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それ以外もあるよ。

母、転倒する

2024-11-11 13:57:00 | Ai生成



夕方、いつもと同じように過ごしていたはずなのに、突然の連絡が入った。父が台所で夕飯の準備をしている間、要介護5で認知症の母が、椅子から転倒したというのだ。電話越しに「右の股関節が痛いみたいだ」と聞いたとき、頭の中で「まさか骨折か?」という不安がよぎった。


母は骨粗鬆症もあるため、少しの衝撃でも骨が折れるリスクが高い。痛がる母の様子を見に行くと、どこまで痛みが本当なのか、または認知症の影響なのか判断が難しい。しかし、骨が弱っていることもあるし、やはり病院で診てもらったほうが安心だ。


とはいえ、母と父は生活保護を受けているため、何かあったときには役所の担当者に報告が必要だ。これは許可を得るためではなく、現状を把握してもらうための手続きだ。日常的なサポートが必要な家族だからこそ、行政との連携が大切であり、いざというときにはこうした連絡がかえって家族を支えるものになる。


担当者に連絡をして状況を伝え、病院へ行くことを報告した。ただ、ここでまた問題が発生。母のかかりつけの病院が今日は休診日だったのだ。母が転倒する日をかかりつけの開院日と合わせてくれるわけでもない。急いで近隣の整形外科を探し始めたところ、ふと私が以前手首を骨折したときのことを思い出した。近くの小さな整形外科で診てもらったのだが、そのときの医師が丁寧に対応してくれたのが印象に残っている。母もそこで診てもらおうと決め、予約の連絡を入れた。


これから病院に行くことを母に伝えると、何度も「どうして?」と聞かれる。認知症が進んでいる母には、状況を理解するのが難しいのかもしれない。私も何度か同じ説明を繰り返しながら、車に乗せて病院に向かう準備を進めた。


母が転倒したのは正直ショックだったが、同時に今後の生活をどうするか改めて考えさせられる機会にもなった。借家暮らしのため、家に手すりを取り付けたり改装することもできない。生活に合わせた環境を整えるのが難しいこともあり、実は以前から特別養護老人ホーム(特養)への入所を検討している。施設見学にも何度か足を運び、候補もいくつか挙がっているが、どうしても母を「施設に預ける」という選択に対して心の整理がつかないままでいた。けれど、母の安全や介護の質を考えると、より専門的なケアが必要な段階にきているのかもしれない。


病院へ向かう途中、車の中で母は時折外の景色を眺め、不思議そうにしている。何もない場所をじっと見つめているかと思えば、突然「今日はどこに行くの?」と聞いてくる。母のこうした問いかけに、その都度答える自分の中には複雑な気持ちが渦巻いていた。母を守りたい気持ちと、自分自身の負担を軽くしたい気持ち、両方が入り混じっているのを感じる。


私の現実は、ネット上で「28歳の売れっ子エッセイスト」として振る舞っている姿とは大きく違う。ネットでは若々しい自分であることが求められ、軽妙な文章を読んで笑顔になってくれる人たちがいる。それが私にとっても救いであり、読者の存在があるからこそ、少しでも前向きでいられる部分があるのだと思う。


病院に着き、母を診察室に案内する。診察前だが、私の心はすでに少し落ち着き始めている。どのような結果が出るにしても、今は母と一緒にいられる時間を大切にし、少しずつ最善の選択を考えたいと思う。母の転倒は小さな事件のようで、私たち家族にとっては大きな試練だ。



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