On The Road

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2010-02-16 21:07:13 | OnTheRoad第4章
 ハルさんが財布を出して5五千円札のシワを伸ばしてサトウさんに渡した。「お孫さんたちに、こだいふくを持っていってあげてください」とサトウさんはお釣りを返しながらこだいふくを渡した。
 「アキちゃんによろしく伝えてください。お茶会やりましょうって」とハルさんは言って「そうそう」と今日午後のお茶会にサトウさんを招待した。

 サトウさんはものすごくキョーシュクして、着ていく服がないとか店が忙しいとか言って断った。「普段着でいいんですよ。よろしければ是非」とハルさんが言った。

 サトウさんは「先生にもよろしくお伝えください」とハルさんに言った。ハルさんたちが店を出ていってからサトウさんはしばらくボーッとしていたけど、大きくため息をついてから「ハルさんはやっぱりきれいだ」と言った。きれいで優しいけど、いつも一緒にいたらきっとサトウさんは息がつまってしまうんじゃないかと僕は思う。

 僕はカラになったお皿を下げて、すき間ができたショーケースのお菓子を並べなおした。お皿を洗いながらサトウさんは換気扇をつけた。「お茶を入れましょうか?」と聞いたら、「お茶会なんて行けねーよ」とサトウさんは言った。サトウさんの頭の中は、お茶会の招待のことでいっぱいみたいだ。


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