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元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

Wii U『任天堂ゲームセミナー2013 受講生作品』を遊んでみました vol.4

2014年06月24日 16時01分13秒 | 【旧】購入・レビュー話

数日前よりWii Uで配信開始しました、『任天堂ゲームセミナー2013 受講生作品』
全4作品が収録された無料タイトルということで、遊んでみました。

vol,1 ―→ 『ポッポハンター』
vol,2 ―→ 『必撮!センターヒーローズ』
vol,3 ―→ 『しまながめ』
vol,4 ―→ 『戦闘団地』 ←今回はコレ!


※写真は、クリックすると大きなサイズで見れます。



最後に紹介するのは、『戦闘団地』です。

戦闘のための団地。まあ、そのままなんですけどね。
フィールドに壁や囲いや人を配置して、寄ってくる敵からロケットを守る、いわゆるタワーディフェンス系ゲームになります。




フィールドは、こんな感じです。
このゲームには昼夜の概念があり、昼に戦闘の準備を。夜に戦闘を行うって流れになります。

プレイヤーは、ゲームパッド画面の下側にあるブロックをフィールド状に配置していきます。
ブロックは、マリオのハテナブロックみたいに宙を浮いて配置することはできませんが、他のブロックに隣接さえしていれば、配置することができます。上でも、横でも。

ブロックおよび地面を利用して”囲い”を作ると、そこが”居住地”となります。
そして、たびたび上から降ってくるカプセルを、タッチスライドで居住地のなかに配置してあげると、カプセルから”生存者”が出てきて、活動を開始します。
生存者は、昼は新たなブロックを運んできて、夜は敵と戦ってくれます。戦闘時、移動はしません。攻撃範囲に入った敵を、自動で攻撃します。ここらへんが、タワーディフェンスらしさって感じですね。




囲いを作って、生存者を活動させて。それを繰り返していると、こんな感じになっていきます。
なお、プレイ中はZRボタン・ZLボタンを押している間、時間が止まって生存者たちの攻撃範囲が表示されます。




そして、夜になると四方八方から敵が寄ってきます。
左下にスライムみたいなのがいますね。一番弱い敵です。

敵は、ロケットに向かって進んできたり、遠くから攻撃してきたり。ブロックやロケットを、あらゆる方法で攻撃してきます。でも、プレイヤーが可能な操作は、何もありません。生存者たちが、敵を倒して生き延びてくれることを願うしかありません。
ここで重要になってくるのは、ブロックを破壊された結果、囲いでなくなってしまった”居住地”は、居住地ではなくなり、そこに配置されていた生存者は”全滅”するということです。
つまり、大きな囲いで一度にたくさんの生存者を配置したりすると、ブロックを破壊されて致命的なことに。小さな囲いをたくさん作ったり、ブロックをたくさん重ね合わせていったほうが、守りは固くなります。もちろん、時間もかかるし、ブロックもたくさん必要になりますけどね。


とまあ、こんな感じで昼と夜と繰り返して、ノルマとして定められた日数を耐えきることができればステージクリアとなります。
中央にあるロケットを破壊されると、ゲームオーバーです。


モードは3種類。
操作を学ぶための「チュートリアル」。全4ステージが用意された「アーケードモード」。上級者向けの「チャレンジ」です。


◆== partygameの感想 ==◆
ここ数年で色々登場してきたタワーディフェンス系。私も、スマートフォンアプリで一通り触ってきましたけど、今作は、あまり体験したことのないスタイルです。

元来のタワーディフェンス系というと、いわゆるタワー的ポジションとなる物体なり人物なりを配置するだけってスタイルが多いです。で、その物体や人物をレベルアップさせたりしてね。
今作は、キャラクターを配置する前に、まずブロックで居住地を作らないといけません。これによって、ちょっとパズル的な思考が必要になってくるので、従来のタワーディフェンスとはまた違う戦略性が求められます。

それにくわえて、タッチペン捌きですね。1つでも多くのブロックが配置できたほうが、有利なので。

ちなみに私は、小さな囲いでカプセルがギリギリ1個入る居住地を作りつつ、壁を分厚くしていきます。
最初は居住地づくり重視ですが、後半は壁をこれでもかと重ねることを重視。そのあまり、カプセルをいくつか放り出したまま夜を迎えて「ギャー!」ってなことになったことも多いのですが、仕方ありません。必要な犠牲だった…ということにさせてください(汗)
ま、そんな風に、プレイスタイルも少し分かれてきそうです。

これといって大きな不満はないですが、前回紹介した『しまながめ』と同様で、画面スクロールが3Dスティックでしかできないのが、やっぱり気になりました。
タッチ操作でも画面スクロールができれば、よりスムーズにブロック配置ができると思うんですけどね。


ありそうでなかった、タワーディフェンス系ゲームとなっています。
もうすでに、製品化のレベルにまで達していますね。あとは、ステージ数や敵の種類を増やすだけで充分って感じです。
私は、タワーディフェンス系そのものがあまり好かないのでアレですけど、おそらく今回の受講生作品のなかでは、ゲームとして一番うまくまとまった出来になっているんじゃないでしょうか。事実、「Miiverse(ミーバース)」で一番話題に挙がっていたのも『戦闘団地』だったので。


◆== 『任天堂ゲームセミナー2013 受講生作品』を全部遊んでみて==◆
昨年、3年ぶりの任天堂ゲームセミナーが実施され、もちろん、受講生作品が配信されたのも3年ぶり。そして、初のWii U向けタイトルでした。

遊んでいて改めて思ったのは「Wii Uだからできること」を重視したのではなく、あくまで「何を作りたいのか」を重視したということです。

ゲームセミナーのレポートを見ていても、今回はまず「日常の生活で面白いもの」というテーマから「ゲームの種」となり得るキーワードを考え、そこからゲーム制作へ取り組んでいったと書かれていました。例えば、『ポッポハンター』の種は「ハトをつかまえる」。『戦闘団地』の種は「秘密基地作り」でした。
種を元に、1つのゲームとして育て上げるというのがゲーム作りの流れであり、Wii Uのあらゆる機能というのは、1つのゲームを完成させるうえでの道具でしかありません。ボタン操作だけでもいいんです。ジャイロ操作を使う必要もないし、ゲームパッドの画面を無理に使う必要もない。それぞれが作りたいと思うゲームを作るには、Wii Uの何が必要で何が必要でないのか?それを、偏見なく判断できる能力が必要ってことなんでしょうね。


私もそうなんですが、どうしてもWii Uを持っている人からすると「Wii Uならではのタイトル」を求めてしまうものです。
そして、Wii Uならではのタイトル=Wii Uならではの機能を活かした遊びってことになってきます。
だって、そうしないと「他機種でもいいじゃん」ってことになりますからね。
しかし、それを意識しすぎると、ゲーム制作の本質を見失います。コンセプトが崩れてしまいます。コンセプトに基づいた1つのゲームを作るのが目的なのか、タッチ操作やらジャイロ操作やらを活かしたゲームを作るのが目的なのか、分からなくなってきます。特に、これからゲーム業界に入ろうとしている受講生に対しては、ふさわしい考え方とは思えません。

とはいえ、機能に縛られない考え方を重視する人もいれば、せっかくだから機能を活かした要素を取り入れたいと考える人もいる。あるいは、例えばプレイステーション系のほうが作り慣れているから、これからもプレイステーション系だけで作るなどの”大人の事情”による考えもあるでしょうし。ここらへんは、各個で考え方が大きく異なってくるものです。
もちろん、機能を活かした遊びを考えることが、ダメとは言いません。今年のE3で、宮本 茂氏はWii Uゲームパッドを活かした新しい遊びを提案しましたしね。でも、それは次のステップであって、今はまず「ちゃんとゲームを完成させられる能力」のほうが必要である、と。そのためのゲームセミナーだったということで、良いのではないでしょうか。


ちなみに。私個人的に率直な「面白かったランキング」を付けるとしたら、
 1位 ―→ 『必撮!センターヒーローズ』
 2位 ―→ 『戦闘団地』
 3位 ―→ 『ポッポハンター』
 4位 ―→ 『しまながめ』
かな。
『しまながめ』は、くらうど君の可愛らしさに癒されましたけど、それ以外の何物でもなかったって印象でしたので。
で、ゲームとしてまとまっていたのは『センターヒーローズ』と『戦闘団地』ですが、個人的には、誰でも簡単にワイワイ楽しめる『センターヒーローズ』のほうが好みでした。伊達に”partygame”ってニックネームではないので(笑)


何はともあれ、受講生の皆さん。お疲れ様でした。
ここから、ゲーム業界の未来を担う、新たな種が生まれてくれることを願っています。


関連記事:
ゲームソフト 評価タイトルリスト:ニンテンドーDS その他
※過去にDSで配信されたゲームセミナー受講生作品の紹介・感想を、まとめています。

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2 コメント

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Unknown (りお)
2014-06-24 22:00:36
こんなに整った「戦闘団地」が出来上がるとは驚きました(笑)。このゲームは「こんな形の団地ができたよ」とMiiverseで見せ合いも楽しいでしょうね。
「必撮!センターヒーローズ」は、名前からゲーム内容がパッと分かるのも良かったですよね。「ああ、真ん中に写るのか」と、作品名が出たころから理解できました。
アイテムなどタックル以外の邪魔要素を足して、多人数で遊べば結構盛り上がりそうですね。
「しまながめ」は、ゆるい癒し系の要素の中にも、少しでいいからオチが欲しいと思いました。直前にクリアした3DSの「おでかけタコりん」とどうしても比べてしまい、可愛いだけでは物足りないという印象でした。

ゲームコンセプトや画面スクロールの操作方法など、partygameさんの鋭い視点からのレビューを拝読できて嬉しかったです。
返信する
Unknown (partygame(管理人))
2014-06-26 08:04:36
>りおさん

>>「必撮!センターヒーローズ」は、名前からゲーム内容がパッと分かるのも良かったですよね。

確かに、大事なポイントですね。
現在、ゲーム業界を支えている大型タイトルも、けっこうシンプルで分かりやすいタイトル名が多いものです。『モンスターハンター』とか『ポケットモンスター』とか。
『センターヒーローズ』と『ポッポハンター』は、そういう意味で分かりやすかったですね。逆に『戦闘団地』は、タイトルロゴのデザインもそうですが、最初は少し敬遠してしまうかもしれません。

>>3DSの「おでかけタコりん」
なんか、面白いということで話題になっているそうですね。知りませんでした。
ダウンロード専用タイトルでも癒し系タイトルが出てきているからこそ、こういうタイトルの強みというのは良く分かりますが、『しまながめ』は単にかわいいだけでなく、もう一歩オリジナリティが欲しかったところです。
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