殿様の談合
写真㊤:志村けんのバカ殿様 DVD-BOX
このところ地方自治体のトップによる談合汚職や犯罪が大問題になっている。とくに官製談合の問題では、各地の県知事が相次いで逮捕され、論議を呼んでいる。
知事といえば、昔ならその地域の殿様だ。誰も頭を押さえる人はいない。小選挙区制が施行されるまでは、国会議員が知事よりも力を持っていた。ということは中央が力を持っていたということになる。
だが小選挙区制が実施されたことにより、国会議員の活動範囲が狭められ、知事と国会議員の力関係が逆転したと言われる。
いままさに、地方分権が叫ばれ、予算と権限(権力)は地方に移されようとしている。それだけに地方は公開されたクリーンな体質を要求されている。
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……と、ここまでは誰でも言う理屈だ。ところがところがギッチョンチョン!である。そうは簡単に問屋は卸さない。
というのは、江戸の昔から、殿様たちの体質は変わっていないのだ。政治手法が変わっていないということだ。
江戸時代の事件は枚挙に暇がないが、ひとつだけ薩摩・島津藩の例を挙げておこう。
島津家は「貸し腹経済」と評された。徳川家に娘を嫁がせては、経済の苦境を乗り切った。(鈴木理生 『お世継ぎのつくりかた」から引用=茶文字の部分)
薩摩国主、島津重豪(しげひで)はその娘篤子を近衛家の養女にし名を茂姫と改めた上で、家斉の御台所として嫁がせて徳川家と縁を結んだ。
結果としては、空前の長期将軍の岳父(妻の父親=舅〈しゅうと〉)になったのだから、その政治的効果は非常に大きなものがあった。
それを機会に湯治の島津家の総借金額500万両(※)のうち、大阪商人からの借金120万両を一方的に放棄することに成功し、その代わりに奄美大島の黒糖の専売権を大阪商人の代表として出雲屋孫兵衛に行使させた。
この問題が露見する前に、公儀(幕府)関係者には35万両を贈賄して口封じをしている。
また北海道の昆布の密輸出と漢方薬の密輸入というリンクを富山の薬売り網を利用して立ち上げ、巨利を得ている。(鈴木前掲書)
(※)通説に従って一両を10万円として換算すると、500万両は現在の500億円になるが、当時の経済規模からば、かなりの大金になる。
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宮崎談合・安藤前知事を逮捕
(時事通信) 12月 8日(金) 20時42分
宮崎県の官製談合事件で、任意同行を求められ、知事公舎を出る安藤忠恕前知事(中央)。県警捜査2課は、競売入札妨害容疑で、前知事安藤忠恕容疑者を逮捕した(8日午後、宮崎市) 【時事通信社】
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先祖伝来の発想はなかなか消えない。だから反省もしないのだ。遺伝子に組み込まれているとは思いたくないが……
06.12.10