにしたほうがベストです。
言葉は大切なコミュニケーションツールであると同時に、
自分を表現するものでもあります。
敬語にかぎらず、曖昧な言葉と出会ったら、
スマホという便利なツールもあることですし、
うやむやにせずにぜひ調べてみましょう。
文・鈴木ゆかり
※参考
文化庁――敬語の指針(答申)(平成19年2月2日)
『知らずにまちがえている敬語』(井上明美・著/祥伝社)
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20160321/Mycom_freshers__gmd_articles_34165.html