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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十七話part5

2024-10-12 19:42:22 | 日記
「興味あるの?」
「それは……まあ……そういう力があるのなら、使ってみたくなるのが男子っていうか?」
 
 あいまいにそんな風にいってみる野々野足軽。そんな風に興味がある……とか言っておけば、もしかしたら向こうから告白してくれるかもしれない。
 そんな思いがあった。
 
「そっか……まあ男の子だもんね。けどね……超能力っていい事ばかりじゃないよ」
 
 キタ――と足軽は思った。まるで何か思い当たることがあるような……そんな言い方。実際今の育代の発言には共感しかない足軽だが、でも後悔なんてない。
 それは絶対だ。そもそもいきなり目覚めた足軽だが、目覚めなかったら――なんて一度だって思ったことはなかった。確かに最近は大変だ。眠る間も惜しんで覚醒しそうな能力者のフォローをしてる。けどそれが出来るだけ足軽は先にいる……という事でもある。
 ではこの育代は一体どのくらい進んでるのだろうか? 実際覚醒する人達が出てきてまだ一か月も経ってない。だからそんなに力を使いこなせてるとはおもえない足軽だが……
 
「それってどういう……まるで超能力を持ってるみたいな言い方だね」
「えぇ!? えっと……それは、ほらニュースで物騒な事起きてるんじゃん。なんか現実と映画とかの境目が無くなってる感じ?」
 
 あからさまな反応をしてる育代。これでなんとか誤魔化せるとおもってるのだろうか? でも実際足軽は決め打ちで質問してるから苦しい……と思うが、そもそもが最初からこいつは超能力に目覚めてる! と確信できる人類なんてのは他にいないわけで……それを前提としないのであれば、十分にこの育代の発言でもごまかせるかもしれない。
 
(やっぱりこっちから切り出すしかない……か)
 
 やっぱり特殊な力に目覚めたというのは言いにくい事だろう。そう簡単に口に出せるものじゃない。足軽だってもしも力の事を話す……となるとドキドキする。不安になる。
 
 なにせ見る目が変わるかもしれないんだから。親しかった人たちが、もしも化け物を見るような目をしてきたら? どんな鋭い刃が突き刺さるのか……それはまだ想像しかできないが、きっととても痛いんだろう事は足軽にもわかる。
 だからきっと育代だって怖い。簡単に口に出せることじゃない。
 
ザザーン――という音を聞きつつ、夏の雲を見ながら足軽は意を決する。
 
「実は……さ。俺って超能力者なんだよね」
 
 そんな風にごく自然に足軽は告白する。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 87

2024-10-12 19:37:30 | 日記
 またなんかよくわかんない言葉が出て来た。死数次元って何? きっとこのとんでもなく進んでる文明で幾人か出て来た天才が発見した何かなんだろうって思う。
 
『わかりますか。これが何か』
 
 なにか一番黒づくめの連中と話してたその人が彼にそう語りかける。横に並んだ彼もその死数次元確定装置をみつめてる。
 
『わからない、わけがない。これは彼女が……あいつが残したものだ』
 
 交友関係の広くない彼がいう彼女。それにはすぐにピンときました。つまりはこれは彼女……知的美人さんの忘れ形見ということでしょう。確かにそれなら納得できるかも。
 だって彼の得意分野はどっちかというと、こういう機械的な事ではなく、もっと数学的な……科学的なそっち方面だと思ってる。私が見れる範囲でしかないけど、彼がレンチとか片手に何かを作り出してる姿は見れてない。常に何やらカタカタとやってるのはよく見るが、彼の発明というか、発見はいつだって書面というか? そんなのでしかみたことない。
 それに対してあの知的美人さんは色々と形にするタイプだったと思う。
 
『その通りです。これはあの人の……私の母の忘れ形見です』
『――――――――――は?』
 
 たっぷりの間を取って彼はそんな反応をしてた。いや、わかる。私も……いや私はこの映像を見る中で「へぇー」とかいう感じだったけど後で私も「ん? 母?」とかおもったもん。
 自身でも気づいてない恋をしてた彼なら、そんな反応にもなるだろう。
 
『母? だと? いや、そうか。あいつはかなりの功績をあげてた。発明の母だからな』
 
 人はこれを現実逃避……と呼ぶ。どうやら彼は認めたくないらしい。まあそれはそうだよね。だって……ずっと想いあってきたと思ってたのに……なんと相手には既に伴侶がいて……そして今、その伴侶との間にできた子が目の前にいるのだ。
 それは現実逃避もしたくなるというものだ。流石にちょっとだけ同情してしまう。
 
『違います。私は正真正銘、あの人の子供ですよ博士』
 
 はっきりと、そして断言する彼。でも確かにそういわれてその青年の顔を見てみると、名残がある……ようなきがしないでもない。