迫ってくる白い軍団。それは進化を重ねた砂獣の軍勢。それらが砂埃を上げながら迫ってきてた。再びそれだけの軍勢を見て、さっきまでオロオロとしてた教会の奴らは――
『まだまだだ!!』
『そうだ、波に終わりなど無い!!』
『貴様たちが絶望をして死にゆくその時までな!!』
――とかいってる。けど……私の流したコードは確実に世界に走った。迫りくる砂獣の群れにこちら側の人達は再びその剣を構えたり、覚悟を決めたり……そんな風にしてる。でも砂獣共が彼らのもとまで辿り着く事はなかった。どういうことなのか……それは砂獣が走りながらその身を崩していったからだ。まるで砂のように、その体はサラサラときえていった。それには流石にこちらの皆も「は?」となってた。
けどそれ以上にぽかんとしてたのは教会の奴らだ。
「なん……だと?」
「なんだこれは……」
それはまさに絶句……そういう言葉がふさわしい。
「くそっ! こんな訳があるか! 世界よ! 我らが神よ! ここに波を! 世界の粛清をお導きください!!」
そんな事をいって教会の奴らは何かを撒いてる? それをドローンの映像を拡大してみてみる。鉱石……いや宝石か。たぶん何やら術式を刻んだものを奴らは撒いてるんだろう。そしてそれによって儀式を遂行して波を発生させる……それが教会がやってる『波』の発生手順なんではないだろうか? まあ邪魔してもいいが……既にあんな事をしてもいみなんてなものはない。
奴らは何も起きないことに声を荒げる。
「なぜだ!!」
「なぜですか!! なぜ応えてくれないのです!!」
「こんな事は一度も……」
それはそうだろうね。なにせ私が……彼らの命令系統を遮断してるのだ。世界に奴らの声は届かない。
「よくできる様になってるじゃないですか」
そんな事をG-01の肩に乗ったまま言ってくるアイ。それはそうでしょ。私だって努力ってやつをやってるのよ。こんな魔法後進世界の奴らに負けるわけにはいかない。教会はこの世界の魔法技術をそうどってて、それによって敵はいないとか思ってたと思う。けどそれではやっぱり発展は遅いのだ。私……というかG-01の技術よりも……ましてやこの世界の魔法レベルは勇者や魔王がいた世界よりももっともっと遅れてる。
ただその大系がそもそもが違うから勇者や魔王には解析は出来なかっただけだ。威力やら技術では圧倒的に魔王や勇者の方が上だった。それに他の世界の魔法がわからないってのは普通のことらしい。なにせ最初は知識がないんだからそうなる。そもそもが力の根源も違うしね。
けどG-01にはそもそもがたくさんの世界の魔法体系が予め情報としてあった。だからこそ、それらを使ってこの世界の魔法の仕組みだって解析することができるのだ。これは結局情報であり、経験とかだろう。
勇者だってもっとたくさんの世界を行き来することで、きっとある程度はその世界の魔法を解析とかできる様になると思う。
「さて、これで波は終わったし……次は……」
私は空の門を見上げる。