後から追いついて来た、アイロンがかかったようにピシッとしたTシャツに作業ズボンの小柄な男は、ポケットから麻紐を取り出して、「アイヤ!手のかかる人ネ」と、手早くガタイのいい男の手足をしばった。
「ワタシ、オウ言います。黄河のコウと書いてオウね」
黄は元中華料理人だったと言った。修行時代は毎日、チャーシューにする肉を縛っていたのだそうだ。
「黄河のオウさんは、日本長いの?」村崎が尋ねると、黄は「ちょっとだけ長いネ」と笑った。
乗り物が動いていない「カリブの海賊」は、電気が消えているせいもあって何だか不気味だ。滑稽な動作をしているらしい海賊も、冷血非道な極悪人に見える。
ピカッと明かりがついて、飲んだくれの海賊がニヤッと笑った気がした。村崎が叫びそうになったのをこらえていると、「黄さん、人が悪いよ。俺、オシッコ我慢してるんだから」と赤沢が黄を指差した。
「ごめんね。でも、真っ暗だと動いている奴見えないよ」
「明かりをつけても光が当たるところしか見えないけど、敵はこっちの場所を特定しやすい」と、隊長が黄からライトを取り上げて、眼鏡とインカムを出して赤沢に渡した。
「暗視レンズが入っている。よく見て報告してくれ」
「ワタシ、オウ言います。黄河のコウと書いてオウね」
黄は元中華料理人だったと言った。修行時代は毎日、チャーシューにする肉を縛っていたのだそうだ。
「黄河のオウさんは、日本長いの?」村崎が尋ねると、黄は「ちょっとだけ長いネ」と笑った。
乗り物が動いていない「カリブの海賊」は、電気が消えているせいもあって何だか不気味だ。滑稽な動作をしているらしい海賊も、冷血非道な極悪人に見える。
ピカッと明かりがついて、飲んだくれの海賊がニヤッと笑った気がした。村崎が叫びそうになったのをこらえていると、「黄さん、人が悪いよ。俺、オシッコ我慢してるんだから」と赤沢が黄を指差した。
「ごめんね。でも、真っ暗だと動いている奴見えないよ」
「明かりをつけても光が当たるところしか見えないけど、敵はこっちの場所を特定しやすい」と、隊長が黄からライトを取り上げて、眼鏡とインカムを出して赤沢に渡した。
「暗視レンズが入っている。よく見て報告してくれ」