チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『弦楽四重奏曲第1番』第1楽章第1主題」

2010年07月11日 21時14分11秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
煎餅焼きはまったくやる気が起こらない。
そんなとき、恐れてたことが起こった。
携帯のメイルが着信したのである。といっても、
煎餅焼き進捗状況を問うメイルではない。
母親である。
『ちょっと頼まれて(ハートマーク)』
用件が何かはわかってたが、とりあえずボケてみた。
『『何でしょうか?』』
親に対してメイルでは敬語である。
『後期高齢者なのに都バスに年間千円では乗せてもらえない、
 可哀想で憐れな境遇の私を、
 投票所に連れてって(ヨロシクマーク)』
歩いていける距離なのにである。それと、
稼ぎのない倅への皮肉も忘れてない。
私は渋谷区に住民票を移したので、今回は
母親とは違う投票所なのである。ところで、
合コン仲間筋の情報では、
参院選後には小沢が150人を引き連れて大離党、
新党を結成して自民党他と大連立を組んで、
自分をないがしろにした民主党を蹴落とす、
というものがある。それはともあれ、
自分の投票を済ませてから、母親を迎えにいった。
「ずいぶんと遅かったじゃないの」
会うと必ず叱られる。道中も何かと小言をいわれながら、
投票所の手前に車を停めようとした。すると母が、
「あ、あれ、○○○じゃないの」
と言った。黒塗りの超高価なSクラスのメルセデスが前に停まってたのである。
私の冴えない普通のEクラスとはえらい違いである。
そこにちょうど○○○が投票を終えて車に乗るところだったようで、
若い運転手がドアを引いてた。
「ああ、あんたがグズグズしてたから、○○○に
私をAKB84(アッカンベー、エイト・フォー)に入れてって直談判するチャンスを逃したじゃないの」
罰として「いちご&練乳ホイップメロンパン」をセヴン・イレヴンで買わされた。

イレヴンといえば、
チャイコフスキーの作品番号11は、
「弦楽四重奏第1番(ニ長調)」である。その第1楽章は、
[Moderato e simplice、9/8拍子、2♯(ニ長調)]
「モデラート・エ・スィンプリチェ」であるが、
モデラートはアンダーンテとアッレーグロの間を表す標語であり、
エは並列・付加の接続詞で英語のandにあたる。
simpliceは古い語で現在はsemplice(センプリチェ)が使われ、
英語のスィンプルにあたる語であり(イタリア語は形容詞と副詞が同語)、
「飾り気なしで」という意味である。ところが、
チャイコフスキーは4弦すべてに[dolce(軟らかな音で)]と指示し、さらに、
第5小節から「ポーコ・クレッシェンド」と指定し、
第7小節後3分の1からはディミニュエンド記号を附してる、のである。

***♪ドード・ーード・ードド│>シーシ・ーーシ・ーシシ│
  <レーレ・ーーレ・ー>ラ>ソ│<ドー>ソ・ーーソ・ー<ド<ミ│
  >レー・レーーレ・ー<ミ<ソ│>レー・レーーレ・ー<♭ミ<ソ│
  >レー・レーーレ・ー>ラ<ド│>シーシ・ーーシ・ーシ>ソ♪

9/8拍子は通常、[3/8]*3というように、
3拍のフラクタル構造になってるのである。つまり、
8分音符を単位として一小節が9つで構成される。
[たタタたタタたタタ]
というように、1・4・7拍にアクセントが置かれる
(ひらがなの「た」にアクセントがある)。ただし、
4・7拍は1拍よりもアクセントの大きさは小さい。
[強弱弱・中弱弱・中弱弱]
そしてこれは、
[[強弱弱]・[中弱弱]・[中弱弱]]
というように、3拍ずつが組になって、
[強ーー・弱ーー・弱ーー]
という、付点8分音符を単位とする3拍子にもなってる、
ということである。

ところが、
ひょっとすると、ごく一部のかたは、
チャイコフスキーの「交響曲第4番」の第1楽章の第1主題の9/8拍子を、
[たタ・たタ・たタ・たタタ]
というように、
[3/4]*3+[3/8]、
になってる、などとホラるのである。とすれば、
この「弦楽四重奏曲第1番」の第1楽章第1主題も、
[たタ・たタタ・たタ・たタ]
として、
[3/4]+[3/8]+[3/4]*2、すなわち、
「交響曲第4番」の第1楽章の第1主題の[3/4]*3+[3/8]が
ひとつずれ込んだ形にすぎない、
とでも言うのかもしれない。

この大先生は<無断転載を禁ず>
などと尊大なことを先頭に書いてるわりには、
ベートーヴェンがその「交響曲第2番」を作曲当時に
「不滅の恋人」との恋愛、などと、
明らかな誤認をしてるのである。

ともあれ、
チャイコフスキーの「弦楽四重奏曲第1番」の第1楽章第1主題は、
第1主節めからチェロがd音とa音をダブルストップで奏する。
ここを下の弦で押さえることも可能であるが、
チャイコフスキーがこの第1主題で
「開放弦のダブルストップの妙」を意図してるのだ、
ということが推定される。なぜなら、
第5小節から「ポーコ・クレッシェンド」と指示され箇所で、
第1vnはe音とその5度下のa音をダブルストップする。ここで、
e音をA線で、a音をD線で押さえるヴァイオリニストは、
いるかもしれないが、おそらくほとんどいない。
チャイコフスキーはここでも「開放弦のダブルストップの妙」を試した。
この第5小節のひとつ前の小節でも、
第1vnがa音をA線で、ヴィオーラがその5度下のd音をD線で、
「開放弦」のダブりが可能である。

開放弦で弾く、ということはつまり、
直接その弦をヴィブラートすることはできない、
ということである。そして、開放弦独特の、
直接的な響きが引き出される。これを以て、
チャイコフスキーはsimpliceと表記したのかもしれない。
私の母の父は趣味でヴァイオリンを弾いてたらしい。が、
母に言わせると、まるで「ヴァイオリン演歌」みたいだった、
そうである。かつて、提琴を顎に挟まず、
鎖骨のあたりに押し当てるだけで、
弾きながら演歌を歌ってた芸人がいた。
「美しき天然」の替え歌「夜半の追憶」や「ノーエ節」、
「鉄道唱歌」「水師営の会見」、そして、
「真白き富士の嶺」の替え歌「七里ヶ浜の哀歌」などが、
よく歌われた。その奏法は、まるですべてが
「開放弦を弾いてる」がごとき「音」だったのである。

さて、
いまいちど、第1主題を確認してみる。
***♪【ドー】ド・ーード・ードド│>【シー】シ・ーーシ・ーシシ│
  <【レー】レ・ーーレ・ー>ラ>ソ│<【ドー】>ソ・ーーソ・ー<ド<ミ♪
このように各小節の緒音を注視してみると、
【ドー】>【シー】<【レー】>【ドー】
というように、これは、7年後に作曲
「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章第2主題なのである。
よく知られてるように、このカルテットは、
チャイコフスキーの作品だけの初めての演奏会のために、
作品数を補うために作られた。だから、
もともと室内楽の響きがあまり好きでないチャイコフスキーは、
「ツカミ」で奇をてらったことを試したかったものと思われる。

もうすぐ、
南アフリカの11日は、FIFAワールド・カップ決勝が行われる。
「赤き地のイレヴン」か「オレンジのイレヴン」か、
木之内みどり女史の「横浜いれぶん」が
セヴンイレヴンの横浜支部歌だと思いこんでたような
拙脳なる私には予想できない。
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