オオハクチョウ飛来の時節である。27日のニュースに、
今度から市川宗家への掛け声が「成田屋!」から、
「張り手や!」または、
「国から30年間毎年2億円!」、もしくは、
「そんな身分になりたや!」に変更される、
というものはなかったかもしれないが、
[十二町潟にシベリアから飛来するオオハクチョウが約50羽に増え、見学者が訪れてる]
というのがあった。富山県の氷見市はこの季節、寒ブリで有名な町である。が、
大伴家持が二十代後半に越中の国司として5年間赴任した際、
国府(現在の高岡市にあった)から比較的近隣の
布勢水海(ふせのみずうみ)に数度遊び、歌を残したことでも有名である。
(万葉集巻17-4018)
[美奈刀可是 佐牟久布久良之
奈呉乃江尓 都麻欲妣可波之 多豆左波尓奈久 一云 多豆佐和久奈里]
(みなとかぜ さむくふくらし
なごのえに つまよびかはし たづさはになく(orたづさわくなり)
「港風、寒く吹くらし。奈呉の江に、嬬呼び交はし、鶴沢に鳴く(or鶴騒くなり)」
(拙大意)港風が寒く吹いてるに違いない。だから温もりを求めてだろうか、
奈呉の入江に、ツガイのオスとメスが互いに相手を探し求めて呼びあって、
鶴が沢に鳴いてることだなぁ(鶴が声をあげてることだなぁ)。
布勢水海は現在はもうないが、その名残が氷見市の十二町潟である。
かつてはツルが棲息してた地に、今はオオハクチョウが
Siberiaから飛来して越冬してくのである。
Sibeliusの「交響曲第1番(ホ短調)」の第1楽章主部は、
[Allegro energico(附点2分音符=108)、6/4拍子、1♯(ホ短調)]
ホ短調からト短調にシフトされイントロのクラリネットの終いがその
"主音"g(ラ)に落ち着くと見せて同音を持続させる。そこに、
ト短調の第3音(b)ではなく、本位の第3音であるhをgと重ねた
vnセコンドが[ホ短調のド、ミ]のダブルストップのトレモロを弾きだすと、
ディーヴィズィされたvnプリーモがオクターヴ・ユニゾンで、
****♪【ドーーーーー・ーーーーーー│ーーーーーー・>シーーー>ソー│
<ラ>ミ<ラ>ミーーー】・●●●●●●♪
という第1主題を奏する。これに、ヴィオーラ+チェロのオクターヴ・ユニゾンが、
****♪●●●●●●・【ドーーーーー│ーーーーーー・ーーーーーー│
ーーーーーー・>シー>ソー<ラー│>ミーーーー】♪
とカノる。このあと、
リストの「愛の夢第3番」の一節、
[ラ<シ<ド<ミ>レ>ド]
という音型が小さなクライマックスを形作る。
ところで、
チャイコフスキーの破棄されたオペラ
「ヴォエヴォーダ(地方長官)」の中の第3幕には、
マーリヤ・ヴラーシエヴァがヴァストリューコフの胸に飛び込み、
アリョーナがドゥブローヴィンに黙って抱きつく、
という場面がある。そこで使われた音楽、
[Andante、3/4拍子、4♯(ホ長調)]は、
***♪ソー・ーー、<ラ<シ、│シ>ミ、<シ<ド、<レ<ミ、│
ミ>ソ、<ラ<ド、<ミ<ソ、│<♯ソー・ーー・ーー、│
♭ラー・ーー、>ファ<ソ、│ソ>シ、シ<ファ、ファ>♭ラ、│
♭ラ<シ、シ>ファ、ファ<ソ、│ソー・ーー・ーー♪
という両翼vnがオクターヴ・ユニゾンで奏するものである。これが
ファゴット2管+ホルン4管の完全ユニゾンで繰り返され、そのまま、
***♪【ドー、│>シー、>ソー、<ラー、│>ミー・ーー】、<ソー│
ソー・ーー、>レー、│<ソー・ーー♪
と吹き、第3トロンボーン+チューバが完全ユニゾンで繰り返す。
オーケストレイションを替えて(ハープのアルペッジョを加え、
両翼vnの旋律奏に中低弦を補強したり)はいるものの、
これをバレエ「白鳥の湖」最終幕最終曲の冒頭、
(Le prince entre en courant.)
=ル・プロンス・アントル・アン・クラン=王子が駆け込んでくる、
という場面、
[Andante、3/4拍子、4♯(ホ長調)]
の音楽にそっくり転用した。
蔕を撃った王子が謝ろうと、オデットを探して
急ぎ湖に現れた場面である。この中の
【ド>シ>ソ<ラ>ミ】いう音型が、まだ
ツルツルにはなってなかったスィベリウスのオツムの記憶野に
焼き付けられてたのだろう。
スィベリウスには「レミンカイネン伝説」の中の「トゥオネラの白鳥」とか、
ストリンドベリの劇に附けた音楽「白鳥姫」とか、
白鳥に関する音楽がいくつかある。たとえば、自らの
50歳を記念して誕生日(12月8日)に初演すべく作曲した
「交響曲第5番」では、その終楽章の
***♪ドー・ーー│<ソー・ーー│>ドー・ーー│
>シー・ーー│<ソー・ーー│>シー・ーー♪
というホルン2管が3度重ねずつで鳴くの動機を、
「16羽の白鳥」を見た感動が作曲の衝動に繋がったとスィベリウスは
語ってる。さすがは、フィンランドの国民的作曲家。たいした
手腕(シュワン)なことである。私はむしろ、
終いの全奏によるfffzと指示された6発の音が
白鳥の鳴き声に聞こえるが。ともあれ、
フィンランドの国鳥であり象徴でもある
白鳥(スウェーデン語でsvanスヴォーン、スオミ語でjoutsenヨーツェン)に、
スィベリウスは特別な思い入れがあった。それはやはり、
「白鳥は季節によって居住する地を替えても、
そのツガイは終生別れないという純愛の象徴」
という認識に基づいたものなのである。
今度から市川宗家への掛け声が「成田屋!」から、
「張り手や!」または、
「国から30年間毎年2億円!」、もしくは、
「そんな身分になりたや!」に変更される、
というものはなかったかもしれないが、
[十二町潟にシベリアから飛来するオオハクチョウが約50羽に増え、見学者が訪れてる]
というのがあった。富山県の氷見市はこの季節、寒ブリで有名な町である。が、
大伴家持が二十代後半に越中の国司として5年間赴任した際、
国府(現在の高岡市にあった)から比較的近隣の
布勢水海(ふせのみずうみ)に数度遊び、歌を残したことでも有名である。
(万葉集巻17-4018)
[美奈刀可是 佐牟久布久良之
奈呉乃江尓 都麻欲妣可波之 多豆左波尓奈久 一云 多豆佐和久奈里]
(みなとかぜ さむくふくらし
なごのえに つまよびかはし たづさはになく(orたづさわくなり)
「港風、寒く吹くらし。奈呉の江に、嬬呼び交はし、鶴沢に鳴く(or鶴騒くなり)」
(拙大意)港風が寒く吹いてるに違いない。だから温もりを求めてだろうか、
奈呉の入江に、ツガイのオスとメスが互いに相手を探し求めて呼びあって、
鶴が沢に鳴いてることだなぁ(鶴が声をあげてることだなぁ)。
布勢水海は現在はもうないが、その名残が氷見市の十二町潟である。
かつてはツルが棲息してた地に、今はオオハクチョウが
Siberiaから飛来して越冬してくのである。
Sibeliusの「交響曲第1番(ホ短調)」の第1楽章主部は、
[Allegro energico(附点2分音符=108)、6/4拍子、1♯(ホ短調)]
ホ短調からト短調にシフトされイントロのクラリネットの終いがその
"主音"g(ラ)に落ち着くと見せて同音を持続させる。そこに、
ト短調の第3音(b)ではなく、本位の第3音であるhをgと重ねた
vnセコンドが[ホ短調のド、ミ]のダブルストップのトレモロを弾きだすと、
ディーヴィズィされたvnプリーモがオクターヴ・ユニゾンで、
****♪【ドーーーーー・ーーーーーー│ーーーーーー・>シーーー>ソー│
<ラ>ミ<ラ>ミーーー】・●●●●●●♪
という第1主題を奏する。これに、ヴィオーラ+チェロのオクターヴ・ユニゾンが、
****♪●●●●●●・【ドーーーーー│ーーーーーー・ーーーーーー│
ーーーーーー・>シー>ソー<ラー│>ミーーーー】♪
とカノる。このあと、
リストの「愛の夢第3番」の一節、
[ラ<シ<ド<ミ>レ>ド]
という音型が小さなクライマックスを形作る。
ところで、
チャイコフスキーの破棄されたオペラ
「ヴォエヴォーダ(地方長官)」の中の第3幕には、
マーリヤ・ヴラーシエヴァがヴァストリューコフの胸に飛び込み、
アリョーナがドゥブローヴィンに黙って抱きつく、
という場面がある。そこで使われた音楽、
[Andante、3/4拍子、4♯(ホ長調)]は、
***♪ソー・ーー、<ラ<シ、│シ>ミ、<シ<ド、<レ<ミ、│
ミ>ソ、<ラ<ド、<ミ<ソ、│<♯ソー・ーー・ーー、│
♭ラー・ーー、>ファ<ソ、│ソ>シ、シ<ファ、ファ>♭ラ、│
♭ラ<シ、シ>ファ、ファ<ソ、│ソー・ーー・ーー♪
という両翼vnがオクターヴ・ユニゾンで奏するものである。これが
ファゴット2管+ホルン4管の完全ユニゾンで繰り返され、そのまま、
***♪【ドー、│>シー、>ソー、<ラー、│>ミー・ーー】、<ソー│
ソー・ーー、>レー、│<ソー・ーー♪
と吹き、第3トロンボーン+チューバが完全ユニゾンで繰り返す。
オーケストレイションを替えて(ハープのアルペッジョを加え、
両翼vnの旋律奏に中低弦を補強したり)はいるものの、
これをバレエ「白鳥の湖」最終幕最終曲の冒頭、
(Le prince entre en courant.)
=ル・プロンス・アントル・アン・クラン=王子が駆け込んでくる、
という場面、
[Andante、3/4拍子、4♯(ホ長調)]
の音楽にそっくり転用した。
蔕を撃った王子が謝ろうと、オデットを探して
急ぎ湖に現れた場面である。この中の
【ド>シ>ソ<ラ>ミ】いう音型が、まだ
ツルツルにはなってなかったスィベリウスのオツムの記憶野に
焼き付けられてたのだろう。
スィベリウスには「レミンカイネン伝説」の中の「トゥオネラの白鳥」とか、
ストリンドベリの劇に附けた音楽「白鳥姫」とか、
白鳥に関する音楽がいくつかある。たとえば、自らの
50歳を記念して誕生日(12月8日)に初演すべく作曲した
「交響曲第5番」では、その終楽章の
***♪ドー・ーー│<ソー・ーー│>ドー・ーー│
>シー・ーー│<ソー・ーー│>シー・ーー♪
というホルン2管が3度重ねずつで鳴くの動機を、
「16羽の白鳥」を見た感動が作曲の衝動に繋がったとスィベリウスは
語ってる。さすがは、フィンランドの国民的作曲家。たいした
手腕(シュワン)なことである。私はむしろ、
終いの全奏によるfffzと指示された6発の音が
白鳥の鳴き声に聞こえるが。ともあれ、
フィンランドの国鳥であり象徴でもある
白鳥(スウェーデン語でsvanスヴォーン、スオミ語でjoutsenヨーツェン)に、
スィベリウスは特別な思い入れがあった。それはやはり、
「白鳥は季節によって居住する地を替えても、
そのツガイは終生別れないという純愛の象徴」
という認識に基づいたものなのである。
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