UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十八話part2

2024-10-14 20:01:43 | 日記
「ほら、小頭ちゃんこの魚もおいしいわよ」
「うう……だって魚って目がギョロってしてて、こっち観てくるんだよ?」
「それはね、小頭ちゃんに食べてほしいから『おいしいよ』って言ってるのよ?」
「そんなのでだまされるほど私子供じゃないよ!」
「あらあら、でも本当においしいのよ?」
 
 そういっておばあちゃんは魚の煮物の身をほぐして口に運ぶ。そして「ん~!」となんかちょっとわざとらしいくらいにリアクションをしてる。確かに今日の夕食の魚は丸々一匹ずつあって澄んだ魚の目がやけに目立つような気がしないでもない。
 けど別に今更こんなのを怖いなんて足軽は思わないから、足軽は普通に食べてた。てか確かにうまかった。都会の方で食べる魚とはやっぱりなんか違うな……とか思ってるくらいだ。
 身がとても厚く、ふっくらしてる感じだ。都会のスーパーとかで時たま母親が買ってくる魚はもっとほっそりとしてる気がしてる。すぐに骨に到達するような感じ。でもおじいちゃん家の田舎の魚はもっと厚みがあるようだ。
 
 実際足軽は魚よりも肉派だ。てかそもそもが魚をそんなに食べる機会というのがないんだから、肉派になる確率の方が現代っ子は多いだろう。なにせ肉なんてそこらへんにあふれてるのだ。
 ハンバーガーとかだって肉だし、外食した時にわざわざ魚を頼むとかいうと……そんなのはない。ファミレスとかだって現代っ子は肉を頼むだろう。ハンバーグとか、生姜焼きとかそれこそステーキとかなんか……である。
 そんな時に魚の定食? ないないって感じみたいだ。魚と言えば『寿司』……このくらいしか都会の子供たちにはない。だから足軽にはこんなおいしい魚は普通に新鮮だった。
 
(まあちょっと確かにぐろいけど……)
 
 身をほぐして、最後には頭と骨と尻尾になってしまう魚。その姿は結構グロテスクだなって思ってしまうのが、こういう魚料理に慣れ親しんでこなかった弊害だろう。
 
「うう……おいしい?」
 
 そんな事を小頭が足軽に聞いてくるから、とりあえずうなづいておいた。すると小頭は意を決したのか、お腹の部分を箸でとって、目をつむって口に入れた。
 
 しばらく口に入れただけで動かない小頭。けど観念したのか、口をもごもごしだす。すると目を開いてこういった。
 
「おいしい……」
 
 ――とね。それを聞いておばあちゃんも満足そうにしてる。それからも和気あいあいと夕食の時間は過ぎていった。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 89

2024-10-14 19:56:56 | 日記
カンカン――
 
 そんな音が頭に響いてきた。まるで裁判所で聞くような、あの木のハンマーみたいなのを専用の台に叩きつけるような……そんな音。まるで電波が悪い時の映像みたいにとぎれとぎれていく映像が暗転して、それして聞こえてたきたのがこれだ。
 
 いったいなに? と思ってたら、次第にガヤガヤとした声も聞こえてくる。
 
『返して! 返してよ!!』
『あんたのせいで! あんたのせいっ……で!!』
『ママ―! ママ―!!』
『あんたのこと、絶対に一生……いや何度生まれ直しても殺してやる!!』
 
 とてもだけど誰に言ってるの? と思う様な言葉の数々。何が起きてるのか……次第に視界が戻ってくる。
 
(なにここ?)
 
 理解できなかった。どこなんだろうか、眼下には沢山の人々が見える。皆が私を見上げてる。少なくとも狭い室内じゃない。そして怒ってるのかわかる。かなり豆粒に見えるのに、それがわかるのは、彼らの怒りが見えるからだ。赤い怒気というか、邪気というのか……それが見えた。
 
『はははははははははははは、はははははははははははははははははははははははははははははは!!』
 
 聞こえてくるそんな声。けど不思議と口から発してる……という感じじゃない。私の周囲全部で聞こえてる。そう思ってると、彼……がみえた。これまでそんなことはなかった。
 だって……だ。だって私は『彼』の記憶をみてるのだ。追体験してるといっていい。なのに……それなのに当人が目の前にいる? おかしい。だって彼の視線からみた人生を体験してたはずだ。
 それにさっきまで知的美人さんの息子と研究の事で話してたじゃん。それなのに、次の瞬間にはこれ? 飛ばしすぎでしょ。
 
『何もわからない者ども……何も理解できない頭しかないのか? 犠牲じゃない。永遠……いや複数、違うな重複するけど重ならない世界の運命。それを束ねた死数へと示した道。
 そこへと巻き込まれた命は、永遠に死に、そして生き返る。そこには無限のエネルギーが生み出され続ける。エントロピーが生成される。世界で一番効率がいいエネルギーが何かわかるか? それは命だ』
 
 まるで悪役の様な事を彼はいってる。でもそれを眼下の人たちが聞いてる感じはない。なぜなら、何やら巨大な腕が見えて、それが眼下に攻撃を仕掛けてるからだ。機械的な、硬質な腕。それに対応するように、向こうも鎧の騎士たちが出てくる。
 
 いや、本当に何が……そう思ってると、彼が振り返ってくる。そして、私たちは相対した。