受話器上がり警告音ともお話し中音とも取れるサウンドとプッシュサウンドが共存し、濁りサウンドになるのは、タイムアウトのあと30秒ほどでした。警告音量が大きくなり、澄み切ったピポパのいずれかがかき消される形になり、大音量が耳をつんざきました。その後、警告音が消え、押している澄んだプッシュサウンドがかわいらしく響き続きました。愛しいから、親指と人差し指でボタンを軽いタッチで挟み込んで手触りと耳触りを味わっていました。警告音の音量が止むと電子音が減衰したかのように響くから、尚更愛しくなります。
リズミカルに長短つけてと同時に、タイムアウト後の電子音がどう耳元に伝わり続くのか、楽しいです。電電公社時代のダイヤルキャッチコピーに「ダイヤルは休まず最後まで」ってありました。つまり、ダイヤルの手を止めると、通話が成立しないわけです。歌の文句ではないですが♬「ダイヤル回して手を止めた」なんです。プッシュホンでもボタンを押しっぱなしにすることはダイヤル回して手を止めた、状態になることがわかりました。
さて、プッシュサウンドは2箇所ボタンを押しても最初に押されたサウンドが確かに継続します。だから、重音和音は作れません。モノフォニックです。最初に押されたボタンを離して次の音を押す僅かな瞬間、耳元にこれも味わいあるポチッというきれいな切断音と静寂が漂います。そして次に押された力強い音が持続します。減衰しないから、かわいらしくて、親指と人差し指で、ボタン戻りを抑え音を続けてしまいます。面白くて実験は続きます。
電話器ひとつに音楽的要素が入るのは、黒電話器のダイヤルがゆったり戻る感覚からすると如何に画期的かわかります。好きな数字を短い拍子をつけながら休みを入れてプッシュしたらどうなるか試そうと思います。トントン トントン トントントン トントントン トントントントン トントントントン というような感じで拍子休符を入れたり、ボタンを変えたり、受話器上がり警告や発信可能音がどうなるか試します。信号の発信と音の変化の関係、興味津々です。
押し始めのアタックの強さ、中盤の濁音、終盤の減衰音、まさに、波型が山を描いていて、シンセサイザーそのものです。減衰音になる頃には、耳がすっかり慣れて、か細い音が愛しくなります。指を離すと、音は静かに消えます。ダイヤル式のカチャンという音もしないで、まだ押していいよと言わんばかりの穏やかな消え方です。電子音というとギザギザ感が拭えませんか、プッシュサウンドは優しさいっぱいです。
きれいなピ〜という澄んだ音色が戻ると、もう、発信可能音も、受話器上がり警告音もしなくなりました。しかし、プッシュ音は、初めより小さくなり、減衰音になっているのがわかります。指の力が衰えるまで、音を鳴らして、耳元の囁きを楽しんでいたいと思います。快音で和みます。