土佐のくじら(幸福うさぎ丸)です。
私の祖父は、先の大戦で中国に赴きました。
しかし、祖父はとても善人でした。
孫の私の目から見ても・・・というだけではありません。
飛び切りの、善人だったのです。
そのような、飛び切りの善人であった祖父が、
巷で言われているような、血に飢えた日本軍であったとは、
私は幼心に、とても信じられませんでした。
戦後の日本人は、戦勝国であるアメリカなどの国々から、
一方的に歴史観や、日本人観を押し付けられています。
「それで、日本が縮こまることによって、世界が平和になるなら・・・。」
という、日本人の美徳である我慢する気持ちが、少なくとも、戦後直後の日本人にはあったと思います。
しかし残念ながら世の中は、そのような日本的美意識の、通用しない時代に入ったのです。
戦国時代の覇者織田信長は、天下布武を唱えました。
天下布武というのは、武力で天下を平らげる・・・という意味です。
これだけ聞くと、物々しい感じがしない訳ではありません。
しかし信長の目的は、天下統一による平和だったのです。
その平和理念の具体化が天下統一であり、その方法論が、武力だったのです。
これが、天下布武の意味です。
「いつまでも、戦国時代などやってられない。」織田信長は、こう考えたのだと思います。
実は戦国時代において、天下統一を旗印に掲げたのは、織田信長が最初です。
武田信玄や上杉謙信など、有名な優れた武将を排出した戦国時代ですが、
以外ではありますけれども、天下統一を理念に掲げた武将は、織田信長以外にいませんでした。
皆、領国経営的な、戦いを続けていたし、
天下統一など不可能だし、誰も望んでいないと思っていたのです。
その天下統一の理念、天下統一によってもたらされる、平和実現の理念こそが天下布武であり、
その天下布武の理念が、形は違えどその後の、豊臣秀吉や徳川家康に受け継がれたのです。
織田信長の天下布武は、原理主義的天下布武と言って良いでしょう。
豊臣秀吉の天下布武は、現実主義的天下布武。
徳川家康の天下布武は、統治主義的天下布武だと私は考えます。
信長型は、失敗すれば、周囲は敵だらけになる欠点がありました。
豊臣秀吉はそれを、今で言う、連立政権のような、現実的手法によって天下統一を果たしましたが、
それは秀吉のような、政治カリスマがいなくなれば、一気に崩壊する欠点がありました。
絶対王者の統治ではないからです。
そして徳川家康の、統治主義的天下布武は、「二度と戦国時代に戻さない。」という、
強い決意のもとに、江戸幕府を運営し、その結果、日本は250年以上に及ぶ、
長期の太平の世の中を体験しました。
ただその250年に及ぶ平和は、当時の日本人一人一人の、
忍耐の積み重ねによってもたらされたものでもありました。
「決して戦国時代に戻さない。」という理念を実現するには、
大名のみならず、一庶民に至るまで、忍耐と我慢が必要だったのです。
しかしその、日本というコップの中の平和は、幕末の黒船によって、一瞬にして瓦解しました。
つまり、「これ以上、一人一人が我慢していれば、国家が占領されてしまう。」ということで、
倒幕そして、明治維新が起こったのです。
今日本は、戦前のあり方を敗戦によって非難され、縮こまって、
江戸時代の庶民のように、「我々さえ耐え忍べば、世界は平和になる。」と、
思い込まされてきたのです。
それで本当に、世界が平和になるならば、その我慢も甲斐があるでしょう。
しかし時は流れ、東アジア情勢は、また緊迫を始めました。
中国の台頭と、アメリカの没落です。
中国の軍事予算は、はるか昔に日本の国防費を越えました。
日本に向け、200発以上の核弾頭を積んだミサイルもあります。
そしてアメリカは、世界の警察への意欲を失いつつあり、
自国経済に没頭したい本音が、だんだんと明らかになってきました。
「日本が、我慢さえすれば平和になる。」という時代は、もうとっくの昔に終わっているのです。
日本が言うべき事を言い、やるべきことをやらなければ、平和は実現できない時代に、
世界はもう、とっくの昔になっているのです。
「日本は軍隊がないから、何も言えない。」ならば、自衛隊を強くすれば良いことです。
「日本は、憲法9条があるから、何もできない。」というならば、
憲法を改正したり、無効化すればよい事です。
国防は、そして国防が成功して実現した結果訪れる平和は、
ひとえに、自国国民の判断によるものです。
他国の問題ではないのです。
中国が横暴だから、平和が危ういのではないのです。
アメリカがだらしないから、日本の平和が危ないのではないのです。
日本は民主主義国家ですから、日本の命運は、日本国民一人一人の見識の問題なのです。
日本が我慢していれば、それで世の中がうまくいく時代は、もうとっくに終わりました。
日本は世界に目を向け、世界の平和に責任を持ち、世界に言うべき事は言い、
そして、やるべきことはやりましょう。
そうでなければ、もう日本の平和が守れないのです。
それを阻むものがあるならば、改革し改善する勇気を持ちましょう。
その歴史の鬨(とき)が、今なのです。
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