UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十九話part3

2024-12-31 23:52:26 | 日記
「えっと……幾代ちゃんが実はおばあちゃんだった。というとこはこれまで私たちが遊んでた相手はおばあちゃん? 昨夜、お兄ちゃんと密会してた幾代ちゃんもおばあちゃん? 青春やってたのは幾代ちゃんだけどあれもおばあちゃんなんだよね? じゃなんで……」
 
 二人が密会してた。夜の密会だ。それも年頃の……実際互いが年頃ではなく片方だけが年頃だったわけだ。それを踏まえて、小頭は口を開いた。
 
「お兄ちゃんは知ってた……の?」
 
 幾代ちゃんがおばあちゃんだったこと……もしかしてお兄ちゃんは知ってたんじゃないだろうか? と小頭は考えた。だってもしも昨夜の密会が恋の話、ではなかったのなら、後は何がある? と考えたとき、今この状況がヒントになると小頭は思う。つまりはおばあちゃんの告白は同じことをやったのではないか? ということである。
 
「昨夜、私が言ったわ」
「やっぱり……ん? でも、どうして同時に教えてくれなかったの?」
 
 別に先とか後とか、ないとは思う。どっちが優先とかそういうのじゃないだろうと、小頭は思おうとしてる。けど、どこか胸にもやもやしたものがあるのも事実だ。だってこの夏、この田舎で何回も一緒に遊んだ仲だ。おばあちゃんとわかって実際混乱してるが、三人で一組みたいなそんな思いがあったのは紛れもない事実なんだ。小頭にとって。けどそれなのに、おばあちゃんは……幾代は先に密会してまで兄である野々野足軽に真実を伝えてた。
 それは一体どういう了見だと……そんな思いが湧き上がってこないわけない。
 
「ごめんね小頭ちゃん。あれはそう……仕方なかったの。まさか足軽が超能力者だなんておもわなくて……」
「えぇ!?」
 
 びっくりのワードがおばあちゃんの口から出てきた。確かに鬼たちがいってたが、まだそれを小頭は自身の中で確定の事実……としてはなかった。鬼男だっておそらくそうだろう……という感じだったし、どっちかのせいであの地獄の門が開いたのなら、足軽のせいじゃなく、幾代の線も残ってたからだ。そして一つ屋根の下で暮らしてた小頭的にはおそらく幾代が超能力者だろうと思ってた。けど、幾代はおばあちゃんで確かにおばあちゃんも超能力者だったけど、同時にそのおばあちゃんから兄である野々野足軽が超能力者だった――と言われてしまった。これは……もう、そういう事なんだろうと思うしかない。
 自身の腹に収めるしかない。なにせおばあちゃんが小頭に嘘を付く理由なんて別にないからだ。ここで足軽が超能力者たった……という嘘でどうなるのか? 自身の罪を軽くする?
 
(いやいや……それなら私の前で変身なんてしないよ)
 
 力を見せる必要がない。だからそれはない。ならば、嘘じゃない。それに小頭はおばあちゃんが大好きだ。大好きなおばあちゃんが孫である小頭に嘘を付く……なんて思いたくなんてない。でもどっちにしてもかなり大きな事実が小頭にはぶつかってくることになる。
 小頭は今までの情報でかなりいっぱいいっぱいになってた。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 146

2024-12-31 23:43:51 | 日記
 バリィィィィィィン――
 
 そんな風な派手な音が……いや実際はそんな大きな音ではなかったのかもしれない。だって何かが破壊される音がそんなに大きく響くか? というとね。それが静寂の中で起きた事なら、確かに盛大に響くだろう。
 けどここはそうじゃない。工場だ。そして戦いが繰り広げられてる。だからそんなにこれは大きく響いてはないだろう。でも……自分の、自分自身の中ではそれはとても大きな衝撃として響いてた。
 なにが起きたのか……それは端的に言うと聖剣の破壊……自身の一部と化してる聖剣が腕の一撃で破壊されてしまった。聖剣がこれまで一度も破壊されたことがなかったか? と言われたらそんなことはない。
 なにせ酷使続けてきた聖剣だ。限界が迎えたのは一度や二度やじゃない。でも……今回のこれは……
 
「くっ」
 
 自分は聖剣を一瞬で消した。今や聖剣と自分は一心同体。生身の時は聖剣には対応した鞘があった。けど今やその役目は自分自身に統合されてる。
 だから聖剣を自身の中に戻すことができる。そしてもう一回出したら……
 
「なっ!?」
 
 一回戻したのに聖剣は元にはもどってなかった。まだ壊れたままだ。そんな気は実はしてた。きっとこの腕も聖剣を分析してわかってたんだろう。
 
(今の一撃……聖剣を破壊した一撃には何か種があった)
 
 そう思うしかない。自身と聖剣のつながり……それが壊されたような感覚があった。今までははっきりではないにせよ、自分と聖剣には確かな繋がりがあって、そしてそれは確かに感じれた。はっきりはしてなかった。でもそこに疑いなんてなかった。
 だって確信があったからだ。でも今は……今は何も感じれない。それが聖剣が治らない理由かもしれない。
 
(でも、自分の中には戻ったんだ……完全に繋がりが切れたわけじゃない)
 
 そこに何か突破口があるかもしれない。
 
「くっ!」
 
 向けられる拳を何とか避ける。聖剣を壊した拳だ。ガードするだけでもやばいだろう。それにこれには外部の損傷だけじゃない、もっと別の何かを壊す作用もあるようだ。衝撃を内部に伝える――なんてだけの種じゃない。ならば受ける訳にはいかない。でも聖剣がない今どうするか……それは――
 
「はああああああああああ!!」
 
 自分は拳を握りしめて腕に向ける。剣が壊れたからって逃げる選択肢はない。ならば……この身一つでも対抗するしかない。大丈夫、この体は生身じゃない。生身よりももっと頑丈で、そしてもっと強力なんだ!!

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十九話part2

2024-12-30 18:32:23 | 日記
「ご、ごめん。ごめんなさい……」
 
 うっうっ……と幾代の目から涙がこぼれる。本題に海のおっさんのおかげで入ってくれた。小頭はそっと海から視線を外す。なにせせっかくキレイな海なのに、でっかいハゲ散らかしたおっさんなんてみたくない。それに海の反射よりもおっさんの頭の反射のほうが……いやこれ以上はいうまい。
 日焼け美少女の涙のほうが美しい。きっと全世界がそう思うだろう。
 
「何が、あったの? 何が起きてるか……わかってるんだよね?」
 
 その言葉に幾代はコクリと頷く。小頭がどうしてここに来たかちゃんとわかってるんだろう。どこまで影響されてるのか、小頭はよくわかってないが、少なくともこの周囲はおかしくなってる。
 小頭はそう感じてる。スマホを見ても、別に世界自体はおかしくなってるわけじゃない。色んな所で新たな覚醒者が出てたり、変な化け物の話題があったりするが……それにネットのニュースもなんかいつもよりも聞き慣れない言葉が多いが……ネットだしこんなものか……くらいの感覚だ。
 
「何があったかよね。でもその前に……小頭に私の事を伝えるわ」
 
 涙を拭って、幾代はそういって小頭を見据える。
 
「幾代ちゃんのこと?」
 
 一体なんだろう? と小頭は思う。今更告白すること……そこでハッとする。きっと兄のことだ。兄に恋してしまった……という告白だろう。妹の小頭には関係ないが、幾代的には妹にも認めてもらいたいのかもしれない。
 
 「私は……実は……」
 
 そう言って幾代は徐ろに手を合わせて握り込む。そして祈るようにすると、その体が光りだした。
 
「えっ? え?」
 
 いきなり光りだす体。それを見たら小頭はもしかして幾代ちゃんって超能力者? と察した。でもここでそれを披露する意味とは? と考える。少し大きくなったような身長、そして次第に光が収まっていく。伏せてた顔を上げると……そこには……
 
「おばあちゃん?」
 
 そう、そこには小頭のおばあちゃんの姿があった。あまりにも信じられなくて、小頭は目を揉んで、ゴシゴシして何回もみる。けど、眼の前にいるのは間違いなくおばあちゃんだった。
 
「えっ? え? どういうことなの? おばあちゃんがお兄ちゃんを好きなの?」
「え? ええ、あなた達の事、好きよ。勿論ね」
 
 なんか違う、けど違わない返答が返ってきたことで更に小頭は混乱した。
 

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 145

2024-12-30 18:26:51 | 日記
 ぶつかり合った光。それが一気に膨張していく。わかりやすく言うとアイ殿の光は青が混じってる光で機械の腕の方は赤が混じった暖色系だろう。
 膨らんであわや大爆発……と思ったがそうはならなかった。
 
「つっ!?」
 
 細く鋭い、そんな光線がアイ殿の腹部を貫いたのだ。
 
「アイ殿!!」
「知ってるでしょ、こんなの私には意味なんてない。止まるな!!」
 
 アイ殿はそういってくる。彼女らしい。自分が動いてたこともきっと察してたんだろう。自分はこの間に腕の背後に回ってた。目玉たちの目があるから、この行動もバレてるかもしれないが……それでもやらない理由にはない。
 背後に回ってたから、今の細い攻撃がアイ殿を貫いたのも見えたのだ。実際、なんの影響もない……なんてことはないだろう。確かにアイ殿の体は自分と同じで、機械だ。機械に見えないが、機械なんだ。
 自分よりも更に柔らかく、しっとりしてて、艶やかな肌をしてるが、機械なんだ。その全身がだ。だから自分たちはずっと生身の人達よりも頑丈だ。
 だから大丈夫……と過信するのは危険だ。でもここは信じるしかない。なにせ助けに行くことだけが、救うことじゃない。自分が攻撃することで、救うことだってできるんだ!
 
 聖剣を振り下ろす自分。けど空いてる腕がその聖剣をはじく。しかも……それが拳じゃない。なんと人差し指と中指の二本を伸ばして応対された。
 その後もいくら切り結んでも腕はその二本の指で対応してくる。
 
カチカチカチカチ――
 
 どこからかそんな音が聞こえてる。なにか気になるが、腕から視線は外さない。どんな些細な変化でも見逃さずに、チャンスを狙う。その時だ。
 
「ごふっ……」
 
 腹に伝わる衝撃。一体何が? 腹に視線を向けると、一つの指が拳から分離して腹にめり込んでた。一体いつの間に……でもこの為に二本の指で対応してたんだろう。
 やってくれる。確かにダメージは受けたが、この程度なら問題ない。でも砲撃勝負を制した腕は、ガシャンガシャンとその腕全体の側面が開いて白い蒸気を噴き出す。きっと籠った熱を逃がしてるんだろう。
 アイ殿の銃も時々ああやって放熱してる。でもその時、何かが飛び出して、更にガシャンとやる。そしてそれはこっちに応対してる腕もそうだっだ。肘に近い部分が開き、ガシャコン――と何かが装填された? 
 その瞬間、隙間から光が走り、腕の出力が一気に上がった?
自分は不味いと思って防御に移行す――

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十九話Part1

2024-12-29 18:47:57 | 日記
 ザザーザザー
 
 そんな波の音が聞こえる。何かの遺跡なのか……城跡なのか……そんな観光地的な遊歩道……それは海に面してて、その人気のない道で彼女は海を見つめてた。
 いつもは元気いっぱいな感じの彼女のアンニョイな姿。それは普段を知ってる人からしたらそのギャップでドキッと落ちそうな……そんなギャップがあった。
 少なくとも小頭にはそう見えた。
 
「二人はここにいてね。余計な事しないでよね」
 
 そんな事を小頭は鬼二人に告げる。鬼ともすっかり打ち解けたみたいだ。二人はそんな小頭の言葉に素直に従ってくれた。もしかしたらもう育代はわかってるのかもしれない。
 なにせ扉を開いたのは足軽と育代みたいだからだ。でも流石にいきなり鬼を二人も引き連れていくのはどうか? と小頭は思ったんだ。自身は既にこの状況に馴れたが、育代がどうかはわからない。だからまずは一人で話を聞こうと思った。
 
「育代ちゃん」
「小頭……ちゃん」
 
 育代が気づいて小頭の方をみる。今日もシンプルな服を着てる。腰の所で一回絞った感じのワンピースだ。暑いし、楽だからという理由でこういう服が好きだと育代は言ってた。
 
「えっと……あの……」
 
 なんと切り出せばいのか……小頭は迷った。だっていきなり「あの門はなに?」とか「お兄ちゃんと何があったの?」というのは直球すぎるのではないだろうか? と思ったんだ。けど回りくどく行くとしてどうする? 天気の話でもするのか? という思いもある。ふと見る海。そこには太陽が反射してキラキラとしてる海がある。
 すべてを包み込む海。命の母ともいえるその場所。普段はこんなに海が近くにない場所に住んでる小頭だ。ごく自然に「海」と出て来た。
 育代はいつだって見てるのか別に何かいってくることはない。けど二人して海を眺める。潮風が二人の頬をなでる。
 
「綺麗だ――」
 
 ――ね、と続けようとしたけど、小頭の言葉は最後まで続くことはなかった。なぜか? それは海から何かが顔を出してこっちをみてたからだ。かなりデカい、島みたいな感じのやつ。禿げ散らかしたオッサンみたいなそんな奴が海から顔の半分を出してみてた。
 あれがいるのに、綺麗だね……なんていえなかった。
 
「ああああぁぁぁあれ!? みた?」
「うん。ごめんなさい。私のせいだ……」
 
 そんな風に瞼を伏せる育代。あの海坊主のようなおっさんはキモ過ぎたし、あれが海にいると今後一切海に近寄りたくなくなった小頭だが、話のきっかけになってくれたのだけは感謝した。