On The Road

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2009-12-08 20:30:37 | OnTheRoad第1章
ケーキ屋では、ミニスカートのサンタが迎えてくれた。サンタは寒そうだったけど、温かい笑顔で「カノジョとパーティですか?」と言った。僕はケーキを予約したことを後悔しそうだった。ケーキを受け取って逃げるように店を出た僕は、でも少なくとも1人は僕を待っている人がいると思った。それがお母さんだとしてもうれしかった。

ケーキを持って帰った僕に、お母さんはけげんそうな顔で「ケーキ食べたかったの?」と聞いた。「いや、プレゼント。クリスマスだから、オフクロに、オレから」僕は照れないように、わざと素っ気なく言った。
お母さんはキョトンとしていた。「プレゼントだって、オフクロだって、オレからって言ったわよね?コージも大人になったわねえ」。妙にはしゃいだ声が後ろから追いかけてきた。僕は自分の部屋に逃げこんだけど、いやな気分じゃなかった。
「お姉ちゃんも呼ぼうか?」
「呼ばなくていいよ。1人で食べろよ」
「だって、プレゼントを分けあったらもっと幸せが大きくなるじゃない」
「量が減るだけだよ」
お母さんがお父さんと姉ちゃんのケータイに電話を掛ける音が聞こえた。
姉ちゃんと子供のユリナちゃんも一緒に食べるにはケーキは小さすぎる。幸せって、あるとすれば、ケーキなら大きいほうがいいんじゃない?小さいのを分ける幸せなんてアリエナイ。


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