30年ほど前のロードスターNA8C V2スペシャルの本革シートの張替えです。
お盆休み前に預かり、8月中に引き渡しました。
以前から、すれ違うたびに振り返る一台です。
ご夫婦で相談に工場まで
ふだんは奥様が日常使いで乗っていて、できるだけ元の状態に近い
張替えにしたいということです。
当然、ドライバーシートにダメージがあり、先に、アシスタントシートの方を
外して乗っていただき、その間に準備することにしました。
色々とあるサンプルの中で、宮内産業さんのノーザンプトンの中から
一番似ているハイクラス781色を指定していただき牛1頭分、約500デジを
調達して取り掛かりました。
凝ったバケットシートで、型紙だけで30点ほどになります。
特にハイバックのヘッドの部分にスピーカーが仕込んであります。
また、背の当たる部分に大きなスピーカーが仕込んであります。
改めて、ドライブに音楽が付き物だと思い知るシートです。
仕入れた高価な革に無駄が出ないように、左シートで採りだした型紙を
リフレクトして右側シートも同時に型入れして裁断します。
そして、部位に合わせて、3㎜から5㎜のフレームラミネートウレタンで
3層のパーツに外周縫いしてから縫製をしていきます。
ヘッドレスト部分のスピーカー穴は、ポンチ抜きでは配置にバラつきが
出そうなのでレーザーカットでするように斜め楕円形に3ミリ径の円を正確に
並ぶデーダを作成してレーザーカットしました。
このスピーカー部分はこの穴加工も大変ですが、メンテナンスを考えてファスナーで
開く用になっていて複雑です。
運転席の座部分のドア側は、だいたいウレタンが傷んでいます。
今回はワイヤーで裂傷している部分を四角くくり抜き、硬度が似ている
ウレタンを埋め込んでから成型カットします。
助手席が完成したところで連絡して運転席を搬入していただきました。
助手席の出来栄えの良くない所を修正しつつ、異なったヘタりの
運転席のカバーリングをイメージしながら、調整できる部分は修正したいのですが
革の歩留まりを軽視できないので裁断縫製の修正は限度があります。
左右リフレクトで製作しているので背面ポケットは、助手席シートにしか
無いのですが、運転席にも付きました。
ツッコミどころもあるかもしれませんが、一発勝負なので、こんな感じで
仕上がりました。
革なので縫い直しをすると針穴が開いて革パーツが使えなくなるため
ケチケチ配置で裁断して余った革は、奥様に愛用していただけるよう
シートと同じ革のトートバックを製作しました。
なかなか無いバックかと思いますので使っていただければ嬉しいと思います。
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