凄いですねー もしもし、あなたはだ~れ
これは3年前、家に来たばかりの頃の王様です。
あと半日遅ければ、王様はたった一人でその短い命を終え、
私は彼に会うことが出来ませんでした。
もうボサボサで、臭いもひどかったですよ。
何とかしてあげたくても、触らせてもらえなかった。
一日中、部屋の隅でこんな風に丸くなっていました。
精一杯明るく声をかけても、全てを諦めたような目を向けるだけでした。
私はどうする事も出来ない自分を責めて、責めて。。。
何も出来ない無力感ほど自分を打ちのめすものは無いですね。
私は覚悟を決めました。何も出来ないのなら、
王様が心を開くまで、私の時間の全てを王様に捧げようって。
そういう事が許さる状況だったのは幸せでした。私はただ傍に居ました。
歌を歌ったり、話しかけたり。周りから見たらばかみたいだったかも
一ヶ月程経ったある日、王様が突然私に向かって『ワン』と一声。
驚きました。それまで全く声を出さなかったので、
声帯が除去されてれているのかもしれないと思っていましたから。
どうやらお許しが出たみたい
直ちに作業を開始して、王様はこんな風になりました。
なんだ~君は!
ゲラゲラ笑ってしまいましたが、その日から私は王様の家族にしてもらいました。
それでも王様は全てにおいてスロー慎重で、心を開いてくれるのにどれほど時間のかかった事か!
でも3年経った今、私達は王様と笑ってばかりの毎日を過ごしています。
自分が粉々になってしまう程の経験から立ち直るまでの時間は人それぞれ。
スックと立ち上がって、前を向いて歩き始める人を見て、
取り残された気持ちになってしまうことも有るかもしれません。
それでも誰か、たった一人でもじっと待っていてくれる人がいてくれたなら、
時間がかかっても必ず笑えるようになる。
ただじっと待ってくれる人を必要としている人もいる。
静かに寄り添いながら待つ人になる事も、大切な役目。
私はそう思います。
KOKIA - 【歌う人】 (Utau Hito)