UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五話Part4

2024-07-31 23:54:44 | 日記
「それで超能力ってどんな?」
 
 心配そうな、けどちょっとワクワクしてるような、そんな声色だった。平賀式部は横一列にカラオケのシートのに座る。野々野足軽達は、別に歌うつもりはないが、とりあえず落ち着いた曲を流す。
 
「えっと引かない?」
「まだそんな事言うんだ」
 
 ちょっとふてくされたような顔をする平賀式部。それに慌てる野々野足軽はどれを見せるか考えてなかったから、一番オーソドックスな力を披露した。それは……
 
「わあ!」
 
 ――そんな驚きの声が平賀式部から出た。さっきのふてくされたような顔はどこへやら、それを見て興味津々にしてる。
 
「これって、マジックじゃないよね?」
「そう思うのならほら」
 
 そういって野々野足軽は更にたくさんの物を浮かした。それこそ十インチのカラオケで楽曲を選ぶためのタブレットなんておもそうなものから、歌うときに持つマイクも机にあるだけじゃなく、予備のマイクまでヒョイッとういて、近くまでくる。
 さらにはそれを踊るように動かす野々野足軽。野々野足軽がとっさに見せたのはサイコキネシス。超能力で一番代表的な物体を引き寄せたりする力だ。
 
 きっと超能力と言われれば、誰もが「あの物を動かすやつ?」とかいってしまうくらいには代表的な力だろう。だからこそ、平賀式部も疑うことはない。マジックとも一瞬思ったが、マジックだと、宙に浮いたマイクを平賀式部が引き寄せようとしても、それにマイク自身が抵抗なんて出来ないだろう。
 
 けど今、それをしてる平賀式部に野々野足軽は超能力で抵抗して見せてた。マイクを引き寄せようとしてるのに、逆の力が働いてるように、マイクが抵抗してる。
 そして他の浮いてるものもマジックでは不可能な複雑な動きをしてるんだ。これで疑うなんて出来ない。
 
「本当、なんだね」
「ああ」
「でも、すごい。こんなに操ってるなんて……夏休みに入ってからなんだよね?」
 
 ギクッとその平賀式部の言葉に思う野々野足軽。確かに世間では暴走してる力の印象が強い。だからいきなりこんなに使いこなしてることがすごいと平賀式部は素直に感心してた。
 
「まあ……ね。いっぱい練習できたし。それにほら、こんな力、ハズレ能力だろ?」
 
 とりあえずそんな風にいってごまかすことにした野々野足軽である。実際、暴走してる能力はなんか派手なのが多い。それに比べて野々野足軽のみせたサイコキネシスはただ物を動かすというだけ。
 だからこそ、この短期間でもこのくらいならできるようになった……と納得感を野々野足軽は与えたかったんだ。
 
「うーん、私には力のあたりハズレはわかんないですけど……でも、他にも体調の変化はないんだよね?」
「それは……大丈夫」
「そっか、それなら良かった」
 
 そういって笑う平賀式部を見て、野々野足軽の心にズキン――と鋭い痛みが走った。嘘を一つ解消したはずなのに、「なんで?」と野々野足軽は思う。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 35

2024-07-31 05:53:00 | 日記
「ここもなかなかいいかもね。かなり進んでそうだし……世界を渡る方法はまだわかんないけど……もう少しマニュアルを読み込めばそこら辺にまで辿り着けそうな気がするんだよね」
 
 私は色々とここの船のデータを得つつ、世界の広さを知る。まあ大体ここに連れてこられた人々は不幸とともにその人生を終えてるわけだけど、そういう事に目を瞑れば、私にはとても有意義だ。
 まあそれも私が脳を拡張して得られるデータの内容を知れるって事が大きい。きっと最初の頃なら、私はそれを読むことも出来なかっただろう。だってここに集まってる船は元は、すべて別の世界製である。つまりはそこに書いてある文字からなにやら違うんだ。
 
 当然だろう。その世界の中ででも文字とか文化とかきっと様々あるものだと思う。それが世界ごと違うんだから、文字くらいは全く違うだろう。なんとはなしに、私は様々な船のデータを得て、状況をしれてるが……それが出来てるのも私くらいだ。
 一緒にこうやって動いてる勇者とかミレナパウスさん、アイだって得た内容まではわかってない。だってそれを理解することができないんだから。私も私だけじゃ無理だった。
 けどG-01の技術があれば、すべてを変換してくれる。私に理解できるようにね。
 
 様々な同じような技術はある。重なり合ってる。けど、世界が違えば確立の仕方が違うし、アプローチの仕方も違う。それらは私のような凡庸なやつにはきっと思いつかないことだと思う。
 
 ここに残ってる船には様々な世界の天才たちが残した技術があるのだ。実際G-01を作った人達が一番進んだ技術を持ってたんだろう。けど、その一つだけが正解なのかと言われると……きっとそうじゃない。
 たどり着く方法はきっとたくさんある。私がそこまで行ける……なんてのは思えない。そもそも私は作り出す側ではないし。でもその知識さえあれば、どこかで役立つ場面はあるかもしれない。それにそれを有効活用できるのは私ではなく、G-01のほうかもしれない。
 だからこの様々な世界の船に残る技術というのは有意義だと思ってる。これを私に渡すためにメタリファーはここに連れてきた? いや、流石にね。そんな訳はないと思う。私の事なんかメタリファーは知らないだろうし。
 
「終わったわよ」
「ああ、了解』
 
 アイからの通信。私はそれに反応してみんなの状態を確認する。なんか上の方に行くに連れて、目玉たちが凶暴になってきてる。まるで私達をこれ以上上に行かせたくないかのように……ね。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五話Part3

2024-07-30 23:56:51 | 日記
「えっと、ここではまずいから、きて」
 
 いきなり平賀式部はそんなふうに言って立ち上がった。いきなりのその行動に戸惑う野々野足軽。もしかしたらすでに関係を切ろうとしてる? とか考えが飛躍してまう。
 だって世間の評価的には、力に目覚めた人達に対しては二分してる。それは恐怖を抱く人達と、羨望を抱く人達だ。
 
 恐怖は、得体がしれないからだ。今やニュースでは一日に1件は必ず新たな超能力に目覚めた事件が起きる。それは暴走であったり、力を使った犯罪であったりだ。
 やっぱり超能力という力をもったら、人は気が大きくなる……みたいだ。善良な人なら、そんなことをするのはまずいとわかるが、力は人の善良さを選んで発現してはいない。
 だからこそ、悪い人にも発現してる。そんなやつが力を手に入れたら何に使うか……なんてのは想像に固くない。だからこそ、もしかしたら平賀式部も超能力に嫌な印象をもってるのかも……とか思った。
 
「ほら、早く足軽くん」
 
 手を取ってくれる平賀式部。その行為だけで、さっきまでの不安よりも、触れられた手に意識が持っていかれた野々野足軽である。男なんてそんなものだろう。そしてそのまま店を出て、暑い外へとでた。
 
 店を出た瞬間に感じるモワッとした熱気。それにいつもは平賀式部は外に出るとすぐに日傘を使ってた。けど今はそれも忘れてるのか足早にすすむ。そして近くのカラオケ店へとはいった。更にすぐに部屋を選んで、料金の支払いも済ませてしまった。
 男として「ここは俺が払うよ」――とかいう隙間なんてなかった野々野足軽。そして個室に二人で入って平賀式部は「ここなら大丈夫」といった。
 
「足軽くんも気をつけないと、今はそのワードは危険なんだからね」
「俺……危険だよな」
「ちがっ!? そうじゃなくて! 私が言ってるのは、超能力自体にいい印象を持ってる人ばかりじゃないってこと」
 
 そんな風に言葉を重ねてくれる平賀式部。わかってるつもりの野々野足軽だったけど安直だったかもしれない。だから平賀式部はあんな所で彼自身が「超能力が発言した」なんていったから慌てたんだろう。
 
「すぐに警察に通報されたっておかしくないんだからね」
「うん……それで式部さんは……その……俺の事……もうイヤになったとかは?」
 
 モゴモゴとそんな風にいう野々野足軽。するといきなり平賀式部は野々野足軽に抱きついてきた。少し背伸びして、首に腕を回す。野々野足軽には平賀式部の匂いが香ってくる。
 そして耳元で優しくこう言ってくれた。
 
「そんな事、あるわけない。力があるとかないとか、関係ないよ。それとも超能力者になった足軽くんは今までの足軽くんと違うの?」
「そんなこと……ない」
「うん、なら大丈夫」
 
 そんな風に言ってくれる平賀式部。けどその横で野々野足軽はこうおもってた。
 
(だって、君と付き合う事になったときから俺は力を持ってた。つまりは変わりようなんてないんだから)
 
 

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五話Part2

2024-07-29 19:22:00 | 日記
 パン――と平賀式部は机を軽くたたいた。それは激しくもなく、けど目の前の野々野足軽にはよくとおる音だった。一瞬キョトンとした野々野足軽。そして目の前の平賀式部をやっと認識したようにハッとした。
 
「えっと……俺……」
 
 ばつが悪そうな野々野足軽。きっと野々野足軽もこんな状態でデートをするのは失礼だと思ってるんだろう。実際平賀式部はニコニコとしてるが、その笑顔を見て野々野足軽はきれいとかかわいいとかよりも、今は恐怖が勝ってた。実際周囲の人間はその平賀式部の顔に見惚れてたりする。
 でも対面してる野々野足軽は違った。その本心が見える。笑顔の圧がのしかかってた。
 
「ご、ごめ――」
「別に、私は謝ってほしいわけじゃないんです。疲れてるんですか?」
 
 野々野足軽の言葉を遮って自分の言いたいことをいう平賀式部。彼女はまっすぐに野々野足軽を見てる。言葉ではなく、首を縦に振ることで肯定した。
 
「今って夏休みだし、足軽君は別に部活にも入ってないですよね? ならどうして? まさか、ゲームとかしてたとかですか?」
 
 ブンブンブン!! ――と野々野足軽は激しく首をふった。流石にそんな事で寝不足だから平賀式部とのデートに真剣になれてません……とかだっだら、振られても文句言えない。
 だから流石にそれは違うというように野々野足軽は全力で首をふった。
 
「それじゃあどうして?」
 
 平賀式部のその顔は真剣だった。それにさっきまでの怒りというよりも、「心配」というのが強く出てるのがわかる。
 
「私はまだ足軽君の全部を知ってるなんていえない。けど、適当に付き合うような人じゃないと思ってる。違う?」
 
 平賀式部の言葉が野々野足軽に染みる。大切に思ってくれてると、感じることが出来る。
 
「足軽君にとってはきっと大切なことがあったんだよね。それは私にはいってくれないの? 私はそんなに心が狭い彼女に見えるのかな? 足軽君を縛りたい訳じゃないんだよ?」
 
 ぐっ……と心に何かが刺さったかのような痛みが野々野足軽を襲う。実際何も刺さってなんてないが、けどこの痛みは本物だと思った。もう伝えてもいいんじゃないか? とか思ってきた。
 このおかしな力に巻き込みたくなかった野々野足軽だが、世界は愉快な方向に向かってしまってる。いってしまえば、突如平賀式部にも『力』が発現したっておかしくないんだ。
 
 そして今や、一日に何件もそんな報告が上がってる。
 
(流石に、全ての元凶が俺自身……なんてのは言えないけど……)
 
 少しなら……いいんじゃないか? と思えてきた野々野足軽だ。けどここにもしもアースがいたら、その野々野足軽の思いに対してこういっただろう。
 
『それって、ただの言い訳ですよね? 大きな嘘をつき続けてるのが心苦しいから、僅かでも話して、自分が少しでも楽になりたいだけでは?』
 
 ――とね。けど今ここにアースはいない。だから自分で考えて、野々野足軽を真剣に想ってくれてる平賀式部の為に……と野々野足軽はこういった。
 
「実は、少し前に『超能力』に目覚めたんだ」
「え?」
 
 野々野足軽はちょっとだけ心が軽くなって、そして平賀式部はより深刻にその事を捉えてた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 34

2024-07-29 19:16:06 | 日記
 あれから私たちはどんどん上に上がっていった。実際途中くらいで、やっぱり下もちょっと気になるな……とか思ったけど、私はそれを口に出すのはやめた。なぜなら私は指を切り離して途中からそれに下の方へと進むんで探索をしてもらってるからだ。
 
 私たちが分かれることも考えたが……それは戦力の分散である。愚策だ。実際勇者とアイなら大抵は大丈夫だろうと思うけど……あの目玉だけが敵とは限らない。まあスキャンした感じでは目玉以外の反応はないけどね。
 でも私には……というかG-01の指は勝手に動けるドローンのようなもの。ならばそれを使わない手はない。それに指くらいなら簡単に再生できるのでこっちとしては損耗もないのだ。
 だからこの船の塔の下へと指を行かせてる。どれくらいまでが通信範囲なのか気になるしね。ミレナパウスさんの世界では中継ドローンを逐次生産して、飛ばして通信範囲を広げてたけど……実際あの世界は通信状況が良くなかったからあんなことをしたまである。
 なんかあの世界の砂は特殊な磁場を放ってたのか、通信性能を著しく落としてた。でもここではそんなことはない。たくさんの船が残骸のように積み上がってるが、なぜか物体的な障害をほぼ受けてない。実際ここに存在してる……はずなんだけどね。
 
 でももしかしたら……
 
「メタリファーが私達のこと……」
 
 そこまで考えて私は頭をふった。流石にありえない。確かに私達には気づかれずに干渉することができるかもしれない。でもG-01にはそうはいかないはずだ。まあもちろんG-01はとても高性能だけど、完璧ではないかもしれない。
 でもだからこそプチュオクミという存在が併用しているんだろう。つまりは私だ。機械的なG-01と生物的な私という存在でそれぞれ、いろんな対策を講じてるってことだと思う。いや思ってる。
 だってでないと私がここにいる意味がわからない。実際効率よくG-01を運用するだけなら、何もわかってない私よりもアイのようなAIでいいのだ。なのにG-01を動かせるのは私だけなんだ。
 ならやっぱり私の存在には意味があるわけで……それはきっと機械だけでは抵抗できないこともあるから何じゃ? と最近おもってる。そして私のような生命体では抗いきれないことももちろんある。
 だから私達は互いに共生するようになってるんじゃないかな? 私が成長するとG-01も成長してるのはそういう事……かもしれない。
 
 まあとりあえず下の方は指に任せて、私達は上へ上へと行く。すでにたくさんのデータを船から得てる。もちろんなんのデータもない船もいくつもあった。けどある程度大きな船には文明の跡があって多少のデータはあるものだ。そしてそれを集めて行くと面白いことがわかってきた。
 
「これって……どれもこれもG-01の中にはないような……」
 
 いや、完全にないわけじゃない。似たような理論やら技術のデータはG-01にもある。けど全く同じじゃないし、そこそこ違う。だからこそなかなかに良いデータとして、G-01の糧になってるのだ。