何年か前に亡くなったんだけど
料理の上手なおばさんがいました
名前はハッコちゃん
俺はもうずっと小さいころから可愛がってもらってた
ハッコちゃんはお料理が上手で
お盆とかみんなが集まるときに料理を作って持ってきてくれてた
それがとっても美味しいのだ
俺が30歳ぐらいの頃のお盆に
ハッコちゃんは肉巻きおにぎりを作って来てくれたことがあった
いっぱい人が集まるから
いっぱい作って来てくれてた
肉巻きおにぎりなんて食べるの初めてだったんだけど
俺はもうメチャメチャ気に入っちゃって
何個も何個も食べた
それを見てハッコちゃんがとっても喜んで
『そんなに美味しいか?またにゃびに作ってきてやるからね』と言ってくれたのを覚えている
確か肉巻きおにぎりは2年連続で登場した記憶だ
話はちょっと逸れる
この話、俺の大好きな話なんですがね。
…
ハッコちゃんはよく笑ってる人だった
いつもちょっとしたことでも笑って
笑顔の絶えない人だった
あるときのお盆の事だった
ハッコちゃん、いつものようにいっぱい笑うんだけど
何かモゴモゴして口元を隠して笑ったりしてた
なんか話し方もいつもと違うし…
『おばちゃんどうしたの?』って聞いたら
『前歯が欠けたのよ』って。
手をよけて口を見せてくれたら上の前歯が1本無くなってた
コレが面白い顔で。
『笑われるから隠してたのよ~』って。
んで、気になるのはどうして前歯が欠けたのか。
…
聞いてみたらさ
おじちゃんが薪割をしてて、ちかくに座ってそれを見てたんだって
多分、笑って口を開けた時だったんだろうね
割れた薪が飛んできておばちゃんの前歯を直撃
それで前歯が欠けたって。
転んでとか、不注意で何かにぶつかってとか、虫歯でとかじゃない
割れた薪が飛んできて前歯に当たって欠けるって
もうさ、どんな確率よ!!!
この話はカミさんも大好きで
忘れた頃にわざと俺に
『ハッコちゃんってなんで前歯が無いんだっけ?』って聞いてくる
そんで俺が事のあらましを話すと大爆笑っていう
…ま、大好きなおばちゃんを偲んでの大爆笑ですよ。ええ。
そうやって、時々おばちゃんの事を思い出す
その時にやっぱり思い出すのが肉巻きおにぎりだ
昨日はカミさんが弁当を持って行くと言うので
何か作ってあげようと思って思い出したのが肉巻きおにぎりだった
いつか作り方を教えるからって言ってくれた約束は叶わなかったけど
Google先生に教えてもらって作ってみた
ご飯の量が1個あたりどれぐらいとか分からないから
最初は75gでやってみたんだけど
それだと大きすぎる事が判明
30g減らして、45gで作ってみたのが写真のお弁当サイズ
コレが大好評でした
俺も食べてみたけど
甘じょっぱくて、懐かしくて優しい味がしました
一番右側が75gバージョンです
…
なんかさ。
肉巻きおにぎりを作るのってさ
最初に小さい俵型のおにぎりを作るんだけどね
炊きたての白いご飯に生肉を巻くってのがね
なんか俺にはメチャメチャ抵抗があったんです
火を通すから食えるんだけど
白飯に生の豚肉…ってなんか気になる
お腹壊すってば!!って心が騒ぐ
ちょっと気持ち分かるでしょ?
また作って欲しいとリクエストをいただいたので
次回、また作るときは
すこしご飯にも味をつけたほうがいいかな…って思った
焼肉のたれみたいなのを少し混ぜたほうが美味しいかもしれない。
試行錯誤しながら作って
ハッコちゃんの肉巻きおにぎりに近づけたらいいなぁって思っている。