うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

書評 ~ なぜ、働くのか

2010年09月17日 | 書評
本日は書評です。

今週のチョイスは 「なぜ働くのか」  田坂広志 著





最近、哲学的な本に偏っておりますが懲りずにお付き合い下さい。

「あなたは何故働くのですか・・・」などと問われても、回答に詰まってしまいますよね。

当然「生活のため」には違いないのですが、一生の多くの時間を費やす「仕事」。
その明確な意義を持っているようで、そうでないようで・・・。
社会ではもう中堅所と呼ばれるの我々世代ですが、しっかりと【持っていたい】ものであります。


著者はこの「働くことの意義」を【死生観】 【世界観】 【歴史観】
という3つの観点から説いている。

1. 死生観  ~生死という深みにおいて考える。
        
        我々は当たり前のことだが「生きている」。
        でもそれは決して当たり前のことではないのである。

        この自分の命は自分だけのものではない。
        だからこの命と人生を大切な何かに使わなければならない。


2. 世界観  ~世界という広い視野で物事をとらえる。
        
        明らかに我々は恵まれた存在。自由があり、命の心配をしなくても良い。
        そんな幸運な境遇に生まれついたことへの「感謝」がなくてはならない。

        その感謝の思いを、よき仕事を通じて表そうと考え、使命感を持って生きる。
        その生き方は「高貴」なものとなる。


3. 歴史観  ~宇宙の誕生から、人類の進化まで、歴史を考えることによって
        「人間の意味」というものを深く考える。
        
        「人間」とは何か。「人類」とは何か。なぜ存在するのか。
        そのうえで自分の使命を感じ、進んでいくことが大切。


このような観点から、自分なりの「思想」をしっかり持つことが大切。
そしてその「思想」は現実に流されぬ【錨(いかり)】となるのである。


どうですか?

日常の中ではなかなか考えられない内容です。
「哲学的」、「宗教的」でピンとこない点もあります。
特に【歴史観】などは難しく感じます。

著者はこの本の中で、【明確な回答】を出していないように思います。

ただし、このなかなか答えが出ない「働くことの意義」を生涯を通じて【自分に問い続ける】
そのことが大切で、大きな意味があるのだと説いているように感じました。

10年後に読んだら、もっと深い意味を感じ取れるのでしょうか・・・。
是非、そうありたいものです。


興味を惹かれる一節がありましたのでご紹介します。


   ~人生において直面する問題。その多くには明確な回答がない。
    その回答のない問いを問い続ける力。

     その魂の力こそが【真の知性】なのである。


ケータイ 考

2010年09月14日 | 日記
東京に戻ってきて2週間。
毎日電車で通勤する、ごくごく標準的なサラリーマンです。

以前は【住まい】と【職場】が同じ敷地内でしたので、通勤時間【ゼロ】でした。
が、やはり通勤時間というのは必要なもの。

【オン】と【オフ】の切り替えの大切な時間だと感じています。


そんな通勤電車で気になること。
「携帯電話とにらめっこしている人が多いなぁ」ということです。

今日の帰りの電車などは、向かいの7人掛けのシートに座る人のうち
6人がピコピコやっておられました。
そのうちの一人なんかは、2台目の携帯を取り出し「両刀使い」・・・。
7人で7台、ピコピコ率100パーセントであります。

そういえば、以前の職場で若いメンバーが携帯を無くしたといって
「死んだように」うろたえていました・・・。

これってどうなのよ・・・。
ちょっと怖くなるような光景でした・・・。

ちょっと涙・・・

2010年09月13日 | 日記
ようやく秋の気配を感じるようになってきました。

しかし今年は暑かった。
年々夏が嫌いになっていきます。

この週末は福島に帰っていました。
というのも、現在単身赴任中、家族は10月の初旬にこっちにやって来ます。

2週間ぶりに会う家族、ほんの少しの時間なのに息子は少し大きくなったような・・・。

家族と過ごす楽しい時間はあっという間に過ぎます。
帰りの駅では「笑顔」で別れたものの、帰りの電車で「すこし涙」・・・。

日本全国の単身赴任のお父さん達、頑張ってくださいね。

【定番の味】について思うこと

2010年09月09日 | 日記
先日滋賀に帰省した時のこと・・・。

いつも大阪の伊丹空港から実家の滋賀まで、大阪在住の兄の車で移動するのですが
その際立ち寄ったパーキングでこんなものを発見・・・。


530円は高くないか?


そう、以前「食べるラー油」がかなりの人気だとご紹介しましたが
こんなとこにまでブームに乗っかろうとする類似品が出回っていました。


 野沢菜バージョンも・・・


コバンザメ商法!もここまで開き直ると立派といえます・・・。
そー言えば本家の「桃屋」のラー油ブームは、すっかり落ち着いたようです。

さすがに「梅干し」や「のり佃煮」のように、【冷蔵庫の定番】にはなれないということでしょう。
とても美味しいものでも、ずーっと食べられ続ける存在になるのは大変なことなのですね。

それくらい我々の味覚というのは「保守的」だということでしょうか・・・。
なかなか興味深い問題であります。





書評 ~ いきいきと生きよ ゲーテに学ぶ

2010年09月08日 | 書評
本日は久しぶりの書評です。


今回のチョイスは

いきいきと生きよ ~ ゲーテに学ぶ   手塚富雄 著





東大教授であり、文学博士である手塚氏が、数多くのゲーテの名言を紹介、解説しながら
彼なりの論点でコメントを加えていくという内容である。

そもそもみなさんゲーテってどんな人か知ってますか・・・?
僕は全く知りませんでした。

簡単に紹介しますと、18~19世紀にかけて活躍したドイツの文豪。

その活躍は文壇のみならず、哲学、劇作家、自然科学と多岐にわたり、数えきれないほどの作品を残す。
また政治の世界でも活躍、ワイマール公国の政務長官まで務めた。

その一方実に恋多き人であり、人生において多くの女性と恋に落ちる。
なんと、80歳近いときにも17歳の少女に熱烈な恋をしたという記録が残っている。(スゴイ・・・)

まぁ、なんとも人生をエネルギッシュに駆け抜けた人なのであります。

これからも何となく分かるように、彼の生き方はポジティブそのもの・・・。
彼の残した言葉も「いきいきと、ポジティブに行きましょうよ」という前向きなものが多い。

そんな観点からすると、同時期に生きたニーチェとは【180度違う】といえるかもしれない。


そんなゲーテの珠玉の言葉の数々を少しご紹介・・・。



・「心が開いている時だけこの世は美しい。」
      
      ~きっとゲーテは全体としてこの世を美しく見た人に違いない。
       世界を斜めに見る必要なんてないのだろう。
       結局すべては自分の心のとらえ方次第なのである。


・「昼の間は、働きなさい。」
・「困難な務めを日々に課すこと、ほかには何の掲示もいらぬ。」

      ~勤勉に生きた人である。働くことの大切さを説く言葉がとても多い。
       しかもゲーテはがむしゃらに仕事をする人ではなかった。
       計画を立て、その結果に対して整理整頓を怠らなかった。
       うーむ、学ぶべし。


・「活動だけが恐怖と心配を追い払う。」
・「時を短くするものは何か、活動。時を耐えがたくするものは何か、安逸。」
・「昼のいそしみ、楽しい憩い日、これを今後の呪文とせよ。」

      ~人間にとってナーンにもしない暇な時間というのは、本来苦痛なものなのである。
       一生懸命働いた上での休息、これにこそ価値がある。
       

・「阿呆、燃えてしまったのなら消せ。燃えてしまったのならまた建てろ。」
 
      ~ゲーテの楽天主義、と現実性がよく出てます。


・「誰でもほかの人々の好意を喜びとする場合にだけ、
  本当の意味でいきいきとしている。」
  
      ~人の好意が注がれていると感じた時が、いっとううれしい。
       そうですよね、人の好意を感じるとホント嬉しいものです。





・「人間は努力する限り迷うものである。」  

      ~こんな言葉は凡人の私にはホッとする言葉です。
       そうです、アクションを起したり、努力して初めて迷うのですね。


・「行動する人にとっては、正しいことを行うのが重要な問題である。
  正しいことが起こるかどうかについて、心を煩わすべきではない。」
・「人間のことは考えるな、事柄を考えよ。」
      
      ~憂い多き世の中ですが、「周囲に心を煩わすな!」ということですね。 
       せめて自分だけでも正しく生きよ、ということです。
       うーむ、深い!


まだまだありますが、これが極め付け・・・。


   ・「生きている間は、いきいきとしていなさい。」


いやはや、スゴイ人です。

実はこの本40年以上も前に出版された本で、長年にわたって読み続けられている名著です。
しかし全く古さは感じられません。

内容がギューッと詰まっていて、文庫本なのに【ズシッと】感じられる深いイイ本ですよ。
おススメです。