UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第四十一話part2

2025-04-02 23:52:34 | 日記
「ごめん……」
 
 ようやく小頭の心は落ち着きを取り戻してきた。色々と吐き出してたわけだけど、やっぱり怒りを発散するのにもエネルギーが必要で……それがずっと続く……なんてことはない。
 物理的に不可能だ。だから冷静になっていって、腕も痛いしできることもなくなると、自然と謝罪の言葉が出てた。それに対して鬼男はただ一言。
 
「いや……」
 
 ――としか言わない。元々が口数が多いタイプではないと小頭だって鬼男のことはわかってるつもりだ。けど……たったそれだけ? とちょっと思う。いや、これも理不尽なのはそのとおりだ。だって鬼男は小頭を助けた立場である。ならばもっと「恩着せがましく」――とは言わないまでも、もっと手柄を誇ってもいい。てかそのくらいしてくれたら、小頭だってもっと適当に「はいはいありがとう」――とかいえる。
 
 けど鬼男は軽薄……とは真逆の所にいる男だ。鬼の男とは皆こんな堅物? というのは失礼かもしれないが、そんなものなのだろうか? と小頭は想ってしまう。そこを男限定にしたのは女の鬼の印象は鬼女に依存してるからだ。彼女はどちらかというと軽薄の部類だろう。やるときはきっちりとやる……タイプであると小頭もわかってるが、普段はとてもギャルっぽい。
 だから結構鬼女と鬼男は真逆だろう。
 
「もう忘れる。だから大丈夫だから」
 
 そう言って小頭は鬼男の腕から離れる。それでも完全に離れることはしない。だってこの濃霧の中ではちょっと離れただけでその姿を見失うかもしれないのだ。そんな中、下手に繋がりを切ることはできない。でも……流石にずっとゼロ距離の位置にいるのは小頭だって気まずかったのだ。
 なにせ色々と悪いことをしてしまったという思いは当然にある。鬼男がいなかったら、小頭は今も夢の中だったろう。そうなると、家族も……そしてこの街だってどうなってしまうか……全てを放棄して逃げようとしてた。その責任を小頭が背負うのもおかしいとか思うけど、でもわかってしまってるんだから、それの解決に動くしかないと思ってる。
 だから言わなきゃいけないことがある。小頭は鬼男と指先だけつながってる。けどなんとかそれだけで思いっきり離れて……でも離れきれないから、背中を見せて、ゴニョゴニョとして……ようやく小頭はこういった。
 
「ありがとう……」
 
 ――ってね。
 

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第四十一話part1

2025-04-02 00:01:15 | 日記
「バカバカバカ! 放してよ!」
 
 小頭は現実に戻ってきてた。そして自分を抱きかかえてる鬼男を認識すると、その目に涙をいっぱい貯めて、思いっきりその胸を叩いていた。鬼男は筋肉の鎧に覆われてる大男である。はっきり言って最初の一発で小頭は気づいてた。
 
(いったー)
 
 ――てね。でもだからってこの恨みをぶつけないわけにはいかなかったのだ。全然ダメージになんかなってないとわかってる。でもそれでもこの悔しい感情を目の前のこの鬼にぶつけないとやってられない。だからだんだんと小頭の手の方が赤くなってしまってるとしても――「なんで! なんで余計な事したのよ!」――と叫んでしまう。そしてそれを鬼男は甘んじて受け止めてるのだ。それがまた小頭には気に入らないというか、なんというかだ。
 だってなにか言えるだろう。鬼男は何も言わないが、小頭はこいつきっとわかってるんだ……と思ってた。小頭があれが夢だとわかってて、それでもあの夢に浸ることを選択したという事を……まさかとは思うが、小頭の選択した先をつぶしたから、鬼男は何も言わず、ただ小頭の癇癪を受け止めているのかもしれない。
 
(悪いとか思ってる訳? 悪いのは私でしょうが!!)
 
 ひときわ強く、小頭の鬼男の胸板を叩いた。それでしびれてくるのは自分の腕の方だ。そしてそのまま泣きながら小頭は額を鬼男の胸に預けた。
 
(わかってる。私が弱かったんだ。力がないとかじゃない。私の心が弱った。夢は夢でしかないのに……)
 
 小頭は自分のその弱さを自覚してた。夢に流されてしまった。あまりにも心地よくて、そして本当に好きだったからだ。夢でも……いや夢だからこそ、望みが叶ってた。その夢を受け入れて、現実を放棄してしまった。そんな自分自身が一番悪いんだって、小頭はわかってる。だから鬼男のやったことは正しいとわかってるし、ありがたいとも実は思ってる。でも……だからって恋心を割り切れるか? と言ったらまた別なのだ。小頭はそこまで恋に憧れを抱いてたわけじゃない。
 同年代の女子に比べたら随分と現実的だったろう。でも、小頭はアランのせいで……と言っていいのかわからないが、本当の「恋」を知ってしまったんだ。そして最高の結末といっていいのか、結婚まで行ってしまった。
 夢にまで見た恋愛のゴールとも言える結婚。そこまで行ったからからこそ、まさに本当に彼との絆が永遠となったからこそ……それらがすべて『夢』だったと言うんだから、涙はとめどなく流れ出てきて止まることはなかった。
 なかったものが手に入ってしまったから……それがこぼれ落ちていく虚しさや悲しさが小頭の涙を溢れさせている。
 

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 211

2025-04-01 23:55:22 | 日記
 空獣……どこからやってきたのか、どうやって発生したのかも……それにいつから存在してるのかもわからない化け物。色々と考察はある。G-01には空獣の研究の跡が残されてる。
でも結論はない。けどわかってる事はある。一つ、空獣はとても強い。とてもとても強い。簡単に世界を壊す事ができるほどの強さだ。空獣に狙われて無事だった世界は……ない。
 いや、よく考えたらあった。一つだけ……そう、それは勇者と魔王の世界だ。あの世界は、あの後空獣が戻ってきてないのではあればあの勇者と魔王の世界は無事なはず。
 あまりその影響とか考えてなかったが、これは世界的にはものすごいことだったのかも? 新たな可能性を開いたといってもいい。実際なんであんな事ができたのか……それこそ魂やら命やら……すべてを賭けたからかもしれない。
 でも実際あの頃のG-01の性能プラス私の全てをベッドしたとしても、空獣に通じるか? と今なら思う。本当に奇跡が起こったとしか思えない。それかもう空獣の気分? それくらいしか考えられないよ。
 
 そんな空獣が全ての運命を蹂躙する……はっきり言ってそれはこの今まさに生まれようとしてるメタリファーだけじゃないと思う。いろんな世界……その全ての命に言えることなのかもしれない。
 実際どれくらい世界が有るのかなんて全く持ってわからない。G-01の中にあるデータにも膨大な数……としかないからね。きっと全ての世界を把握する……なんてのは不可能なんだろう。
 
 でも空獣ならば、その全ての世界を喰らい尽くしてもおかしくない。だからきっと運命がそこで終わりを告げるんだろう。
 
 聞こえてくるその言葉を理解する事はできないが……でも、彼の研究の成果、そして命として生まれようとしてるメタリファーには心なるものが生かけてるのかもしれない。言葉を理解できなくても、伝わるものはある。
 
 全てが空獣に収束していく運命……そしてどこか悲しみと憤り……さらに言えば訴えかけてくるようなその勢い? それだけあれば私だって気づくよ。
 
 そう……メタリファーはきっと……
 
「君は空獣が許せないの?」
 
 そう感じた。世界を壊して……壊して……壊し尽くす空獣という害獣。メタリファーは時空間で過去も未来も全てを見てきたのかもしれない。それで許せなくなった? それともやっぱり世界が時空間には必要とか? そこら辺わからない……でもきっとメタリファーが空獣をどうにかしたいと想ってるのは本当で……そして本気なんだろう。
 だからこうやって生まれようとしてる。でも問題はある。それはどの運命も空獣に勝ててないということだ。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第四十話part8

2025-03-31 18:59:45 | 日記
 結婚式はそれぞれ親族やら友人、会社の人達……そんなくくりで席が決まってたりするものだと思う。だからどこら辺が騒ぎの中心なのか、主催である小頭はすぐに気づいた。実際それまでの準備の記憶なんてのは勿論だけどない。
 けどなぜか小頭にはそこが親族席なのはわかった。白い煙が立ち込めて、ざわざわとしてる会場。そんな中、拡散してく白い煙の中から現れたのはその角を長く輝かせてる鬼……鬼男だった。
 そしてそれを見定めた瞬間から小頭はわかった。
 
(ああ、助けに来てくれたんだ)
 
 屈強なその姿。素晴らしい筋肉美をしてると小頭は思う。でも、それはこの結婚式には似つかわしくない。当然だろう。だって彼は上半身裸だし。上半身裸で結婚式に参加する奴はいないだろう。皆さんきっちりとした服装をして参加するのが礼儀というもの。
 でもそんなマナーなんてしらないとばかりに鬼男は上半身裸だ。実際、鬼男はそんなマナー知らない可能性あるしね。なにせこの世界とは鬼男は関係ないわけで……小頭は彼の視線に射貫かれて拳を握った。
 
 周囲の皆さんは鬼男をまだ足軽だと認識してるのか、そういう風に声をかけてる。でも、鬼男はそれに聞く耳を持たない。ただ輝く角を見せつけて更に小頭を見てる。それだけで小頭の手は汗ばんでしまう。
 
 すると背中越しに彼が……アランが言ってくれる。
 
「大丈夫だ。お兄さんにも認めてもらうさ」
 
 実際本当にあれが野々野足軽なら、アランの方が体格もいいし、強そうではある。でも……あれは足軽ではなく鬼男なのだ。アランも外国人なだけあって体格良い。でも鬼男にはかなわない。
 そもそもが鬼と、人……
 
「帰るぞ」
 
 そう静かに言う鬼男。ざわざわしてる会場なのに、やけにその声はよく通った。行かなきゃいけない……それは小頭にもわかってる。だってこれは……現実じゃない。いうなれば夢だと小頭もわかってるんだ。でも……
 
「邪魔しないで。ここでなら、私は好きな人と一緒に成れるの!」
 
 そういった。鬼男は小頭の前に立つアランを見る。そして察したんだろう。一度目を伏せる。でも……彼は目を開けて左腕を横に振るった。するとバキイイイイン――とどこにもぶつかってないのにそんな音がして、空間が割れた。
 
 それで鬼男が何をしようとしてるのか小頭にはわかった。彼はこの夢を壊そうしてる。
 
「やめて……壊さないで……」
 
 でも鬼男の角は更に強く輝きバチバチと周囲に鳴ってる。そして今度は右腕で空間を……
 
「やめてええええええええええええええええ!!」
 
 その小頭の絶叫は空しくそこに響いてた。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 210

2025-03-31 18:54:59 | 日記
 何かがみえる……私の頭に叩きつけられるように。それは……喝采の中で祝福される姿、大海原でなぜか眼帯しつつ沢山の船を率いてる姿、未知の領域、そんな場所を踏破する姿、まるでゴミムシのように、自分の最後を哀れに思う姿……強大な何かに立ち向かう姿、もっと別のなにか……もっと別の私……別の世界の……私がみえる。
 
 きっとこれがあったかもしれない運命なのかもしれない。どこかにはあるのかもしれない。でも、分離する運命には限りがあって、存在できる平衡世界には限度がある。だからあったかもしれないが、今ここに私が存在してる限り、そんな未来はない。運命はない。
 
 大体見える運命は、かなりきつそうなものばかりだった。もっと苦しくて、そして辛いものもいっぱいだ。きっと運命は……メタリファーが新たに生まれとしたら、こんな劇的な運命がふさわしいと思ってるんだろう。
 
 それだけの格がきっとあるから。そこには栄光とかももちろんある。もしも運命を選べるのなら、この中にある悲惨な死……その運命は御免こうむりたいと思うけどね。なんのつもりでこの死の運命たちはやってきてるの? なんの意味があるの? それを知りたいところだ。だってわざわざそれを選ぶとか……ないじゃん? どうせなら幸福……それが欲しいと思うのはどんな命も一緒の筈。
 
「あぐっ……はぁはぁ……」
 
 ジャブジャブ……と水が揺れる。いつもは足位しか使ってないが、今はあばら位までつかってた。目もなんか霞む。見えてるのはいつものコクピット内の光景? それとも……運命の見せる……結末? 
 
「ぅぅぅぅきゃあああ!?」
 
 思わず体が後ろに向かって沿った。私の細く、華奢な体がくの字に反った。そしその態勢のまま、私は手の甲を額につけてパチパチと瞬きを来る返す。その度に私の視界に映る物……それはある一定の運命から同じになった。それは何か……それは……
 
「メタリファー……貴方まさか……」
 
 体がのけぞる程の運命……そして同じ結末にたどり着く運命……それらには全て『空獣』が関係してる。運命が見せる結末、それらには全て空獣が関係してて、それらはどんな運命にも食い込んできてる? 最初に見た栄光の光景……様様な運命……それらが全て……今や空獣による最後……で埋め尽くされていくような……
 
 それはもう、逃れられない事実であるかのような……そんな事になってる。運命は絶対じゃない。それはそのはずなんだけど……空獣は世界を食らってる。なら空獣をどうにかしない限り、どんな運命も奴に台無しにされる……という事じゃないのかな?