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まるで時を計っているかのように、決まってお彼岸に花開く彼岸花。
毎年のことながら、その正確さにはつくづく感心してしまいます。
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幼いころから、野に咲く彼岸花が大好きで。
「毒があるから」と近づかないこどもたちも多い中、私は嬉々として摘み取ったり観察したり。
全草が有毒なことはおとなたちに教えられて知ってはいましたけれど、「それならばくちに入らぬよう気を付ければいい」という妙に前向きな信念のもと(笑)、毎年うっとりと赤い花に埋もれていました。
現住の住宅地に引っ越してきてからは、周囲はアスファルトとコンクリートに固められた土地ばかりで、すっかり縁遠い植物となってしまいましたけれど。
母が祖父から贈られたこの白花を、庭の木陰からそうっと眺めて心躍らせています。
――なのに。
今年はどうしたことか、これ1輪しか蕾が上がってこなくて、淋しい限り。
昨年花が終わった直後に、蛾の幼虫がこの彼岸花だけに大発生して、葉の大部分を喰いつくしてしまったことが原因かなと分析してはいますけれど…はてさてどうなんだろう。
来年はたくさん見られるといいな。