今回は自動車ドアの内装パネル張り替えです。
内張は樹脂部品の破損が起きやすいので、あまり引き受けていません。
なおさら古い車だと、なかなか代用品が見つからない事があります。
せっかく、他所で、はずして届けてくれたので引き受けて剥がしました。
本革のシミ取りで深みにハマってしまったようですね。
はがして型紙を採り始めて重大なことに気づきました。
Wステッチの幅・・・私の工場では基本の常設幅は、
3/8インチ(約10㍉幅)です。
この内張は、5/16インチ(約8㍉幅)で2㍉ほど合いません
この1枚の為に8㍉幅で縫えるミシンを用意しなくてはなりません。
そこで、5台ある2本針ミシンのあまり使っていない、
マジックテープ縫い付け用の3/4インチ(19㍉幅)がついている
ミシンを変更することにします。
2本針ミシンの幅変更(ゲージ交換と言う人もいます。)は
針カブ、針板、送り歯、中押さえ、外押さえの5部品をセットで交換し
左右の釜の調整を行います。
細かい事を言うと、ミシンメーカーの違いもありますが、今回は
三菱ミシンの自動糸切りミシンで交換します。
複数の2本針ミシンを使っている人にしか、解らないと思いますが
同じ三菱ミシンでも自動糸切りと糸切り無しでは、針板だけでなく
送り歯も形状が異なります。よって、ゲージ幅を色々と揃えると
高価なミシン部品の数が大変なことになります。
ステッチ幅の問題とは別に、今回のもう一つの難題は、
元の経年退色した本革と合う色を安価で探す事でした。
こだわるとキリが無いので、シンコールの塩ビレザーの類似色を調達しました。
本革と塩ビレザーでは風合いは勿論ですがステッチの糸の沈み具合(絞まり具合)の質感が異なります。
よって、本革では縫い代を切り落として張り込んであったものを
3㍉ウレタンを重ね、縫い代を開いてあえて糸絞まりが良く見えるようにしました。
ボンドを使った内張張りは、どこまで見えるのか?隠れるのか?
どうしても深く貼ろうとしてコーナー部分に腐心してしまいます。
年式は古くても、さすがに高級車なので気を使いますね(苦笑)
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